
INDEX
- ● バラエティに富んだ日本の内水面の釣り
- ● 海とは違い上流下流があるのが川釣り
- ・水難事故を防ぐために
- ・クマなど野生生物にも要注意
- ・源流部の釣りは登山同様の慎重さで
- ● 川釣り独特の竿出しルール
- ・渓流釣りでは釣り上がり、アユ釣りでは釣り下り
- ・先行者に配慮し海以上に十分な距離感を
- ● 遊漁料の支払い義務など規則・規制が多々ある
- ・購入した遊漁証は上着の見えやすい場所に
- ・禁漁期間の釣りは罪!釣り方にも制限あり
- ● バスフィッシング独特のルール
- ・ランガンが基本のバス釣りだから移動をいとわず
- ・外来魚の再放流禁止など生態系保全を意識しよう
- ・釣り場周辺の生活者に配慮しよう
- ・キャスト時は周囲との距離や方向に気をつけよう
- ● 閉ざされた狭い空間だからこそ徹底すべし
- ・周囲への挨拶、声かけで気持ちよく!
- ・人として最低限のルールとマナー
- ● 「淡水釣りのルールとマナー」まとめ
HEATでは魚釣りを末永く楽しむために、また、魚釣りの社会的地位をより盤石にするため、「釣りのルールやマナー」に関して、日ごろから協力してくれているライターさん向けにアンケートを実施。その結果と貴重な意見をまとめ、今後の釣り人への指針となるようお伝えしていこうという当企画。
今回は「淡水釣りのルールとマナー」。マナー面において海釣りと共通する部分も多いが、ルールに関しては淡水の釣り場独特のものが多いので、海釣り以上に気配りを怠らず釣りをすることが求められる。そんな淡水の釣りにおいて、周囲に迷惑をかけず楽しむためのルールとマナーをまとめた。
バラエティに富んだ日本の内水面の釣り
「淡水の釣り」とは、すなわち川、池、湖、沼など内水面の釣りのことで、フィールドの特性や対象魚、釣り方(ルアー・エサ釣り・友釣りなど)もさまざま。
河原や護岸など岸からの釣りだけでなくボートからの、海釣りでいえばオフショア的な釣りもあるし、ワカサギ釣りでは湖沼に浮かべられた桟橋からの釣りもあり、日本の内水面の釣りはバラエティに富んでいる。


海とは違い上流下流があるのが川釣り
まずは「川釣り」から。海に近い河口から下流部では、ほぼ海釣りの延長と考えてよく、防波堤の釣りや投げ釣りなどとルールやマナーは同じなので、本シリーズ第2回(堤防釣り)や第5回(投げ釣り)の項をご参考いただきたい。
参考:
【第2回】堤防釣りのルールとマナー 周囲に迷惑をかけないための鉄則
【第5回】投げ釣りのルールとマナー 広範囲をねらう釣りならではの鉄則
- ●水難事故を防ぐために
- ●野生生物に要注意
- ●登山同様の慎重さを
水難事故を防ぐために
川釣りで海釣りとは違った独特のルールとマナーがあるのは、中流から上流、源流部の釣りだ。アユ釣りやアマゴ、ヤマメ、イワナなどをねらう渓流釣りがそれにあたる。
第1に考えたいのは安全面。とくに夏場などは急な増水で命を落とすような悲しい事故のニュースが毎年のように伝えられる。そんな事故に巻き込まれないよう天候には十分注意したい。
そのとき釣りをしている場所に雨は降っていなくても、上流部で大雨が降ると大量の水が一気に川を下り、逃げる間もなく大増水した濁流に飲み込まれることがあるので、上流部の雲行きには常時アンテナを張っておくことが必要だ。山の向こうでも稲光(いなびかり)が見えるときは上流部で大雨が降っていることが多いので、すぐに釣りを中止しよう。

