ゼロから始める手漕ぎボート釣り【後編】
知っておきたい手漕ぎボート釣りの知識と注意点

はい、どうも! にくです。
ゼロから始める手漕ぎボート釣り【前編】」では、「手漕ぎボート釣り」の魅力と必要な持ち物について紹介させていただきました。後編では「手漕ぎボート釣り」をする際の、船宿の予約から釣り終了までの流れや、安全に楽しむための知識や注意点について詳しく紹介していきます。

「ボート釣りに行ってみよう!」と思った際、どういった手順で行うのかを事前に脳内シミュレーションしておくと、本番当日もスムーズに釣りを始められると思います。

船宿の予約から釣り終了までの流れ

まずは船宿に予約を

ボートの手配は電話などで事前に予約をしておくと安心です。予約方法は船宿によって違うため、ホームページなどで確認しましょう。事前予約制ではなく、当日直接船宿に行って申し込むパターンもあります。

受付をしよう

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こちらも船宿によって違いますが、私が利用しているいくつかの船宿の場合(事前予約可能)は、まず受付で予約時の名前を伝え、受付用紙に記入します。そのあとは、エサや仕掛など必要なものをそろえ、乗船代と一緒に支払いを済ませます。
受付の際に釣りたい魚を伝えれば、釣れそうなポイントなどを丁寧に説明してくれますよ。

準備は出船前に済ませておく

タックルの準備や釣り座のセッティングは出船前に済ませておきましょう。ボートに揺られながらやると手元が不安定で時間もかかりますし、船酔いの原因にもなりかねません。ただし、仕掛やルアーはハリがむき出しだと危ないので釣りをする直前に付けた方がよいです。
ほかにもライフジャケットの着用や、食料などの忘れ物がないか十分に確認しましょう。

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釣り座セッティングの一例

また、風が強くなる時間、雷が発生する時間、雨が強くなる時間など、天気予報アプリなどを使って、よりピンポイントな予報の確認も忘れずに…。ゴロゴロと聞こえてきて、慌てて岸に戻るようなことにならないよう、こまめに時間の確認もしたほうが安全です。釣りに没頭するあまり、時間を忘れてしまうこともありますからね。

いよいよ出船です!

釣り座のセッティングが完了し、全ての荷物をボートに乗せたらいよいよ出船です!

出船方法は「岸から自分で漕ぎ出す」場合と、複数のボートがエンジン付きボートにロープでつながれて、そのまま船宿の方に引っ張って行ってもらう「曳舟」の2パターンがあります。どちらの場合も船宿の方から合図を待ち、1艇ずつ(1人ずつ)ボートに乗り込みます。ボートに乗るときは左右に偏らず必ずボートの中心に乗りましょう。
また、「岸から自分で漕ぎ出す」場合も「曳舟」も、出船時と帰港時は足首くらいまで海に浸かることになりますので長靴やマリンシューズなど濡れてもよい靴が必須です。

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「曳舟」にはほかにも、最初に岸から集合ポイントまで自分で漕いで行き、集合ポイントでエンジン付きボートにロープでつながれ、沖に出るパターンなどがあります。「曳舟」を利用する場合は事前に船宿に手順を確認しておきましょう。

釣りをしている間は

さて、釣りをしている間は絶対に立たないこと! これは安全のために大事なことです。
ボートの前後や左右に偏らず中心に座り、物を取るときやアンカーを上げる際はなるべく低い体勢でゆっくり移動をしてください。2人乗りの場合は相手の位置を常に確認し、2人でバランスよく座ることが重要です。船酔いしやすい人は酔い止めを服用するなど対策をしていきましょう。

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大物が掛かっても重心は低いままで!

