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今回は、船釣り初心者の方がストレスなく1日を楽しく過ごすために重要な、「オマツリの防止策」についてわかりやすく解説してみたいと思います。
船釣りをしていると、必ず避けて通ることができないオマツリ…。オマツリはほどくのに時間がかかるうえ、自分だけならまだしも、お隣の釣り人に迷惑をかけてしまって……嗚呼、なんて。できるだけ手返しよく楽しく釣りに集中するためにも、今回の内容を実践していただければ、きっと初心者から中級者へのステップアップの第一歩にもなると思います。ぜひ、少しの間お付き合いください。
オマツリって何?
船釣りでは、自分の仕掛や道糸が同船者の仕掛や道糸と絡まってしまうことを「オマツリ」と呼びます。また、自分の仕掛や道糸がぐちゃぐちゃになってしまうことを「手前マツリ」と呼びます。
青物釣りなど、その日唯一の時合にオマツリしてしまうと、自分だけ仕掛を投入できずにボウズになる可能性も高くなります。そうなれば、最悪の気分になっちゃいますよね。そうならないために、
- ・オマツリのリスクを減らす方法
- ・オマツリの回避テクニック
について紹介していきたいと思います。
極力未然に防止するために…
まずは次の基本的なルールを守っていただくだけでも、大幅にオマツリの発生を抑えることができます。
(1)釣行前日までのToDo
タックルの準備に際し、次の2点は「船宿のホームページ」で確認、もしくは電話で乗船予約を入れた際に必ず確認し、指定のものを準備しておきましょう。
- ①.道糸(PE)は、船宿指定の号数に合わせる
- ②.ビシの号数・サイズは、船宿指定のものに合わせる
たとえば、太刀魚をねらうような場合、深さが大きく異なる複数のポイントを攻めることがよくあります。その場合は、複数のオモリ号数を用意する必要があるので、確認する際には注意しておきましょう。
<例:船宿ホームページの表示>
竿 | 短いものでも長いものでも対応できますが、3m以内の竿を推奨しております |
PEライン | 3~4号 |
ビシ・天秤 | ビシはFL80号 天秤は50~60cm |
上の例だとビシのサイズはFLサイズ、オモリ号数は80号です。「FL」も「L」も“Lサイズ”のことですが、「FL」は船宿さんが推奨する(細身のものが多い)サイズを表しています。
(2)乗船時のToDo
乗船したら、次の点に気をつけて準備しましょう。
・隣の方との間隔を可能な限り広くとって竿ホルダーをセットする
家族や釣り仲間と一緒に釣りに行く機会も多いかと思いますが、いくら仲がよくても近づきすぎないことが大切です。(最近はコロナの影響で船宿が自主的に乗船客数を制限してくれているので、あまり心配ないかもしれません)
オマツリってなぜ起きてしまうの?
後述するオマツリ回避テクニックを実践してもらうために、そもそも、オマツリが発生する原因を理解しておく必要があります。オマツリには主な発生タイミングがあり、その発生タイミングによって原因が異なります。まずは、そこからみていきましょう。
(1)仕掛投入してから着底・底をとるまでに発生
全員が同じタックルを使用してビシを真下に落とすことができれば、着底までにオマツリすることはありません。しかし、船は常に動いているうえ潮の流れもあります。とくに潮の流れが速いときに、流れにまかせて勢いよく仕掛を落下させると、ビシが潮にのって真下から大きく離れた位置に着底することになってしまいます。
たとえば、潮がミヨシからトモに向かって速く流れているような場合、自分が右舷のミヨシにいて同船者が胴の間とトモにいるケースで考えてみましょう。
自分が勢いよく仕掛を落下させて、胴の間の方とトモの方がスプールを親指で軽くおさえテンションかけて落下させた(サミングして仕掛を落とす)としたら、自分の仕掛がトモの方より後方に着底する可能性があります。もしそうなれば、落下途中もしくは底をとる際に道糸や仕掛が絡んでしまいます。
(2)魚が掛かって発生
アタリを待っていて、カツオ、マグロ、サバのように横に走るような魚が食った場合、魚が走り回って周りの方の道糸とグルグル巻き状態になるケースがあります。
また、底をとってアタリを待っているときはもちろん、ときには中層の群れに遭遇し、仕掛を落としている最中に魚が掛かってしまうこともあるので要注意です。
オマツリを回避する方法は?
