ALL About “FINA” 前編

FINA(フィナ)は第一線で活躍するプロアングラーと共に歩み、1匹の魚と対峙するために、常に新しいビジョンを持ち続けながら製品を開発している、HAYABUSAの中でもバスフィッシングに特化したスペシャルレーベルである。その原動力はルアーフィッシングへの飽くなき探究心。釣り人、そして開発という視点から豊富な知識と経験を武器に、新しいフィールド、そして新しい1匹に出会うために進化を続けるFINA。今回のメインコラムでは、製品の紹介ではなく、FINAがどのような場所でありチームであり、そしてFINAの製品がどのようにして生まれているのかを、そのバックステージに注目してみたい。

先ずは「FINA」というブランド名だが、実はインタビューしてみたところ諸説あることがわかった。
finaとは英語のfine(優れた、優秀な)と同じ語源を持つ言葉と多くの社員が聞かされていて、どうやら国によっては「素敵な」という意味もある様だが、どこの言語かはっきりとしていない。ただ、常に優れた素材で優れた製品を造ることを目指し、finaの意味に恥じない製品造りをと、多くの候補の中から社員の投票により決定したというのが有力だった。どちらにしても「良いモノ」という意味で間違いはなさそうである。インタビューは開発責任者の芝さんに話を聞いてみた。

プロと共に歩む、開発という名の釣り人

開発流のジグヘッド

HEAT:FINA製品の中心になるのはやはり鈎、フックでしょうか?

芝さん(以下芝):そうですね、今のところはフックが中心の展開になります。他にジグヘッドと呼ばれる、鈎とオモリがひとつになっているものもありますね。それと実は今年からラバージグも始める予定です。

HEAT:ほう、ラバージグ。以前にもラバージグを作っていたような気がしますが?

芝:はい、以前にも作っていたのですが、なかなか開発を引っ張ってもらえるプロがいなかったこともあり一時休止していたんです。今年は6年ぶりぐらいに発売を予定しています。

伊豫部健プロ

HEAT:きっかけは何だったのでしょう?

芝:契約プロのひとりである伊豫部プロが手がけてくれることになったんです。日本のオカッパリからアメリカのトーナメントにと多彩な釣りをされる方なので、様々なノウハウを注ぎ込んでくれるのではないかと思っています。

HEAT:それは楽しみですね!プロと一緒に、製品を開発するということですが、やはり開発スタッフ自身も釣りをされるんでしょうか?

芝:もちろんです。時には一緒にフィールドに足を運びますし、そこで直接見たり聞いたりしたことを持ち帰ったり、場合によっては複数のプロの方々からの意見を組み上げて、それを今度は製作側へと伝えるといった具合です。スタッフは皆基本釣りに精通した人間ばかりですね。横文字が多く、常に変化する釣りなので、プロから意見を吸い上げるためにも、自分自身も普段から釣りをし、理解をするというのは非常に大切ですね。

HEAT:なるほど。釣り人の目線なしでは、プロの意見を引き出せないでしょうから。しかしFINAというブランドが発足したのはもう20年近く前かと思いますが、やはりその時とは随分と開発を取り巻く環境も変わったのでは?

並木敏成プロ

芝:そうですねー。今に比べて、バスフィッシングのメソッドなども確立されていませんでしたし、先ずアイテム数が非常に少なかったですね。プロも開発側も、もっと手探りだったと思います。

HEAT:現在では錚々たるメンバーの方々がその名を連ねて、開発に携わっていますよね?

芝:現在は、と言うよりは、並木プロから始まり、昔から一緒にやってきた事が身を結んできたという感覚ですね。製品が少なかった頃から、一緒に新しく作っていこうとおっしゃって頂きました。製品が少ない分、欲しいものをカタチに出来るという意味での自由度は高かったのだと思います。

HEAT:なるほど。開発も身を結び、ここ数年で製品数は大幅に増えましたよね?

芝:はい。2000年頃でしょうか?いわゆるバスバブル崩壊と言われた時期がありました。各地でのリリース禁止問題や、場合によってはワーム使用禁止などがあり、製品の数を抑えていた時期がありました。しかし、各プロがそれぞれの釣りをするにあたって、不足しない数の製品は最低限作らなければいけないということで、今では昔から残る製品も含め、20種類ぐらいのフックがありますね。

HEAT:しかし製品を簡単に”増やす”と言っても簡単ではないはず。製品に寄りけりだとは思いますが、だいたい一つの製品が完成するのにどれぐらいの期間が必要なのでしょう?

芝:うーん、今新しく発売となっている物でも、こういうモノが欲しい!という企画が生まれてからカタチになるまでは、最低1年半から2年はかかっていますね。先ずはプロトタイプを作成しますが、当たり前ですがプロトはプロトでしかないので、そこから改善点や変更点などを吸い上げ、製作サイドに、時にはより噛み砕いて伝えることもあります。

ハヤブサスタッフ

HEAT:想像していた以上に、地道な作業の繰り返しと長い時間がかかるんですね。

つづく