東京で楽しむ小さな釣り 初めてのテナガエビ釣りに挑戦!
都内の川で手軽に釣って、美味しく唐揚げに

当たり穴を探す!テナガエビの釣り方

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なかなか当たり穴にアタリません(涙)

テナガエビの釣り方は、ゴロタ場(ゴロゴロした岩や石が数多くある場所)の岩と岩の隙間(穴)に仕掛を落とし、様子を見ることから。テナガエビがいればあまり待つことなくすぐにアタリが出るそう。逆に30秒~1分ほど様子をみても反応がない場合、テナガエビはお留守、つまりハズレ穴ということで次の穴を探りましょう。その繰り返しです。

使ったのはカラフルで可愛いシモリ仕掛。ハリの先に赤虫をチョン掛けし、水中に落としました。
ウキの調整は、赤虫が着底したとき4連になっているシモリウキの下3つが水中に潜っている状態をキープできるよう、シモリを指でつまんで位置を調整します。浅ければシモリウキを下に、深ければシモリウキを上に動かすのです。上手く調整できると、水中に潜っている3つのシモリウキが縦にまっすぐ並びます。並んでいる3つのシモリウキが横や下に動くとテナガエビのアタリの合図となるわけです。

最初にお話した方の言葉通り、なかなか当たり穴を見つけられず、時間だけが過ぎていきました。横に横に歩きながら、穴という穴でテナガエビを「出待ち」します。
20分ほど続け、中腰もだいぶ辛くなってきたのでしゃがんで左の穴から順番に「出待ち」をしていると、視界の右端、ねらってない場所からテナガエビがスーッと現れました! まさかの横からご本人登場ってやつ!? 想像していたのとまったく違う登場の仕方に内心「えっ!?」となりましたが、ここからはもうサイトフィッシング(目で見える魚を釣ること)なので、テナガエビの目の前にエサの赤虫をそっとおろします。すると、長い手が伸びてエサをつかみ口元に運んでいくではありませんか。水深10cmほどの平らな場所に出てきてくれたので、モグモグしている様子がよく分かりました。
これは絶好のシャッターチャンス! しかし、そんなときに限ってトイレに行っていたスタッフ(兼カメラマン)の間の悪さというか、私の運の悪さというか…。

テナガエビがモグモグしているときはまだハリ掛かりしていないので、少しのアタリがあっても焦ってアワせるとすっぽ抜けてしまうそうです。仕掛を軽く持ち上げてみてクンクンという軽いアタリのときはまだ早い、数秒待って竿先を動かさずともコンッ! コココッ! とアタリ伝わってきたらハリ掛かりしている証拠、糸を緩めず手元に抜き上げます。
こうして本来の釣り方ではありませんでしたが、まずはいいサイズのテナガエビをゲット! 「やった! 釣れた!」思わず大きな声が出てしまいました。近くの釣り人から「おめでとうございます!」をいただき、テンション爆上がりです(笑)。

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ドヤ顔してます

釣ったテナガエビは生かして持ち帰るため、ピンセットで丁寧にハリを外しました。そして生かしバケツの中へ…。

このあとポイントを移動してもう1匹。こちらも一瞬だけ穴から顔を出したのを見逃さなかったので、居留守を使われない限り釣れるはず! というまたもやサイトフィッシングもどきな釣り方となりました。
在宅中のテナガエビの玄関先に静かにエサを落とすと、仕掛が馴染む間もなくすぐに顔を出すテナガエビ。エサをつかむと口元に持っていきつつご自宅へとあとずさり…(笑)。ご自宅でモグモグしている様子は見えませんでしたが、1匹目のときと同様に聞き上げをしながら、しっかりハリ掛かりするまで待って抜き上げました。

結局、新左近川親水公園では2匹で終了。最初の不安どおり厳しい釣りにはなりましたが、そんななかでもいいサイズのテナガエビが釣れたのは悪くない、ヨシとしましょう。

仕切り直して新川へ移動

さて、次に選んだ場所は江戸川区にある「新川」です。

新川は1590年に徳川家康によって開削された、中川と旧江戸川を結ぶ小河川です。かつては下総国行徳(しもうさこくぎょうとく:今の千葉県行徳)から江戸市中へ塩などの物資を運ぶため「塩の道」として利用されていたそうです。江戸中期には成田詣での人々を乗せた行徳船が行きかっていたといいます。また、明治時代には蒸気船も就航していた川でしたが、昭和になってからは輸送路としての役割は終わり、現在のように整備され住民の憩いの水辺になったとのことです。

