長年釣りをしていると当たり前のことでも、釣りを始めて間もない人にとっては「目から鱗!」「そうだったのか!」という、ちょっとしたノウハウをお届けするのがこのコーナー。釣果に直接かかわることではないけれど、アナタの釣りが快適になるかもしれない!? ほんのちょっとの工夫とアイデア。
今回も引き続き、釣り上げた魚を美味しくいただくための締め方から持ち帰り方まであの手この手。第4回はカワハギとアオリイカ、ケンサキイカなどイカ類について。
実にカンタン!血がしっかり抜ける!
鍋が恋しい季節……カワハギの締め方
船でも磯でも防波堤でも、肝臓がフォアグラ状態に大きくなる「肝パン」のカワハギは晩秋からが旬だ。刺身に鍋ネタに、抜群に美味いカワハギだが、釣り上げたカワハギを持ち帰り、いざさばいてみると透明感のある美しい身に赤く血が回り残念な状態になっていることが多い。他の魚同様にナイフを入れ、海水にしっかり漬けて血抜きしたはずなのに……。
実はカワハギには独特の締め方があるのだ。とは言ってもナイフがあればOK。和歌山県加太の遊漁船の船長に教わった方法だが、これが実にカンタン。エラブタから刃先を入れ口の後方、腹側に向かって一気に切り裂くだけ。こうすれば海水に漬けなくても、しっかり血が抜けるのだそう。さあ刺身と鍋でカワハギフルコースを堪能しよう!
イカ類は締めなくても味に大差なし!?
釣り人の特権「沖漬け」も試してみよう
イカ類はとくに締める必要がない。イカメタルなどで数を釣るケンサキイカ、スルメイカなど、釣りの最中はもちろん、釣り終了後でも何十杯ものイカを、いちいち締めるのは面倒。締めても締めなくても味に大差ない。
それよりも持ち帰り方に気を配ろう。最大のコツは直接氷、氷水に漬けないことだ。ケンサキイカ、ヤリイカなどのボディーが細長いイカ類で、よく利用されるのが雨の日にスーパーマーケットの入口などで見かけるナイロンの傘袋だ。遊漁船で釣り上げたイカは、しばらく足下のイケスで生かしておくことが多いが、アタリが途絶えたりポイント移動のタイミングで1杯ずつ傘袋に入れ氷が入ったクーラーへ。この場合でも、できれば新聞紙の上に乗せたりトレーを利用するなど直接氷に触れないようにしよう。
アオリイカには各種、専用の締め具が市販されているが締めなくても大丈夫。直接氷を当てないことの方が重要だ。以前、鹿児島の磯で釣ったアオリイカを地元アングラーの教え通り生きたまま湿らせた新聞紙にくるみクーラー内で氷の上に乗せ、空路大阪まで持ち帰ったことがある。帰宅後、クーラー空けてみるとアオリイカは白くなっておらず、さらにボディーを指先で押してみると、液晶パネルのように身の色が変化したのに驚いた。鹿児島から自宅まで数時間、細胞が生きていたのだ。これは特殊な例かもしれないが、ケンサキイカ同様、1杯ずつ袋に入れ氷を調節当てないように持ち帰るのがベストだ。
「沖漬け」もイカの持ち帰り方のひとつ。代表的なスルメイカだけでなくケンサキイカや小型のアオリイカでも試してみよう。
釣り上げたイカは海水をしっかり吐かせてから生きたまま大きめのタッパーなど容器に入れ、漬けダレ(醤油1、酒1、みりん1の割合で鍋に入れ沸騰直前で火を止めさましておく。市販品もあり)をひたひたになるまで注ぎ、そのまま持ち帰るだけ。数時間から一晩寝かせれば、もう食べごろ。内臓、目玉、口などを除き胴とゲソを食べやすい大きさに切り分ければ完成。これからの季節、沖漬けで熱燗をちびり……。たまりませんね。