ワカサギ接岸で好機到来!
箱根芦ノ湖のトラウトをミノープラグで攻略

今年も3月1日に解禁を迎えた箱根・芦ノ湖のトラウトゲーム。ルアー、フライ、トローリング、ジギング、ムーチングなど、季節に応じてさまざまな楽しみ方がある人気のターゲットです。そんなトラウトゲームのなかから、ミノープラグを用いたゲームについてガイダンスしてみたいと思います。

02_ 湖畔の桜
3月に解禁を迎えた芦ノ湖。日本のルアーフィッシングを象徴するフィールドだ

解禁当初は中層からボトムがねらい目

芦ノ湖に生息するトラウトは、レインボートラウト(ニジマス)を筆頭にブラウントラウト、サクラマス、イワナ、ヒメマス、コーホーサーモンなど多種にわたります。ルアーキャスティングに限って言えば、主なターゲットはレインボー、ブラウン、サクラマスの3魚種といってよいでしょう。

解禁当初は水温も6~8と低く、湖上は冬の延長のようなイメージ。放流されたばかりのトラウトたちは、岸近くのボトムや沖の中層を泳ぎながらエサを探しています。ルアーはその泳層をできるだけスローに探れるものが有利であり、岸釣り、ボート釣りともに4~10gのスプーン、またはサスペンドタイプのプラグをチョイスすることがヒットへの近道となります。

このときのタックルは6~7ft(フィート)のライトアクション・スピニングロッドに小型スピニングリール、ラインは6lb(ポンド)以下のフロロカーボン、あるいは8lb前後のナイロンラインというセッティングが標準です。PEラインを使用する場合は、0.6号前後にフロロカーボン8lb程度のリーダーを結びます。

ワカサギが接岸すればミノーの出番

水温が10℃を超えてくる3月下旬から4月中旬にかけては、産卵を控えたワカサギの群れが浅瀬に接岸するようになり、湖岸の各所で無数のワカサギを目にすることができます。そしてこのころからミノーゲームが本番に突入し、ゴールデンウィークが明ける5月初旬までチャンスが続きます。

ワカサギは冬の間、水深10m以上の深場にいますが、この時期は岸際を回遊。これを捕食するトラウトも岸近くまで入り込むため、エキサイティングなゲームが成立するというわけです。こんな状況のため、岸から釣るなら不用意に立ち込んだりせず、ボートから釣る場合も浅瀬に近づきすぎないよう気を付けることが鉄則。たとえ肉眼で見えていなくても、岸辺にはワカサギが群れ、その周辺にはワカサギをねらう大型のトラウトが潜んでいる。そんなシーンを頭に描いて、慎重にアプローチしてください。

07_ 岸際
風や波が打ち付ける浅瀬。こんなところにトラウトが入ってくる

使用するミノープラグは11~13cmのスリムなミノーと、9cm前後のシャローランナー、それと7cm前後のI字系。それぞれをどのように使うのか、今から解説しましょう。

08_ トラウト用のプラグ
芦ノ湖のトラウトゲームで活躍するミノー

トラウトのプラッギング① グリグリメソッド

さて、芦ノ湖のトラウトゲームの代名詞といえば、なんといっても「グリグリメソッド」でしょう。ボートから岸際のポイントめがけてルアーをくまなく撃っていくアグレッシブなスタイルは、これまで多くのドラマを生んできました。

09_ ブラウントラウト
グリグリメソッドでヒットした50cm級のブラウントラウト

グリグリメソッドとは、キャストしたルアーとロッドを一直線に構え、リーリングだけでミノーを動かして誘う方法。グリグリ、グリグリ、と断続的にリールを巻いてアクションを演出するのが、その名の由来です。
この釣りではロッドの弾力を一切使わないため、ひじょうにシャープなストップ&ゴーを演出することが可能。メリハリの効いたミノーの動きに誘われ、警戒心の強いビッグトラウトもひったくるようにアタックしてきます。