さらに上流部で大雨が降るとダムから放水をすることがあり、川は見る見る間に増水する。ほとんどの場合、ダム放水を知らせるサイレンなどが鳴るので、いくら釣れていてもすぐ川から上がり安全な場所に移動してほしい。
クマなど野生生物にも要注意
また「山釣り」とも呼ばれる渓流釣りは山深く立ち入ることになるので、クマなどの危険生物と数遇する可能性がゼロではない。近年は里にまで下りてくるクマも多いようで、渓流釣りだけでなく中流がメインのアユ釣りでもクマ対策は必要かもしれない。クマ避けスプレーやクマ避けの鈴なども装備しておきたい。また、タヌキなど比較的おとなしい野生動物にエサを与えるのも控えよう。
川釣りする際は、天候はもちろん危険生物出没などの情報を事前に確認しておくも大事だ。

源流部の釣りは登山同様の慎重さで
また山深く入る源流部での渓流釣りに出かける際は登山同様、万が一に備え、入渓する場所や時間(行動スケジュール)を身近な人に知らせておくのも大切なことだ。飲料水、食料も余裕をもって準備しておいた方がよい。くれぐれも慎重に行動してほしい。
川釣り独特の竿出しルール
アユ釣りも渓流釣りも、海釣り以上にほかの釣り人との距離感を意識することが大切だ。川釣りでは先行者優先が暗黙のルール、マナー。
- ●先行者への配慮
渓流釣りでは釣り上がり、アユ釣りでは釣り下り
川原や川中を釣り歩く渓流釣りでは下流から上流に向かって釣り上がるのが鉄則で、川幅が広く水量がある中流部でのアユ釣りは上流から下流向きに釣り下るのがお約束。
先行者に配慮し海以上に十分な距離感を
渓流で先行者または先行者の車を認めた場合は、十分に距離(間隔)をとって入渓し釣り上がること。決して先行者に接近、追い越したり先回りしないようにするのがマナー。俗にいう「頭はね(川幅が広い本流で先行者の下流に入る、川幅狭い渓流で上流に入る)」は絶対にNGだ。

遊漁料の支払い義務など規則・規制が多々ある
内水面の釣り場では海のように自由(立入禁止区間、釣り禁止区間や漁業権設定エリアを除く)に釣りができる場所は限られていることを覚えておこう。内水面漁業調整規則で設定されているエリアで釣りをし、設定された魚種を釣るには「遊漁料」を支払わなければならない。違反すると法律で処罰されるので、くれぐれも違反しないようにお願いしたい。
- ●遊漁料が必要な釣りが多い
- ●遊漁証は上着の見えやすい場所に
- ●禁漁期間の釣りは絶対ダメ


購入した遊漁証は上着の見えやすい場所に
アユやアマゴ、マスなどの川釣りは多くの場合、地元の内水面漁協が魚を放流し管理しているので、釣りをする際は必ず「遊漁証(遊漁券)」を購入し、上着の見えやすい箇所に提示しなければいけない。
禁漁期間の釣りは罪!釣り方にも制限あり
またアユ釣りや渓流釣りでは、漁期が定められているので絶対順守すること。禁漁期間に釣りをするのは密漁にあたり、これも処罰の対象になる。
釣った魚の持ち帰りに関しても各漁協の規則(サイズ、尾数)に従うこと。川によってはキャッチ&リリース区間が定められており、管理者のルールに従う(シングルフック、バーブレス)こともお忘れなく。

バスフィッシング独特のルール
スポーツフィッシングとして広まった「バスフィッシング」に代表されるルアー釣りにおいても、そもそも日本にはいなかったバスやブルーギルを釣りのターゲットとして楽しむうえで、守らなければいけないルールがある。
- ●率先してポイントを変えよう
- ●生態系の保全を意識しよう
- ●釣り場周辺の生活者への配慮
- ●キャスト時は周囲に気を配ろう
ランガンが基本のバス釣りだから移動をいとわず
野池、ダム湖、河川などでのバス釣りでフナ釣りなどの先客がいて、その付近が有望ポイントだったとしても、そのフィールドを諦めることも大事。先客優先は海釣りも同じだし、釣りにかぎらず他人を思いやる気持ちが大切だ。ランガンが基本のバスフィッシングなので、率先してほかの場所に移動しよう。

