「旨いもん見つけた!」第54回は2021年4月から福岡県、熊本県の営業担当になった九州営業所の玉井英樹さん。今回は以前の営業エリアだった長崎県下で想い出の味。長崎市内と五島列島の福江島(五島市)のお店だが、ともにローカル色豊かな独特の麺類。そんな長崎県の5月、平戸周辺から五島列島を含む数々の離島ではアオリイカのエギングが最盛期。1kgアップ、2kgアップの良型がシャープなエギングロッドをグイグイ締め込んでくれる楽しいシーズンだ。オフショアではタイラバ、タイジグでのマダイ、SLJやテンビン仕掛でのイサキがまさに釣りごろ。長崎市周辺はもちろん県内各所の陸っぱりでは乗っ込みチヌが元気もりもり。
元祖!中華と和が融合した長崎名物
「ちゃんぽん&皿うどん」中華料理 四海樓
「ちゃんぽん」といえば、いまや全国各地の地名を冠したご当地ちゃんぽんが存在するが、もともとは長崎発祥で、今回、玉井さんが紹介してくれた「中華料理 四海樓」がその元祖ということである。
グルメ番組にも紹介され全国的に有名な「中華料理 四海樓」のHPによれば、そのルーツは中国は福建料理の「湯肉絲麺(とんにいしいめん)」という麺を主体に豚肉、シイタケ、タケノコ、ネギなどを入れたあっさりしたスープだという。これをベースに創業者の陳平順(ちんへいじゅん)さんが、濃い目のスープ、豊富な具材、コシのあるオリジナル麺を日本風にアレンジしたものが現在の『ちゃんぽん』だそうである。
その「中華料理 四海樓」に玉井さんが訪れたのは、あるウィークデーのお昼時。「テレビでもおなじみの、あの大きな店舗ビルは圧倒されますね。土日は順番待ちの行列ができるそうですが平日だったので、すんなり席に案内されました」と玉井さん。「席からは長崎港が一望できて気分もいいですよ」とのこと。
「まず、ちゃんぽんですが、海鮮豚骨というか、しっかりした味で……」と玉井さんがいうのは「丸鶏2~3羽と豚骨、鶏骨を3~4時間かけて炊き上げたスープを使っているから」だそう。「麺は麦粉に唐灰汁(とうあく)を入れて作った独特のもの」ということで、一般的なラーメンなどの中華麺とは違うらしい。これに豚肉や季節の野菜など、たっぷりの具材がからんで、あの食べ応えがある「ちゃんぽん」ができ上がる。
一方、「皿うどん」のルーツは「炒肉絲麺(ちゃあにいしいめん)」というスープなしで焼きソバに近いようなものだという。聞けば「ちゃんぽん」のバリエーションとして考案されたもののようで、いわば「汁なしちゃんぽん」である。
「その皿うどんですが太麺と細麺が選べるのもいいですね」と玉井さん。実は本来の「皿うどん」は、「ちゃんぽん」と同じ麺を炒めただけのソフト麺で、油で揚げた極細のフライ麺を使用したものも「皿うどん」と呼ばれることが多いが「炒麺(ちゃーめん)」というのが正しいらしい。
本来の「皿うどん」は長崎の細切りにしたイカ、エビ、カマボコ、うちかき(小ガキ)、キクラゲ、キャベツ、豚肉などをラードで炒め、少量のちゃんぽんスープを加えてさらに炒め、最後に麺を入れスープが残らなくなるまでになじませたものだ。一方の「炒麺」は同じ具材、スープにとろみをつけパリパリのフライ麺の上にかけたものだそう。
「どれも美味しいんで悩みますよね……」と、その日の気分でオーダーする玉井さん。ご家族で訪れる機会があれば3種をシェア、食べくらべするのもいいだろう。長崎釣行の際にはぜひ!
中華料理 四海樓
住所:長崎県長崎市松が枝町4-5
HP:https://shikairou.com/
飲んだ後の締めに素朴な味「地獄だき」が最高
「五島うどん」お食事処 八波
さて長崎市の西方約100kmの東シナ海。ここは五島列島の最も西に位置する福江島。玉井さんが、この離島で営業活動をした際、地元の新鮮な魚介類で一杯やったあとの締めで楽しみだったのが「五島うどん」だ。
「五島うどん」は遣唐使の時代に五島列島に伝わった大陸からの麺文化が定着進化したものだそうで、独特の細い手延うどんである。
特徴は大きな鍋、たっぷりのお湯に泳がせた細いうどんを各自、つけ汁に取っていただくスタイル。これを「地獄だき」と呼ぶのだそう。つけ汁はアゴ(トビウオ)出汁、醤油、みりんなど。生卵をつけ汁に溶いて入れるのも独特だ。
「八波さんではカセットコンロの火にかけた鍋で出てきました。うどんが最後まで冷めることなく、熱々でいただけるのがいいですね」と玉井さん。麺は細いが、けっこう腰があるのだという。うん! 五島の新鮮な魚介を堪能したあとに、あっさりシンプルな「五島うどん」が相性バッチリ! 青物ルアー、エギング、磯釣り、船釣り、投げ釣りなどなど釣り天国・福江島。釣りに行ける日を楽しみに待つことにしよう。
お食事処 八波
住所:長崎県五島市栄町5-15
HP:なし