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人けのなさに再びよぎる「ふあん」の3文字

ところどころ、歩道から水面に近づくことのできるテラスがあり、そこからも釣りをすることができます。新川ではそのテラスからテナガエビをねらうことにしました。

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テナガエビが隠れていそうな穴を探る

このポイントでも、テナガエビが隠れていそうな穴を順番にねらっていきます。暗い穴の前にエサを着底させると、5秒も待たずに奥からスッと現れましたテナガエビ! あらご在宅でしたか! 両手のハサミを器用に使い、赤虫を口元に持っていきつつあとずさり…。数秒待って軽く聞き上げました。クンクンはまだ早い、こちらが竿を動かさなくともクククッ! と鋭いアタリがあったらハリ掛かりの合図。テナガエビの抵抗を竿に乗せるようにして手元に抜き上げます。

「っしゃあ~! 釣れたよ!」と振り向くと、そこにいたのはスタッフではなく、ちょうどお散歩中の愛犬家の方々でした。目が合った女性が「お! 唐揚げ!」と言ってくれたので、私も思わず「はい! 唐揚げ!」と照れくさいながらも返したのでした(笑)。ここ新川がテナガエビのスポットということは、住民のみなさんによく知られているということですね。思い立ったときにふらっと酒の肴を釣りにくることができるこの環境がうらやましい。

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Tシャツには「NO SASHIMI NO LIFE」と描かれていますが唐揚げにして食べます(笑)

そして時間は過ぎタイムアップ。初めてのテナガエビ釣りは期待を大きく下回り3匹で終了しました。それでもクーラーボックスの中にセットしたケースにテナガエビを入れ、ブクブクさせながら意気揚々と帰ったのでした~。

泥抜きをして美味しく唐揚げに

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こうやってブクブクを入れた状態で置いておくとなんだか愛着が沸いてきてしまいますが、美味しい唐揚げになっていただくべく、泥抜き開始です。まずは帰宅してすぐに水道水で水替えをしました。そして翌日の朝、もう1度水替えをするときに容器の底を確認すると、少し泥がたまっているのが分かりました。泥抜きができている証拠ですね。

さて、泥抜きが完了したところで調理に入ります。
まず、お酒で締めるところからですが、すでに十分に泥抜きができているので、臭みを消すというよりは暴れられるのを防ぐためにお酒を使いました。そして、締めたあとは胃袋(砂袋)を除去しておきましょう。テナガエビの口につまようじの先を入れ、引っかくようにすると黒い袋が取り出せます。見た目は背ワタのような感じでしょうか。ツノは食べたとき口の中に刺さると痛いのでキッチンバサミで先端を切り落しておきました。
軽く水で洗い、十分に水気をふき取ってから軽く小麦粉をまぶします。そして180度の油で1分程度揚げればOK! 最後に塩をパラリと振って出来上がりです。

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これはビールが進む!

見た目も美しく、テナガエビの鮮やかな色に食欲が刺激されます。早速食べてみると身はもちろん美味しかったのですが、「殻ってこんなに美味しいのね!」と新たな発見でもありました。味付けは塩だけだというのに、これはビールが進みます! 3匹しか釣れなかったことがひじょうに悔やまれますが、新鮮なテナガエビを揚げたてで食べられるというこの贅沢は、間違いなく釣り人の特権ですね。

この時期、川によってはすぐにツ抜けできるところもあったようで、もしかしたら同じ都内でも川によってシーズンが少しずれているのかもしれませんね。オカッパリは船宿のように毎日釣果情報が公開されているわけではありませんので、普段からSNSなどでマメに情報をキャッチすることが重要だと改めて感じる釣行となりました。

コンパクトな道具で楽しむ小さな釣り。釣って楽しく食べて美味しいテナガエビ、おススメです!