From HEAT the WEB DIRECTOR 目指せ!スゴ腕カメラマンへの道

スゴ腕カメラマンへの道_text-photo岳原雅浩

(※2017年5月20日に公開された記事に、必要な文言等を追記、その他の部分も修正して2022年1月28日に再公開したものです)

広告担当となり、取材現場でお仕事をさせてもらうようになってからというもの、さまざまな方にお会いし、担当としてひじょうに多くのことを学ばせていただいている。
初めはアタフタと現場をスムーズに回すことだけに一所懸命であったが、次第に余裕が出てくると、上手くスタッフさんとコミュニケーションを取ったり、当社のPR要望を伝えたり、あとで社内にて使用するための写真素材を撮ったり、釣りをしたり…と、年数を重ねるごとに、さまざま自分なりの行動が取れるようになってきたと感じる。そんななか、とくに「写真素材」に関しては、かなり個人的ではあるが思い入れが強く、今や私のなかで取材現場での重要なウェイトを占めている。

カメラマン
パッケージ

もともと、取材現場に出る以前、社内ではWEB制作を担当していた。そのころはWEBを本当に手作りで一から制作していたのだが、画面レイアウトをデザインするのは問題ないものの、挿入写真が製品パッケージ以外ほとんどないため、ひじょうに困っていた。同様に、店頭に設置するPOP(ポップ)と呼ばれる販促ツールのデザインも手懸けていたが、こちらも同じく素材に乏しく、お客様へのアイキャッチや雰囲気演出という面で困っていたのだ…。
プロのカメラマンに写真を毎回撮ってきてもらえるほど予算もなく、雑誌社さんからかんたんにいただけるわけでもない…。困りはてた結果、「ならばっ」と自ら現場で写真を撮影するしかないと思ったのが発端であった。

コンパクトデジタルカメラ

始めはコンパクトデジタルカメラ(コンデジ)ですまそうと安易に考え、かなり長い期間使用してみたのだが、どうにも雰囲気が出ない。決して悪くはないのだが、雑誌でよく目にする写真とどことなく違うのだ…。多少なりとも本を読み、勉強はしてみたのだが、やはり何かもの足りない。

撮影海

と同時に、現場でご一緒させていただくプロカメラマンの身のこなしを観察し、お話を伺ううちに、次第に私のなかでカメラマンへの憧れと、「プロではないが、プロ級の印象的な写真を撮りたい!」という想いがムクムクと湧き上がってきたのだった。

エントリーモデルの一眼レフカメラをありがたいことに会社に買っていただくことができ、嬉しさ反面「しっかりと使いこなさねば」と、公私においてひたすら練習。しかし、そうかんたんに使いこなせるわけもなく、またまた本を読み漁った。
その甲斐あってか、今では中級機種(中でも安いほう)に自前で買い替え、お小遣いで交換レンズや外部ストロボも購入。趣味と実益を兼ねて、多少なりとも使用できるようになった(つもり…)。

網キャッチ

そんな私に、多くの影響を与えてくださったカメラマンさんたち。出会ったカメラマンのスタイルはみなさんそれぞれ、十人十色である。汎用性の高いレンズをセットした1機種で身軽に全てをこなす方もいれば、どんなシチュエーションにも対応できるように、各種レンズと機材をバッカンにたっぷり準備し重い荷物を担がれている方。2丁拳銃のようにタイプの違う2機種を両肩からぶら下げて、状況に応じて使い分ける方などなど。
さまざまなスタイルがあるなか、みなさんに共通しているのは、その状況対応力ではないだろうか。釣りのプロの傍でいつ訪れるか分からないシャッターチャンスをものにするため、常にカメラを両手、または片手で保持し、レンズのズーム機能も使うものの、基本的に自らが動き立ち位置を変え、さまざまなアングルから撮影をする。なかでも私がクールだと思ったカメラマンは、やや極端ともいえるアングルから撮影するために、あえてファインダーを覗かず、足下から上に煽るように構え、被写体を長年の経験と勘で連射していた。「カッコいい~!」

私が出会った方には、比較的「とにかく撮りまくるっ!」スタイルの方が多い気がする。取材後、恐らくデスクでの写真チェックと絞り込みは相当に大変で骨が折れる作業だと思われるが、それでも本当によくシャッターを押している。「生もの」である釣り取材のチャンスは一瞬。その一瞬を逃すまいと、みなさん釣り人に被りつくように撮りまくる。失敗を恐れずトライする姿を見習いたい。その反面、一瞬のチャンスが訪れるまでは、釣り人を変に急かせたり焦らせたりすることはなく、ジッと静かに待ち続ける忍耐力も素晴らしいと感じる。

このような出会いと経験をさせていただきながら、ひじょうに感化されている私。カメラマンさんの姿を参考に、目下勉強中である素人の私が言うのもおこがましいが、カメラは知識だけでは何ともならないように感じる。当然知識は大事であろうし、ないよりあった方がよいのは分かっているつもりだ。しかし、本で得た知識をシチュエーションの違う現場で即座に生かすのはなかなかに困難で、多少なりとも「慣れ」と「先を読む力」がないと、対応できないようなのだ。(私はいつもアタフタしている…) それぞれカメラマンさんのスタイルが異なるように、現場での「経験値」と、その経験やトライ&エラーから生まれる独自の工夫こそが、腕を上げるために大切なのではないだろうか。最近ようやく気付いた次第だ。

擬似餌

ちなみに、このような話を書いていると、「カメラマンになろうとしてるの?」とか、「カメラマンに頼まずに自分で写真を全て撮るつもりじゃないの?」と思われてしまいそうだが、とんでもない!! 広告担当としてプロの仕事を目の当たりにし、なおさら素人カメラマンと職業カメラマンの写真クオリティの差に気付かされる。まさに「雲泥の差」だ。
職業カメラマンのみなさんは、見る者を惹きつける印象的で感動的な写真を創り出す能力がひじょうに高く、そのクオリティにはクオリティなりの対価が発生してしかり。残念ながら、日々写真や映像が氾濫している今の世の中では、じっくりとそのクオリティを意識して見る時間は少なく、流されている悲しい現実があるのは否めない。しかし、考えずとも直感的に無意識に、プロのハイクオリティな写真は見る者に刺激を与え記憶に強く刻まれていく。広告という仕事のなかで、「ここぞっ」という場面ではやはりプロカメラマンの力を借りざるを得ないのだ。
そのような貴重な現場での体験を生かし、腕も精神も少しでもプロカメラマンに近づきたいと思う、今日この頃である…。

と言いながら、実は高いカメラが欲しいだけだったり…。誰かハイアマチュアモデル買ってくれないかなぁ(笑)。

※本文は都合により脚色を交えております。ご了承下さい。