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私の地元宮城では、ここ数年ケンサキイカ釣りが大いに盛り上がっています。多くのアングラーがイカメタルでの釣りを楽しむようになり人気もうなぎのぼりです。そこで今回は、イカメタルでのキモ「止める」というアクションについて、私の経験を踏まえて解説します。
なぜ釣れない?見えイカに惑わされた実釣
今年(2024年)は季節の進行が早目なことから「ケンサキイカも早目に釣れ始めるのかな?」と思っていたところ、ちょうど友人からイカメタルの誘いをもらいました。
地元の遊漁船情報でもケンサキイカが接岸しつつある兆候が見られるようで、釣果も出始めていました。とはいえ、お世話になった船長の話では「イカはいるけど不安定な釣果」らしく、「やってみないと分からない」とのこと。
出船してポイントに到着。集魚灯が灯ると水面下にイカの群れが行ったりきたりしているのが観察できました。しかし、この見えイカの群れは全くやる気がないのか、スッテへの反応は悪くなかなか掛かりません。「やる気スイッチがどこにあるのか?」が分からないまま、時間ばかりが過ぎていきました。
結局、見えイカに翻弄されながらもなんとかアタリを拾って数杯のイカをキャッチできましたが、何ともスッキリとしない釣行となってしまいました。
見えイカの捕食行動から学ぶ!
イカメタルをやっていると水面下にイカの群れが見えることがあります。私も何度か経験がありますが、こうした見えイカはなかなか手強く、掛けるのは難しいものです。その結果、気難しい釣りを余儀なくされます。
しかしこういった状況は、イカの行動を観察できるよい機会でもあります。イカの気持ち(?)を理解できれば釣果にもつながるかもしれません。
後ろに回り込んでイカパンチ
回遊する見えイカをスッテに反応させるのはなかなか難しいのですが、何かの拍子に回遊をやめ、止まってスッテに興味を持つイカもいます。そうしたイカを観察していると、スッテに触腕を伸ばしてくるときのイカとスッテの位置関係は、決まってスッテの横からカンナのある後方にかけてです。決してスッテの頭側から触腕を伸ばしたりはしません。
これは多分、スッテやエギ(イカから見れば魚)の反撃を警戒しているからだと思われます。自分(イカ)が安全な位置から攻撃できる位置関係が大切なのでしょう。スッテの後方にわざわざ回り込んでから攻撃を仕掛けることが、観察から分かりました。
また、スッテやエギとの「前後の」位置関係のほかにも、「縦の」位置関係があるようです。見えイカは自分のいる水深よりも深い位置にあるスッテに興味を持つようです。自分(イカ)よりも上にあるスッテは見えないのかは不明ですが、イカの目線よりも下にあるスッテやエギに興味をひかれているようにも感じました。
コレは想像ですが、集魚灯の明かりの下では魚から海面を見上げた際、イカの白っぽいボディは光に溶け込んで魚からはよく見えないのではないかということ。逆に上から見下ろすイカからは魚の姿はよく見えるハズです。こうしたイカにとっての有利な位置関係を、捕食行動での経験上(もしかすると本能的に?)から、イカは身に付けているのかもしれません。
スッテやエギとの位置関係を辛抱強く探る
群れでスクールしているイカはエンペラを進行方向に向けて泳いでいます。イカが泳いでいる姿を見慣れない方は一瞬、魚と見間違えるでしょう。それほどイカが泳ぐスピードは速く、とてもスムーズです。
イカの泳ぎは前後左右実にスマートに、そして後進も前進も思いのままです。こうした回遊するイカをスッテやエギに興味を持たせ、足を止めさせるのはかんたんではありません。回遊するタイミングと潮の具合、前述したイカとスッテなどの位置関係もあると思いますが、引き留めて興味を持たせるのは一筋縄ではいかないことが多いのです。
いずれにしてもスッテを動かすことと止めることを繰り返し、スッテやエギとイカのどの位置関係に興味を持つか探るほかありません。あるいは、潮の動きでさっきまで完全無視だったイカが突然スッテに反応し出すこともありますので、見えイカ攻略は辛抱強く行うことが大切です。
フォールに反応しないなら、見えイカは相手にしない
見えイカにスッテを見せようと、海中に(イカがいるタナに)スッテを置きっぱなしにするのは効果的ではありません。反応がよい時間帯ならそれでもよいのですが、なかなか反応しないイカを相手にするなら積極的に動かした方がまだ期待が持てます。とくに素早くフォールする動きにはよく反応しますし、こうしたアクションに反応するなら見えイカ攻略にも期待が持てます。
しかし逆に言えば、こうした動きに反応しない見えイカの攻略は時間の無駄に終わることも多いものです。見えイカは相手にしないで、ブラインドのイカを相手にした方がいい場合もあります。
竿先に出ないアタリの方が多いという事実
見えイカを観察しながら釣ると、確かにイカがスッテにタッチしているのに竿先には何の変化も現れない場面に何度も遭遇します。竿先に「出るアタリ」の数よりも、「出ないアタリ」の方が多いくらいです。
実際に見えているからこそこの事実に気づくだけで、これが目に見えない水深であれば、イカが掛かるまでに同じように何度もスッテにタッチしていることに気づかずにいるのだと思いました。こうした竿先に現れないアタリをいかに察知して掛けていけるかが、イカメタルの上達の糸口になるのだと考えます。
ときには長く止めておくことも大切!?