また、アンカーを下ろしている場合でも、ほかの船の接近など周囲に気を配り安全第一で釣りをしてください。天気予報がはずれ、予期せず天候が悪化した場合などはすぐに釣りをやめ、岸に戻るようにしましょう。

下船時の注意

「手漕ぎボート釣り」の場合、船釣りのように船長さんから終了のアナウンスはありません。自分で時間を管理し、決められた時間までに岸に戻らなければなりません。

曳舟サービスのある船宿の場合は、決められた時間までに沖の集合ポイントまで戻るようにしましょう。また、岸に着いても自己判断で勝手に降りたりせず、船宿の方の合図を待って1人ずつ降りましょう。降りる際は荷物を持たずに、まずは身体だけボートから降りるようにしてください。荷物を抱えたままの下船はバランスを崩しやすく危険です。

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「手漕ぎボート釣り」に必要な知識とコツ

「手漕ぎボート釣り」の流れを把握しただけではまだ不十分です。より安全に楽しんでいいただきたいので、ここからは、「手漕ぎボート釣り」を安全に楽しむために必要な知識とコツを説明します。

海域の特徴を事前に確認しておく

同じ風速でも、風の向きによって波の立ち方が異なります。釣りをする場所はどの風向きで波が高くなるかを事前に確認しておきましょう。また、遊漁船などの航路で釣りをするのは大変危険ですし迷惑にもなります。航路になる場所を事前に確認し、航路の近くで釣りをするのは避けましょう。小さな手漕ぎボートは大きな船の航行による引き波で転覆する可能性もあるからです。

また、場所によっては海苔の養殖筏などでロープがたくさん張られていたり、根がきつくてアンカー禁止になっている区域があったり…。そして、極端に浅くなっている場所もあったりします。
海中の様子はボートからは見えないため、事前に釣りに行く海域の特徴を調べておきましょう。

漕ぎ方のコツ

ボートを漕ぎ慣れていない人は、つい腕だけで漕いでしまいすぐ疲れてしまうことに…。腕だけでなく、体重移動を利用して身体全体で漕ぐようにしましょう。ちなみに、急いで漕いでも早く進むわけではありません。ゆっくりでも身体全体を使って漕いだ方が進みは早いです。
また、オールを海に深く入れて漕いでしまうとただ重くて疲れるだけです。身体全体を使い、なるべく水面に近いところをゆっくり漕ぐようにしましょう。

08_ ボートの漕ぎ方

さらに、漕ぐ際には手袋をすることをおススメします! 素手でオールを握るとマメができることも。ただし、乾燥したものや、滑り止めのない手袋だとオールにうまく力が伝わらず、余分な力を使ってしまうことになるので、滑り止め付きのものか水で湿らせた手袋を使うと漕ぎやすくなります。

また、向かってくる波に対しては、船首を30°程度傾けて漕ぐのがコツです。ボートが進む際に側面に波を受けてしまうとバランスを崩して危険ですし、ひじょうに漕ぎづらいので気を付けましょう。

09_ ボートの向き

アンカーの上げ下ろし

「手漕ぎボート釣り」は、ポイントにアンカーを下ろして行いますが、アンカーには種類があります。アンカーロープの先にかぎ爪状の金属が付いているものや、重いブロックが付いたものなどがあります。
どちらにせよアンカーを下ろす際は、基本的にアンカーロープを出し切りましょう。アンカーロープを張っている状態にした方が、アンカーが効きやすいからです。アンカーが効かないと釣りのポイントがずれてしまいます。コツとしては、釣りたいポイントにボートが留まるよう潮の流れやアンカーロープの長さ、水深などから逆算してアンカーを下ろすことです。

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周りにたくさん釣り人がいる場合は、さらに注意が必要です。潮の流れが変わってもボート同士がぶつかることがないよう十分な距離をとっておく必要があります。ボート同士の衝突だけでなく、海中にあるアンカーロープが相手の釣りの邪魔になったり、逆に相手のアンカーロープが自分の釣りの妨げになってしまう場合があるからです。

