INDEX 【後編】
釣りの世界における「ゲンかつぎ」や「ジンクス」。独自の社内アンケートによる結果を前回見ていただいたが、いかがだっただろうか? なかには全くそのようなことを実践しない、信じていない人もいたものの、信じている人は意外に多く、またみなそれぞれにこだわりの「ゲンかつぎ」や「ジンクス」があるようだ。
前編で紹介させていただいた内容を大まかにまとめると、下のような表となる。おさらいの意味で見ていただきたい。
自身が自ら実践している、または、経験した話だけでなく、人から聞いたものも含めて実にさまざま。読者のみなさんも、恐らく他にいろいろと独自の「ゲンかつぎ」や「ジンクス」をお持ちではないだろうか?
さて、少々前置きが長くなってしまったが、今回はアンケートの中から、前編では紹介できなかったエピソードをいくつか紹介してみたい。ぜひご覧あれ。
自分の力ではどうにもならないのが「ジンクス」?
受け身型ラッキータイプ
好釣果が期待できる「ジンクス」として挙がっていたのが、無欲がゆえの(?)ラッキーな釣果だ。
「置き竿にしたとたんにアタリがでた!」「携帯電話をさわっているとアタリがある」「沖上がり直前(終了直前)に本命や大型が掛かる」「釣りたいオーラ(=欲)を出さないように意識すると釣れる」などなど。釣りの最中に「フッ」と気が抜けた瞬間に釣れることが多いという話だ。
ある人は、「釣り場のポイントに着いて、誰もがわれ先にと釣りがしたくなるような場所を友人に譲って、残った余りの場所で釣りをすると、なんだかんだよく釣れる」という経験をしているらしい。これもまた、釣るために何かアクションをするというよりは、(受け身的に)起こった結果。意図的でなく起こした行動はお魚さんに見えているのだろうか…(笑)。
環境依存型タイプ
自然相手の釣りにおいて、私たち自身の行動やテクニックではどうにもならないことも多い。
前編でもとりあげたが、「異常なまでにべた凪、釣り日和に限って釣れない」という状況は実際にあるようだ。逆に、「少し雨が降っていたり、波があったりと、釣りがしづらい状況の方が、釣果に恵まれた記憶がある」と答えてくれた人もおり、魚の活性や釣果は、気温や水温、気圧、天気、季節、光量、時間帯、潮の大小など、ありとあらゆるものが影響しているのだろう。
他には、「地震の直後は釣れなくなる」というものもあり、私も実際に経験したことがある。われわれ人間よりも繊細な感覚の持ち主である魚たち。天災・災害にはさぞ驚いているのだろうか?
「ゲンかつぎ」「ジンクス」との上手いお付き合い
ここで、ある人(仮にAさん)の持論を紹介したい。釣り人Aさんは、釣りが上手い人ほど「ゲンかつぎ」や「ジンクス」を持っているのではないか? と言う。
釣りをするとき、ワクワクする高揚感や緊張感はつきもの。とくに釣りが上手い人(経験値の高い人)ほど、それらの感情が高ぶれば「普段から考えている自分らしい釣り」ができなくなることを知っており、少しでも自身を落ち着かせるための手段としてとらえているのではないか? と分析している。ワクワク感から釣りのテンポが速くなったり、手足の感度が鈍ったり、ということがあるし、また、釣れないときは焦りやイライラが起こってしまう。その感情を「ゲンかつぎ」や「ジンクス」で緩和しているのかもしれない。という持論。「なるほど!」と妙に納得させられた次第だ。
そして、また別の人(Bさん)は、ネガティブなジンクスにあえて挑戦しているエピソードを教えてくれた。
釣りのときに履くと、なぜか必ず釣果が悪くなる長靴があり、なかなか出番がないそう。あるときジンクスを破ろうと、あえてその長靴を履き集中力高めで挑んだものの、アタリだけだったり、魚をバラしたりと、やはり結果は散々・・・。そのジンクスを破ることはできなかったそうだ。しかもその後、履物を変えたらいい釣果が戻ってきたらしい。しかしBさんは、それでもいつかはジンクスを破りたいと、これからもチャレンジを続けるそうだ。
人によって付き合い方はさまざまだが、ポジティブにとらえるのも、ネガティブにとらえるのも考え方次第。自分なりの上手いお付き合いが、「ゲンかつぎ」や「ジンクス」を味方につける鍵なのではないかと感じさせられたエピソードだ。