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第12回 アジ船でねらうワラサ

前回はワラサ釣りの基本を紹介させていただきしたが、今回はアジ船やライト五目船でねらうワラサの釣り方について紹介したいと思います。

みなさんもよく船宿のホームページや釣り雑誌等の釣果情報欄を見られると思いますが、アジ釣り船にもかかわらず、釣り人がドヤ顔で大きなワラサを両手で突き出している写真をみかけたことはありませんか?
「アジ釣りタックルで大物なんて獲れるの?」と思われるかもしれませんが、実は釣り方があるのです…今回はそんな夢のある釣り方をご紹介。知っておいて損はありませんよ。ぜひ、少しの間お付き合いください。

初心者でも基本をマスターすれば大物が釣れる!
それが「泳がせ釣り」

01_ 置き竿

通常、アジ釣りの場合ハリスのサイズは1.5号程度なので、アジの仕掛にワラサが食ったとしても、最初の一発でハリス切れしてしまいます。では、みなさんどうやって釣っているのでしょうか? 実は「泳がせ釣り」もしくは「喰わせサビキ釣り」という釣り方で大物をゲットしています。
なかでも今回は、「泳がせ釣り」について見ていきましょう!

(1)泳がせ釣りって何?

泳がせ釣りというのは、生きた小魚にハリを刺してエサとして泳がせ、大物の魚をねらう釣り方です。
仕掛は短くシンプルで、基本、置き竿釣法なので、初心者の方でも基本さえマスターすれば楽して大物をゲットできる釣り方。一度泳がせ釣りで大物をゲットすれば、間違いなくクセになります。

(2)泳がせ釣りで釣れる魚は?

今回のタイトル通りイナワラ・ワラサ、またはカンパチといった青物がメインですが、ハタ、ヒラメなどの高級魚も釣れます。また、ビックリするようなサイズが釣れることもあり、その楽しさは何ともいえません。

(3)タックル

  • ●竿:   2.4m程度 /オモリ負荷50号程度 /7:3調子(もしくは6:4調子)
  • ●リール: 中型電動リール
  • ●道糸:  PE3号~4号
  • ●クッションゴム: 3mm径×50cm
  • ●オモリ: 40、60、80号(船宿に確認しましょう)
≪知っ得情報≫
その1:オモリの号数ですが、アジが動くのでアジのビシが40号の場合は、50号というように少し重いものを使用した方が隣の方とオマツリする確率が低くなります。
その2:大物が釣れるのでクッションゴムは必ず新品を用意しましょう。クッションゴムが切れてしまったときのショックはメチャメチャ大きいですよ。経験者(私)は語ります。

●仕掛: 

02_仕掛図(SD174ベース)

・幹糸:  フロロカーボン8号×50cm
・ハリス: フロロカーボン8号×1m
・捨て糸: 4号×30cm
・ハリ:   伊勢尼金11号

※チモトにソフトビーズや夜光パイプが付いているものもオススメです

03_仕掛
04_ビーズ付きハリ

(4)エサは元気な小アジ

船に海水を汲める蛇口(パイプ)がついている場合は、バケツを新鮮な海水でいっぱいにしてアジを元気に生かしておきましょう。パイプがついてない場合は、ロープ付の水汲みバケツで海水を汲み取り、まめに交換しましょう。
何といっても、泳がせ釣りの重要なポイントは元気な小型のアジを泳がせることです。サイズ的には20cm前後がベストですね。また、アジでなくともサバやイサキでも大丈夫です。

05_小アジ

釣り方の手順

釣り方は意外とかんたんです。しっかりと基本をマスターしましょう。

  • 1.エサのアジを背掛けにしましょう。
  • 06_背掛け
  • 2.仕掛をやさしく投入し、着底するまではサミングしながらゆっくりと落としていきましょう。(エサを弱らせないためにも、仕掛が絡むことを防止する意味でも、底までゆっくり落とし込むことが大切です)
  • 3.着底したら、糸フケをとって素早く3m程度(※)巻き上げましょう。
  • 4.あとはロッドホルダーに竿をセットするだけです。段々と浅くなるポイントや根が荒いポイントではまめにタナを取り直しましょう。根掛かりさせると元気なアジも仕掛もロストしてしまいます。

※底からの最適なタナについてはねらう魚によっても異なるので、船長に確認するのがオススメです

<アタリの出方>
ワラサが近づいてくるとアジが逃げまわるので竿先が上下に振れだします。このときのドキドキ感は何ともいえません。そして、そのタイミングでのアワセは禁物! 100%ハリ掛かりしてくれません。いつでも竿をロッドホルダーから外せるように準備しておきましょう。高鳴る気持ちをおさえて、竿先が海中に突っ込むまで辛抱です。
海中に突っ込んだら竿先を大きく上にあげてフッキングしましょう。あとは強力な突っ込みを楽しみながら巻き上げるだけです。

<最後に大事なのは>
取り込むまでは気を抜かず慎重に対処しましょう。タモ取りは、船長さんにお願いするのが安全です。

釣り上げたあとの対応

07_青物の口元

ハリスに傷がついてないか、ハリの結び目が緩んだりハリ先が甘くなってないかを点検しましょう。結構、飲み込まれているケースが多いので、その際は仕掛交換がオススメです。
また、釣った魚はすぐに血抜きをして、冷たい氷水(潮氷)で締めましょう。そうすれば、帰宅後のお刺身の味も格別です。

 

以上のように、泳がせ釣りについて紹介させていただきましたが、いかがでしたでしょうか?
乗合船で泳がせ釣りにチャレンジする場合、基本的に釣り座は大ドモかミヨシを確保するようにしてください。また、船宿によっては2本出しを禁止しているところもあるので、船長さんに事前に確認しておきましょう。アジ釣りに行ってワラサが釣れると、すごくお得感があって気分は最高です。ぜひチャレンジしてみてくださいね。

ちなみに、私がワラサを最初に釣ったのはアジの泳がせ釣りでした。そのときの、海中に竿が突っ込んだことへの驚きと、イナダとはまったく異次元の強力な引きに緊張しながらファイトした記憶は今でも鮮明に残っています。
みなさんも今後、記憶に残るような大物釣りを体験できるとイイですね。

 

レポーターREPORTER

三宅 雄彦
プロフィール:三宅 雄彦
船釣り歴30年。ウイリー仕掛や短いビシ仕掛でのコマセシャクリを得意としたベテランアングラー。初心者向け釣り教室での講師経験も豊富で、わが子2人を5歳で船釣りデビューさせたほどの教え上手。全日本釣り団体協議会公認フィッシング・マスター。