アンカーを引き上げる際の注意点ですが、ボートの端に寄って引き上げようとすると、ボートが傾いて危険ですので、バランスを崩さないよう気を付けましょう。また、アンカーが根掛かりすることもあります。そのときは慌てず、ボートを漕いでロープを引っ張る角度を変えてみてください。アンカーが落ちているところまでボートを漕いで戻ると根掛かりを取りやすいです。

「手漕ぎボート釣り」の注意点

11_ 波をかぶるボート

「手漕ぎボート釣り」は自分が船長となり、ポイントもねらう魚も自由に選択できる魅力的な釣りです。しかし、その分責任も伴います。判断を誤ることで大きな事故につながる可能性もあり、ときには命に係わることも!! 釣りに限らずですが、自然相手のアクティビティではあらゆる事象を想定して備えておくことが大変重要です。

海の状況や風などに常に気を配り、自分の力を過信しない

風や波の強さ、潮の流れの組み合わせによっては、思いのほか進めないことがあります。「こないだはこれくらいの風でも漕げたのに」ということもあると思います。その日の体調や気温によっていつも以上に体力を消耗していることも…。

また、手漕ぎボートで出船できる風の目安は風速4m/sまで。地域や風向き、波の高さによっても異なるので、天気予報や船宿のアドバイスを参考に、波の立ち方や流れ方などの状況変化にも気を配りましょう。

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風だけでなく雲の様子にも注意しよう

そのほかの注意点

手漕ぎボートにはトイレがありません。だからといって、ボートの端に寄って直接海に用を足すのはボートが傾いてしまい危険です。バケツなどを使って立ち上がらずに用を足すのが無難でしょう。
持ち込む飲料を利尿作用の低いものにしたり、身体の冷えから尿意をもよおさないよう、冷え対策をしておくのも1つの手かと。

また、狭いスペースのため長時間同じ姿勢で釣りをし続けることになり、腰や肩に疲れが集中してしまいます。「釣りに没頭するあまり、気が付けば背中がガチガチに!」なんてことにならないよう、合間にストレッチをしたり姿勢を変えたりなど、意識的に身体を動かすようにしましょう。
(船が揺れない程度に行ってください)

繰り返しになりますが、ボートでの釣りは出船してから陸に上がるまでは常に足元が不安定な状態です。バランスを崩さないよう細心の注意を払い、海の状況や風などの小さな変化にもすぐに対応できるような慎重さを備えておくようにしてください。

ゼロから始める「手漕ぎボート釣り【後編】」では、「手漕ぎボート釣り」の予約から釣り終了までの流れや、安全に楽しむための知識や注意点について紹介させていただきました。
「手漕ぎボート釣り」は魅力的で楽しい釣りです! ですが、自然相手に楽しむアクティビティであるため責任も伴います。安全に「手漕ぎボート釣り」を楽しんでいただきたい! そのためには、楽しさと同じくらい安全策についても知っておいてほしいですね。

また、実際に手漕ぎボート釣りをする際の流れや、ボートに乗って釣りをしている様子をYouTubeにアップしていますので、ぜひ参考にしてみてください!


【手漕ぎボート釣り】鯛連発!ボートの乗り方!色々釣れる葉山釣具センター@森戸海岸

YouTube「にく釣りチャンネル」


【手漕ぎボート釣り】大物連発!過去一の爆釣!タイラバ、テンヤ真鯛、ジギング、泳がせ釣り、ビシ釣り、サビキ釣り、全部やる!@神奈川県横須賀市大津港石田丸

YouTube「にく釣りチャンネル」


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にく
プロフィール:にく
おもに神奈川県で釣りをしている「にく」です! 三度の飯より釣りが好き! 雨でも雪でも釣りに行きます。好きな釣りは手漕ぎボート釣り、タイラバ、泳がせ釣り、落し込み釣り、穴釣り…など。そのほか遊漁船にも乗りますし、陸釣りもたまに! そして、微力ながら釣り文化を残していきたいと、釣り場のゴミ拾いなども行っています。まだまだ未熟なのでいろいろ教えてください!
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