ハーフヒッチもエンドノットも不要!
もうスッポ抜けない!手早く確実に結べる「イージーSCノット」

結び目を作ると、そのライン特性により結び目の強度が低下してしまうPEライン…。そんなPEラインの弱点を補うために生まれた、数多くの摩擦系ノットの1つに「SCノット」があります。
多くの日本人アングラーになぜか好まれる「FGノット」よりも結び方がかんたんなこのノット。端的に言えば、2つ折りにしたメインラインをリーダーに何回も巻き付けて、最後にリーダーを強く締め込むことで結束する構造の摩擦系ノットです。比較的かんたんでありながら、FGノットと同等かそれ以上の高い結束強度が得られる結び方(ノット)なのです。

とはいえ「最後の締め込みが難しい…」といった難点があるのも事実。いろいろと個人的に試行錯誤するなかで見つけました! もっとイージーな方法を! 今回は恐らく初心者さんにも優しい(だろう)結び方をご紹介します。

結ぶのはかんたんだが…
最後の締め込みが難しい「SCノット」

01_ SCノット

FGノットよりもかんたんに結べる「SCノット」ではありますが…、その結束強度をちゃんと出すためには、メインラインをリーダーに20~30回ほど巻き付ける必要があります。その結束部分の最後の締め込みがなかなかに難しく、締め込みが上手くいかないと、強い負荷がかかった場合にリーダーがメインラインからスッポ抜ける可能性が高いのです。釣り初心者にとってはいささか難易度が高い摩擦系ノットでもあります。

またこれは、なにも「SCノット」に限った話ではないのですが、多くの摩擦系ノットでは結束した際のメインラインの端糸を、「ハーフヒッチ」「エンドノット」で結んで処理してあげる必要があります。しかし、これがなかなか手間がかかり、かつ、どんなに強く締め込んでいても、キャスティングを繰り返しているうちに処理した部分がだんだんと解けてくることがあるのです…。個人的に「これってなんとかならないものか?」と以前から思っていました。
(ノットを定期的に結び直す目安になるという考え方もありますが…)

確実かつ結束の手間を省いた「簡易版SCノット」爆誕!

そしてある日、いつものように「SCノット」を組む練習をしていてこう思ったわけです。「もしかしてSCノットの結び方の一部を変えれば、誰にでも手早くかんたんに結べて、スッポ抜けもなく毎回安定した実釣強度を出せるのではないか? しかも、今までのようにメインラインの端糸を、わざわざハーフヒッチやエンドノットで処理する必要もない摩擦系ノットになるのではないか?」と。
ひらめいたアイデアを基に試行錯誤し、結び方のある一部分に「簡易版SCノット」といえる改良を加えました。

02_ ナマズ

早速ホームフィールドに赴き、実際にこの「簡易版SCノット」を試してみたのですが、60cmクラスのナマズやライギョを相手に強引なやり取りしても、実釣強度的にもガイドのライン抜け的にもまったく問題がありませんでした!
(KガイドやKRガイドよりもガイド口径が小さいローライダーガイドでもテスト済み)

しかも、メインラインの端糸をハーフヒッチやエンドノットでいちいち処理する必要がないので、今まで使っていた自己流摩擦系ノット以上に現場でも手早く結べるのです!!
(メインラインが4本撚りPEライン1.5号、リーダーがナイロン17lbの組み合わせによる実釣テストを実施しました)

03_ ライギョ

ちなみに、私の言う「実釣強度」とは、実際に魚を掛けてやり取りする場合だけを指すものではありません。ルアーを誤って根掛かりさせて引っ張った際に、メインラインとリーダーの結び目からではなく、リーダーとスナップ、またはルアーとの結び目から切れる。あるいはフックやスナップが伸びるくらいの結束強度を持つノットの強さを意味します。

簡易版SCノット「イージーSCノット」の結び方

結束強度100%といわれるオリジナルの「SCノット」よりは結束強度で劣るものの、現場での総合的な実用性に優れたこのノットを、私は「イージーSCノット」と呼んでいます。その結び方を後述しますので、興味を持たれた方はぜひ試してみてください。
実釣強度と実用性に優れ、かつ面倒くさいメインラインの端糸処理が不要であることが、このノットの一番のメリットだと思っています。