(1)仕掛を落とす際はサミングしよう!
できるだけ仕掛を真下に落とし、糸フケを出さないことがオマツリを回避するための得策。そのためには、常に「サミング」して仕掛を落下させれば、極力真下に近いポイントに着底させることができます。糸フケを最小限に抑えることもでき、オマツリのリスクは大幅に軽減します。
<知って得するテクニック>
次の2つのテクニックを実践すれば、さらにオマツリのリスクは軽減します。
- ①.竿ホルダーにセットしたまま長い仕掛を投入する場合、ビシを投入後、速やかに仕掛も投入しましょう。
- ②.短い仕掛の場合、ビシを真下でなく竿の弾力を利用して少し潮上方向に投入しましょう。
また、前述したように落下途中にサバなどが掛かった場合、竿が一瞬フワッと軽くなるので、その場合には海底まで落下させず、すぐに強引に仕掛を巻き上げましょう。
一般的にビシ釣りでは、サバやソーダガツオはゲスト(外道)と呼ばれて本命魚でない場合がほとんどです。仕掛を落としている最中にハリ掛かりさせず、底にいる本命をねらうためには、次のような対応を試してみてください。
仕掛のアピールを下げる対策
- ・発光玉やビーズ、夜行パイプなどがついている場合は取り外す。
- ・エサをイカ短冊とのオキアミサンドにしている場合は、オキアミの1匹掛けに変更する。
- ・ハリの本数が複数の場合、1本バリの仕掛に交換する。
- ・ハリの色が金や白の場合は、オキアミカラーやフッ素加工の黒系ものに交換する。
また、魚を寄せないためには、コマセカゴの上窓を全部閉じてコマセが出る量を最小限に抑えるのもひとつです。こういったテクニックは親切な船長さんがマイクで「蛍光玉とかはずして!」「カゴの窓全部閉めて!」というように声かけしてくれます。船長さんの声にも耳を傾けましょう。
(2)魚が掛かったら少々強引に巻き上げる!
そのためには強いセッティングに
魚が掛かったら、隣の方にオマツリで迷惑をかけないよう注意して、少々強引に巻き上げましょう。
強引に巻き上げるには、ハリスの号数を多少大きめの設定のものに交換しておく必要があります。細ハリスだと魚の食いはよいものの、強引なやり取りができず時間がかかるうえ、ハリス切れして仕掛の消耗が激しくなってしまいます。アタリの頻度や釣果にもよりますが、自らの経験値と船長さんやエキスパートの方のアドバイスを参考に、ハリスサイズを選択してみてください。
また、お客さんが少なくて隣の方との間隔がある場合には、ビシの号数を重いものに交換(たとえばM60号から80号に交換)して、より速いスピードで落下させるという方法もあります。(浅場でのイナダねらいで、ソーダガツオやイワシの群れが大きく底まで仕掛を落とせないようなケースの最終手段です)
以上のように、オマツリの発生原因と回避策について紹介させていただきましたが、いかがでしたでしょうか? オマツリ発生の回避に努めて、できるだけストレスのない楽しい釣りをしてください。
とはいえ、オマツリを100%回避することはできません。みなさんが上級者になったとしてもオマツリをすることはあるでしょうし、同船者にオマツリさせられることもあるでしょう。そんなときでも決して「ムッ」とした顔をしないで、笑顔でやさしく対応してあげましょうね。
レポーターREPORTER
船釣り歴30年。ウイリー仕掛や短いビシ仕掛でのコマセシャクリを得意としたベテランアングラー。初心者向け釣り教室での講師経験も豊富で、わが子2人を5歳で船釣りデビューさせたほどの教え上手。全日本釣り団体協議会公認フィッシング・マスター。