ALL About “FINA” 後編

ルアーフィッシングに特化したフックというカテゴリーにおいて、豊富な知識と経験を武器に、新しいフィールド、そして新しい1匹に出会うために常に進化を続けるブランドであるFINA(フィナ)。そのFINAのバックステージに今回も注目してみたいと思う。

ちなみに前回、英語の「fine」と同じ意味を持つ言葉である「fina」がブランド名であるFINAの語源であると紹介したが、実はもうひとつ面白い話を聞くことが出来た。
どうやら社員の間での噂話のようだが、鳥である「ハヤブサ」の子供の「ヒナ」を文字って、「フィナ」という説である。製品の話となれば真剣そのもののスタッフから、至って真面目な口ぶりで聞かされると、余計に笑えてくるから不思議だ。後編は開発担当の伊藤さんに話を伺ってみた。

プロと共に作る、開発としてもこだわり

伊豫部健プロ

HEAT:製品によっても変わってくるとは思いますが、基本的に開発チームというのはだいたいどれぐらいの人数で編成されているのでしょうか?

伊藤さん(以下伊藤):うーん、大きくあげると4人から5人ぐらいでしょうか。プロスタッフに始まり、私の様にその意見を汲み取る人間。そして今度はそれを理解し図面を引いたり、組み上げたり出来る人間。さらにその許可を与えたり指示を出す人間といったところでしょうか。何かが特別という訳でもないです。ただ、どれかが欠けてもいけません。

HEAT:プロと共に歩むというスタイルの中にも、HAYABUSAという長年の釣りや仕掛のノウハウを持つ開発サイドのこだわりもあると思います。例えば他社と比べて、FINAならではのこだわりなどはあるんでしょうか?

伊藤:うーん。他社様でどの様にしているかはわかりませんし、これはあくまで私自身のこだわりになってしまうかもしれませんが、開発に携わるプロの意見を100%とは言えなくても、それでも90%ぐらいの高い次元で実現しクリアしたモノを出したいなと考えています。
やはり製造過程などの理由で、100%の要望には応えられないことってどうしても出てくるんですよね。でもそれを高いレベルできっちりとクリアして世に送り出したいという気持ちではやっていますね。

HEAT:やはり「ヒナ」でなく、「fina(フィナ)」で間違いありませんね(笑)

引張強度試験の様子
引張強度試験の様子

伊藤:そこのこだわりやスタイルは、ひょっとするとFINAならではなのかもしれないです。高い基準でプロの求めるものに応えて、そして趣味でバスフィッシングを楽しむ人達にも満足してもらうことは、想像以上に大変です。いくら気持ちがあっても、そこに経験や技術がなければ実現出来ないので。

HEAT:でも確かにプロが使って100%という基準が、必ずしも一般の釣り人が使った時にも100%の出来かどうかもわかりませんからね。100%は難しいですよね。

伊藤:100%応えられるものはもちろん応えて行きたいですね。ただ、やっぱり中々応えられないものあったりするのですが、そこで「出来ない」、とか「やれない」で終わらせたくないんですよね。

HEAT:なるほど。そこも開発側のこだわりである訳ですね。

伊藤:そうですね。なので、「出来ない!」の一言ではなくて、それをより近いカタチで実現出来る様にっていう部分はあります。もしも今のやり方で出来ないのであれば、新しいやり方を探す。工夫をする。

HEAT:なるほどですね。しかし苦労話もたくさんありそうです。

伊豫部健プロ

伊藤:うーん、苦労話、、、。苦労”バナシ”かどうかはわかりませんが、私が一番印象に残っているのは、やっぱり N・S・Sフックですね。

HEAT:どんな風な苦労、思い入れがあるのでしょう?

伊藤:非常に個人的は話なのですが、私が初めて1から開発に携わらせてもらった商品なんです。そしてこの案が出てから製品化されるまで、結果2年半という時間がかかりました。とにかく企画から開発まで全てが初めてで、入社して初めてプロスタッフの方々とも一緒に開発に携わって。しかもこのフックが近年稀に見る大ヒット商品となりました。なので、やはりこのN・S・Sフックというモノに対するこだわりというか、思い入れは非常に強いですね。

HEAT:なるほど。こだわり抜いた結果が評価されるのは最高ですね。ありがとうございました。

伊藤:ありがとうございました。

漠然と「釣り具の開発」と聞いてもイメージが出来なかった筆者であったが、開発責任者の芝さんは8年ぐらい、今回インタビューした伊藤さんは今年で入社6年目ということで、FINA、そしてHAYABUSAは働くのにも非常に恵まれた「場所」であり、「チーム」という印象を強く受けた。