外来魚の再放流禁止など生態系保全を意識しよう
釣り上げたブラックバスやブルーギルなどは外来魚であるため、日本の生態系を守るうえでも、エリアによっては再放流禁止を定めている場合もある。各エリアのルールに従うことが必要。釣った魚をほかの河川や池や湖に持ち込まないことも大切だ。特定外来種の密放流は禁止である。
釣り場周辺の生活者に配慮しよう
野池などを釣り場にすることが多いバス釣りではフィールドのある場所に注意し、私有地には勝手に立ち入らない。近隣に田畑などがある場合も十分注意しみだりに立ち入らず、周辺生活者に迷惑を掛けないように気を付けよう。
もちろんバス釣りに限らず、あらゆる釣りを楽しむうえで必要なことだ。

キャスト時は周囲との距離や方向に気をつけよう
当たり前だが、バス釣りなどルアーフィッシングではクロスしてキャストするなど、周囲のアングラーの邪魔にならないよう注意。キャスティング前に、投げてからリールを巻いて手元にルアーが戻るまでのシナリオ(どこに落として、どう引いて、どのあたりで水面から引き上げるか? など)を頭の中でイメージしておくことも大切だ。とくに対岸まで距離がない場所では、向こう岸のアングラーの正面に立たないようにしよう。
ルアーが根掛かりした場合は、手元でラインを切らず なるべく仕掛側(ルアー側)で切るようにすることも釣り場保全の上で大切。

キャスト時に周囲に注意するのは海の釣りと同じ。人が多い場所では周囲の釣り人と適度な間隔(仕掛が絡まない、ロッドを余裕で取り回せる距離など)も常時気にしておきたい。
閉ざされた狭い空間だからこそ徹底すべし
以下は淡水の釣りに限らず、あらゆる釣りに共通するマナー。海に比べてはるかに狭い空間である内水面で、多くの人が気持ちよく釣りを楽しむために必要不可欠な事柄だ。
- ●声かけ、挨拶を忘れずに
- ●最低限のルールとマナーは全ての釣り共通
周囲への挨拶、声かけで気持ちよく!
先に釣りをしている人がいたら一言挨拶して、邪魔にならないよう十分距離をとって釣りを開始するのは海釣りと同じ。自分が釣りをする場所を変えることも考えよう。

周囲の釣り人の邪魔をしない、また、管理釣り場では施設管理者の迷惑になるような行動をしないことも大切。ワカサギ釣り用の桟橋上を激しく歩いたり、川で釣りをしている人の近くでバシャバシャと大きな水音をたてて歩くなどは言語道断だ。
人として最低限のルールとマナー
釣れた魚は小さければリリース、必要な分だけ持ち帰るようにしよう。渓流魚など希少な魚だけでなく、乱獲は慎まなければならない。
そして、路上駐車や空き地などへの無断駐車、深夜や早朝に大声を出したり騒いだりなど、周辺住民に迷惑をかけないこと。「釣り禁止」「立入禁止」「ボート禁止」「マキエ禁止」などローカルルールを順守。トイレがある場合はトイレを利用。ゴミはかならず持ち帰る。勝手に木など植物を伐採しないこと……などなど。
「淡水釣りのルールとマナー」まとめ
第5回は淡水の釣りにかかわるルール、マナーをまとめたが、ほかの釣り同様、自身の安全に犠牲を払うことなく万全の準備を徹底し、独特のルールを順守しよう。そして全ての釣りにも共通する、人として最低限のルールとマナーを守って淡水の釣りを存分に楽しんでほしい。

【今回のポイント】
- ●水難事故を防ぐために
- ●野生生物に要注意
- ●登山同様の慎重さを
- ●先行者への配慮
- ●遊漁料が必要な釣りが多い
- ●遊漁証は上着の見えやすい場所に
- ●禁漁期間の釣りは絶対ダメ
- ●率先してポイントを変えよう
- ●生態系の保全を意識しよう
- ●釣り場周辺の生活者への配慮
- ●キャスト時は周囲に気を配ろう
- ●声かけ、挨拶を忘れずに
- ●最低限のルールとマナーは全ての釣り共通