実釣での発見!
こちらは「ちなみに」の話ですが…。
見えイカに翻弄され、諦めてロッドを置きぱっなしにして喉の渇きを潤そうと飲み物を手に取ると、ロッドティップがスーッと引き込まれました。とっさにアワセるとグイーンッと明らかにイカの感触が手に…。あれこれやっても釣れない見えイカが置き竿で釣れたことに、とても新鮮さを感じました。
この経験は、船下にできた浅ダナのシェードにまとまったイカを釣るときと同様、動かし過ぎるとなかなか掛からないイカに対して長く止めておくこと、早アワセしないことが効果的なシチュエーションと同じだと気がつきました。
イカメタルのキモは、「掛からないときはそれだけ長くステイさせること」が釣果につながることを改めて実感。もちろん動かすことも大切ですが、それよりも止めて待つことはもっと大切だと思いました。
活性により待ち時間は変わるものの…
「止めて待つ」ことには変わりない
ここでいう「止める」というアクションは物理的に動かさないという意味ではなくて、潮に馴染み外力から影響を受けない状態、エギならフリーフォールも含まれるということになります。波の上下で揺れるのは度を超せばイカのアタリを見失いかねませんが、イカが違和感を覚えずアタリが出るようであれば、許容範囲となるかもしれません。
イカがスッテに触腕を伸ばすまでには、イカとスッテの位置関係の調整が必要です。かつ、何度も触腕でスッテにタッチするもののアタリの出ない場合やベイトの状態、これらを探る慎重さがあったうえで、竿先に出るアタリがやっと出現するわけです。ですので、アタリを引き出すには余計に時間が必要だと思います。
イカの活性が高ければ、こうした段階を踏まなくてもスッテに寄ってから早い段階で竿先に掛けることのできるアタリが現れます。この辺はイカの活性次第だと思いますが、いずれにしてもイカがスッテに触腕を伸ばすまでにはそれなりの時間が必要なわけですから、「止めて待つ」のが大切なことに変わりありません。
イカメタルにおけるスッテのアクションとは、動かすことだけではなく、「動かさない」「止める」ということも大切なアクションだと今回改めて実感しました。
釣れないとき、ルアーマンなら余計にスッテを動かしたくなる衝動に駆られると思いますが、イカメタルに限ってはそれは間違い。止めることこそ最良のアクションだと思われます。「動かさないこともイカを呼び寄せる大切な要素」と意識してみてはどうでしょうか。
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レポーターREPORTER
フライフィッシング、バス、シーバス、ロックフィッシュ、フラットフィッシュ、エギング、鮎釣りまで、さまざまなジャンルを釣りこなすマルチアングラー。現在はスーパーライトからヘビークラスまでジギング全般と、メタルスッテを中心としたイカ釣りに取り組む。
東北エリアの面白い釣りを発信することで、震災復興に繋げていきたいという熱い想いのもと活動中。
GOMEXUS社フィールドテスター /tamaTV社フィールドモニター /キーストン社フィールドサポーター などを務める。
ブログ:Anglershighごめのブログ