前回はワームフックのタイプ別の特長やタックルバランス、ストレートフックの見直された背景などを紹介しました。今回はもう少し素材や技術に突っ込んだ話しと、現在メインで使用されているフックなどについて具体的なお話しで す。引き続き、ワームフック開発担当の芝氏にインタビューにお付き合い頂きました。
HEAT:前回はオフセット、ストレートフックの違いや特長がメインでしたが、同じタイプの鈎でも様々なサイズや軸(ワイヤー)の太さがありますよね?
担当 芝さん(以下芝):もちろんです。狙うシュチュエーションや使用するワームが違うので、様々なモデルが必要になります。良く似たフォルムであっても、形状、線径、使用寸などで全く異なった性能になるんですよ。
HEAT:確かにワームの大きさに合わせてフックの大きさを変えるのは理解出来るのですが、イマイチまだ掴めないというか…。もう少し具体的なシチュエーションなども教えてもらえませんか(笑)
芝:こればっかりは釣り人のスタイルや好みにもよりますが…では代表的な、並木モデルを例に取りましょう。
HEAT:助かります!先ずはこの1本という基本になるワームフックはありますか?
芝:それでしたらT・N・Sオフセットでしょうか。
10年先でも遜色なく使用できる基本性能を備え、あらゆるオフセットフックの釣りに対応する。FINAオフセットフックの機軸ともなるモデルですね。また、フッ素コーティングにり、貫通性能も大幅にUPしています。
HEAT:しかし他にも釣りに合わせて変えていくという事は、これだけという訳にはいかないのが面白いトコロ。
芝:そうですね。WRM951は「喰わせのオフセット」とも呼ばれ、大きく膨らんだシェイプと鈎のタワミを利用してトルクをかけてフッキングをします。低重心姿勢も安定しているので、巻きの釣りや、しっかりと魚にワームを咥え込ませ、反転した後にフッキングを決めたい様な時に向いていますね。
HEAT:アワセる前に少し送り込ませる様なイメージでしょうか。ではカバーの中でリアクションで食わせる様な、瞬時のフッキングが必要な場合は?
芝:例えばパワーステージは先程の喰わせ系とは対照的に、よりこちらから攻める様にフッキングすす速掛け系オフセットです。タワミが少なくなる様に形状と線形のバランスを考え、鈎先の向きも若干外側に向けることで、より瞬発的なフッキングに適しています。鈎が徐々にカーブしていくシャンクと呼ばれる部分に角を持たせているので、バレにくく、しっかりと深く掛かります。
HEAT:なるほど。実際にどんな釣りをしているか、その場面が想像出来ますね。ストレートフックに続いて、オフセットフックもまた奥が深い。
芝:前回は瞬発系の鈎としてストレートフックを紹介しましたが、実はストレートフック同様に瞬発的なフッキングに特化したオフセットフックもあるんですよ。
HEAT:それを聞いたらフック選びに更に迷ってしまいそうですが気になります。教えてください(笑)
芝:F・P・Pオフセットは敢えてフックのバランスを度外視して、”掛ける”ことに特化したオフセットフックです。カバーの中に入れた瞬間のバイトや、リアクションの釣りで瞬時にフッキングさせたい時などに向いています。
HEAT:ストレートフック、オフセットフックのお互いの良さを併せ持つフックですね。通常のオフセットとの違いは何なのでしょう?
芝:掛ける事に特化しているということで、鈎の形や鈎先の向く方向が、大きく異なる点ですね。それはワームセッティング時に鈎先が外側を向く形状、たわみの少ないストレートのボトム部分が、フッキング時のパワーロスを軽減させます。さらに貫通性能を向上させるフッ素コーティング仕上げなど、細部まで「掛けること」を突き詰めた仕様です。(第3回に続く)