10_ スリムミノー
グリグリメソッドに適した11~13cmのスリムミノー

タックルは7ftから7ft半の強めのトラウトロッドに3000番クラスのスピニングリール、ラインはナイロンの8~12lbが一般的です。この釣りのベテランはトラウトの警戒心をやわらげるため、光の透過率が低いグリーンやブラウンカラーのラインを好んで使っています。

11_ グリグリメソッドのタックル
グリグリメソッドのタックル例

釣り方のコツは、できるだけ岸いっぱいまでキャストし、グリグリ、グリグリ、と一定のリズムで船べりまで引いてくること。リールを巻くスピードや回数、ポーズの時間はケース・バイ・ケースです。これが正解というものはなく、その日の条件や魚の反応を見てアジャストするのも重要な戦術。うまくハマればロッドを持つ手に衝撃が伝わり、リールからはドラグ音が響くはずです。
キレよく動くミノーに大きな魚影が猛然とチェイスしてくるシーンは、何度見ても興奮します。

トラウトのプラッギング② スローリトリーブ

続いてご紹介するのは表層のスローリトリーブ。グリグリ用より一回り小さな9cm前後のミノーを使います。弱ったワカサギが水面を泳いでいる様をイメージしてヨタヨタと一定速度で引き続けたり、時折トゥイッチを入れてイレギュラーに動かしたり。グリグリメソッドのスピードでは追いきれない、あるいはミノーのサイズが大きすぎると感じる状況で効果的です。

12_ ブラウントラウト2
倒木周りをヨタヨタと泳がせたミノーに60cmオーバーのブラウンがヒット
13_ ミノー
グリグリ用より一回り小さなミノーたち。サイズは7~9cmが使いやすい

トラウトのプラッギング③ ホットケメソッド

ここまで紹介したふたつのメソッドは、リップの付いたミノーが主役ですが、ここ数年はI字系ミノーなどを使ったホットケメソッドも多くの実績を挙げています。ホットケとは文字通り、キャストしたルアーをそのまま放っておくことを指します。

14_ I字系ミノー
ホットケメソッドに適したルアー。I字系、ベントタイプなどリップレスのものが主流だ

I字系の語源は、リーリングしてもアクションせず、真っすぐに泳いでくること。イメージとしては瀕死、もしくはすでに死んでしまって風で流されているワカサギです。したがってアクションはとくにつけず、水面や水中に放置して漂わせたり、ゆっくり直線的に引いたりするだけ。グリグリメソッドが「動」の釣りだとすれば、こちらは完全に「静」の釣りといえます。

この釣りで使うルアーは総じて小型・軽量のため、タックルはPEラインの0.6号~0.8号にリーダーを結んで飛距離を優先するのがベター。しかしヒットするトラウトは大型が多いため、ファイトはスリリングなものになります。傷の入ったラインをそのまま使ったり、リールのドラグ調整を怠ったりすることのないよう、万全を期してトライしてください。

17-20_ トラウト釣果オンパレ
ライトなタックルながらヒットするトラウトは大型ぞろい。やりとりはスリリングだ

シーズンは5月の連休明けまで
荒れた日はとくにねらい目

ミノー系のルアーを用いたトラウトゲームは、彼らがワカサギに注目する3月後半から5月の連休明けまでがシーズン。それ以降も条件次第では成立しますが、ヒット率は徐々に低下。トラウトたちが深場に落ち、ブラックバスと入れ替わったら終了です。
条件的には釣りが可能な範囲内で風が吹いていたり、雨が降っていたりと、荒れ気味の日がベター。運よくそんな日に当たったら、ビッグヒットを期待してよいと思いますよ。

レポーターREPORTER

プロフィール:高橋 大河
1960年東京都出身。釣り媒体の編集・ライティングを経て現在はフリーランスで活動するライター。得意な釣りは、淡水・海水のルアーゲームをはじめとした身近なライトゲーム全般。間口が広く奥の深い釣りがとくに好き。「釣りは釣れなくても楽しい」がモットー。