(※やや細くて見辛いかもしれませんが、実際のPEラインとナイロンリーダーを使って説明します)

結び方の手順(1)

メインラインを2つ折りにします。

04_ 手順①

結び方の手順(2)

2つ折りにしたメインラインをリーダーに巻き付けます。この際にリーダーの端糸は最低でも10cm以上は確保するようにしてください(最後の締め込み処理で必要なため)。
オリジナルの「SCノット」はリーダーのスッポ抜けを防ぐために、メインラインを最低でも20~30回リーダーに巻き付ける必要がありますが、「イージーSCノット」の場合は多くても15回も巻き付ければ必要充分な結束強度を得られます。

05_ 手順②

結び方の手順(3)

2つ折りにして巻き付けたメインラインの先端の輪の部分に、リーダーの端糸を通し、完全には締め込まずに7~8割程度の力で締め込みます。この際、巻き付けたメインラインを少し濡らすなど湿らせて、滑りやすくすることを忘れないように。

06_ 手順③

SCノット特有のメインラインの締め込み作業には若干の慣れとコツがいりますが、ある程度メインラインを締め込んだ時点で、リーダーを真っ直ぐにし締め込むようにすると、失敗する可能性は抑えられるかと思います。

結び方の手順(4)

メインラインの締め込みさえ上手くいけば、ほぼ「イージーSCノット」の結束は成功したようなもの。この仮止めの段階であれば、メインラインの結び目は強く引くと、まだリーダー上で上下に動かせるはずです。

07_ 手順④

結び方の手順(5)

メインラインとその端糸をくくるようにしてリーダーの端糸を2回巻き付けて、その輪の中にリーダーの端糸を通し、結び目を作ります(リーダーを締め込むとエイトノットの結び目になるはず)。ただし、この段階では完全には締め込まずに、まだ7~8割くらいの力で締め込んでください。

08_ 手順⑤

結び方の手順(6)

手順(5)で作ったリーダーの結び目にメインラインの結び目を寄せ、互いの結び目がくっ付いたら、それぞれを渾身の力で締め込んでください(メインラインの結び目の色が変わるのを目安にするとよし)。結び目を水分で濡らすのを忘れずに。

結び方の手順(7)

メインラインとリーダーの端糸をカットして完成(画像では分かりやすいように、あえてそれぞれの端糸をわざと余らせた状態でカットしてあります)。先端を2つ折りにしたメインラインを、リーダーに10回以上巻き付けたうえで強く締め込み、かつリーダーの結び目で止めている構造なので、このままでもメインラインやリーダーがスッポ拔けることはまずないと思います。しかしそれでも不安な方は、メインラインの端糸で本線にハーフヒッチやエンドノットを数回施しても構いません。

09_ 手順⑦

メインラインの摩擦力だけでなく、リーダーの結び目でメインラインとリーダーのスッポ抜けを防止しているので、あまりに太いリーダーで使うには向いていませんが(必然的にリーダーの結び目部分も太くなるため、ガイドのライン抜けが悪くなります)、少なくとも9号までの1桁号数のリーダーであれば、ガイド抜けの問題もなく使えるハズです。

ノットはとにかく、現場で「素早くかんたん」「確実に結べて」「実釣強度がある」ことが肝要。現場においてノットに求められるのはあくまで高い実用性であって、いくら結束強度が高くても結ぶのに毎回時間がかかるとか、人によって結束強度に大きなバラつきが出てしまうようなノットは、決して実用性が高いノットとはいえないでしょう。その意味で、今回ご紹介したノットはオススメですよ!

それではよいフィッシングライフを。


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レポーターREPORTER

ばんぱく
プロフィール:ばんぱく
ラパラルアーとアメリカンルアー、アニソンとZABADAKとPerfumeの曲をこよなく愛する心優しきオッサンアングラー。さらに競馬や雑学、サブカルチャー系の知識全般にやたら造詣が深い。