
「釣らなきゃ食べられない」…それが離島・新島のリアル。地元スーパーには地魚が並ばず、旬の味を楽しむには自分で釣るしかない! そんな暮らしのなかで、私が出会った「インチク」という釣り方。シンプルなのに驚くほど釣れる、まさに“インチキ釣法”!?
今回は魚が苦手な肉派の私が、それでも夢中になる釣りの魅力と、仲間とともに挑んだ2時間勝負の釣行レポートをお届けします。家族の夕飯、果たして無事に確保できたのか…?
新島の釣り事情

私の住む新島では、休日ともなると堤防が島民で賑わいます。「釣りを楽しむ」のが一番の目的であることは言うまでもありませんが、もう1つ大きな目的があります。それは、「魚を食べるために釣りに出掛ける」こと。
新島のリアル??旬の魚は自ら釣る!
島に住んでいると「地元の新鮮な魚を普通に食べている」と思われがちですが、実は地元のスーパーには地魚がほとんど並んでいません。なぜなのかは分かりませんが、旬の美味しい魚を食べるには、自分で釣るしかないのです! (もちろん「もらう」という方法もあります(笑))
春から初夏にかけてのこの時期だと、サビキ仕掛でアオムロアジが釣れます。鮮度落ちの早い魚なので、刺身で味わえるのは島民の特権。島の名産「クサヤ」の材料としても知られています。また、釣れたアオムロをエサにした泳がせ釣りでカンパチをねらうことも可能! カンパチの刺身、最高ですよね♪
魚との駆け引きに魅了され釣り仲間と
ちなみに私自身はというと…実は魚を食べるのがちょっと苦手で、基本は肉派。魚も美味しいとは思うのですが、刺身は3切れ食べればもう十分。だから「食べるための釣り」よりも、「1本の細いラインを通じて魚と真剣勝負する」その駆け引きに魅了されました。

もっと大きくて強い引きを楽しめる魚を求めて、同じような釣り仲間とチーム「BLUE JERKS」を結成。共同でボートを所有し、今ではオフショア(沖釣り)がメインのフィールドになっています。
インチキ釣法!?「インチク」って?

私が内地からきた友人や釣り初心者をオフショアに連れて行くとき、必ずといっていいほど使うのが「インチク」というルアー(漁具?)です。メタルジグだと「ワンピッチジャーク」や「スロージギング」など、ちょっとした技術が必要ですが、インチクなら底に落としてチョンチョンしてれば釣れる! (※ただし根掛かりしやすいので、操船にはちょっと腕が必要です)
とはいえ、使う人は意外と少なく、もしかすると「かんたん過ぎてつまらない…」と思われがちなのかもしれません。釣具屋さんでも種類は少なめです。でも、青物やマダイが釣れることもあるし、私はインチクが大好き。いつか「インチク釣法普及活動」でも始めようかな(笑)。

天気の隙をみて、短時間でのマハタねらい!

6月某日、台風崩れの熱帯低気圧が接近する予報で、この日は半ば釣行を諦めていました。遅めの朝食を終え、家から2分の海をなんとなく見に行くと…「あれ? 凪いでる!」
島の東側はうねりが届いていて、サーフィンでいうところの“頭サイズ”の波がブレイクしていましたが、西側はうねりをかわして穏やか。若干の風はあったものの釣りができそうです。急いで準備して出発! 午後からは風とうねりが上がる予報だったので、安全を考えて2時間だけの短時間勝負に出ることにしました。
この日はちょうど大潮。タイミング的には干潮で、潮も止まっている時間帯。青物ねらいは厳しいと判断し、根魚ねらいにターゲットを絞って選んだ仕掛は、昔からある漁具「インチク」。釣り方はかんたんで、底まで落としてから「5~10m巻き上げ再び落とす」を繰り返すだけ。なんともシンプルな釣法ですが、これが釣れるんです! 「インチキ釣法」と冗談で呼ばれるくらいです(笑)。
まずはマハタねらいで深場を攻めると、すぐにチョンチョンと軽いアタリが。しかし乗らず、もう一度落として巻き上げたタイミングでガツン! 「小ぶりだけどマハタかな?」と思いきや、上がってきたのは見たことのないオレンジ色の魚。写真を撮ってググって(※)みると……正体は「キツネダイ」でした。
※「ググって」…Googleなどの検索エンジンで検索・調べること

さらに同じポイントでもう一流し。すると、着底と同時にヒット! ちょっと重みがあったので「ウッカリカサゴかな?」と思いましたが、マハタねらいの定番ゲスト「アヤメカサゴ」でした。カサゴ系は煮付けにするとめちゃくちゃ美味いので、これはこれで大歓迎です。

そのあと、ポイントを変えてアヤメちゃんをもう1尾追加。風が強くなってきたので不完全燃焼ではありましたが、家族の夕飯分は確保できたので納竿。無事に帰港しました。
短時間勝負ではありましたが、なんとか家族分の夕飯を確保できた一方、ねらい通りではなかったことで「インチクってかんたんだけど、やっぱり奥が深いなぁ」と実感した釣行でした。

島での釣りは生活の一部でありながら、いつだってワクワクをくれる最高の遊び。これからも新島の海と魚たちに感謝しながら、“インチキ釣法”…いや、「インチク」で楽しく釣っていきたいと思います!
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レポーターREPORTER

ワンコ大好き、イーリオ前田です(イーリオはハワイ語で犬)。趣味の釣りを通して、私の住む東京の島「新島」の魅力をたくさんの方に知ってもらいたくて情報発信しています! 新島でラーメン屋を営んでいます。