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磯フカセ釣りというと少しハードルの高い釣り…。でも磯フカセ釣りをされている方は結構多く、一度はまってしまうと何年も続ける方が多い気がします。そんな釣りの魅力は何なのか? 個人的な視点から、その魅力を紹介したいと思います。
寒グレは産卵前のとてもナーバスな魚
でもそれが面白い!
私はグレ釣りが好きで、毎年12月~3月に磯フカセ釣りに行っています! 今回は磯フカセ釣りのなかでも、とくに私が好きな寒グレを例に紹介したいと思います。
寒グレは水温が下がった時期にねらうため、温かい時期に比べると回遊範囲が狭い釣りモノです。グレはもともと警戒心が強く、上手にエサを捕食する魚でもあります。また、寒さが厳しい真冬から早春にかけては、春の産卵に備えて栄養補給をするため、2月ごろになれば体は丸々と大きくなり体力もついてきます。
大きな個体は人影や音に敏感なため岩陰で警戒しながらエサを食べ、なかなか外に出てきてはくれません。そのため、サシエをグレの口元に届けないと食ってはくれないのです。同様に、エサに違和感があるとすぐに吐き出してしまうので、ハリスの流し方にも気を使います。
また、ウキによる微妙な違和感やラインテンションを極力なくして、仮に上手くグレにエサを食わせることができたとしても、食った瞬間に反転して岩陰に逃げ込むため、掛かったあともシモリや足下の磯際に注意しなければ、ハリスを切られてしまいます。
そんなナーバスな時期のグレを釣り上げるには、ほかの魚を上手く交わしてグレの口元にサシエを届け、エサをくわえた瞬間にアワセを入れなくてはなりません。掛けたグレはとてもアクティブな引きで、細仕掛で魚を浮かせるスリルと何度も海底に突っ込む独特の引きはたまらないのです! 柔らかい磯竿のしなりを最大限に使って、魚の動きに合わせラインを巻いたり出したりするそのやり取りが面白く、私はトリコになってしまいました。
釣り上げたばかりのグレは鮮魚コーナーに並べられたときとは違い、体はとてもキレイな色をしており、とくに輝く「ブルーの目」は何とも言えない美しさです! この美しさに出会えるのは釣り人の特権! さらに、回遊しているグレとその場に居ついているグレは色が違うのも面白いところ! ぜひ釣り上げて見比べてみてください。
荷物が多いので工夫が必要
フカセ釣りは「コマセ」というマキエを撒いて魚を集め、コマセの中にサシエ(ハリを付けたエサ)を同調させるように漂わせて食わせるという釣りです。なので、コマセがかなり必要です。
時期にもよりますが、オキアミブロック3kg/枚を2枚に集魚剤と配合すると、エサだけで7kg前後にもなります。これにタックルがあるので、荷物の重量はなかなかのもの。なるべく道具を少なくする工夫が必要です。
また、とても軽い仕掛で釣るので、ウキ、ハリス、ハリを風や波の状況に合わせて変えなくてはなりません。そのため、いろんな種類やサイズの小道具が必要です。磯の上は歩きにくいので、いちいち荷物を取りに移動するのではなく、小物はライフジャケットのポケットに入れておくとすぐに交換できて楽です。
竿は柔らかくラインも細いので、よいサイズの魚が掛かった場合タモ入れが必要です。
磯の上ではタモを置く場所も考えないと、魚を掛けてからタモが取りにくい場合、魚をバラすだけでなく焦ってつまずいたりしてケガにつながる恐れもあります。釣りを開始する際、釣れたときのことを考えてから釣りを始めるのがよいでしょう。
渡船の場合は地域やルールの違いに注意
沖磯で釣りをする場合「渡船」を利用して磯に渡してもらうのですが、場所や地域によってルールが違います。集合時間や乗船方法、エサの種類など、予約時に事前に確認しておきましょう。
場所によっては荷物を縛っておくロープが必要であったり、使用できないエサ(集魚剤)があったりします。初めて訪れる際には注意が必要です。
安全への配慮はぬかりなく
磯フカセ釣りをする場所は大きく分けて、山を歩いて海まで出ていく「地磯」と、渡船で磯に渡してもらう「沖磯」があります。どちらにおいても共通することは「安全を第一に!」です。
まず服装などの装備ですが、磯は濡れていたり、コケや海藻が生えていたりととても滑りやすい場所です。また、岩肌はゴツゴツしているので、滑って転ぶと大けがにつながりかねません! そのため、「スパイク付きのシューズかブーツ」は必須です。
そして、万一海に落ちてしまった場合、波で身体を磯に打ち付けられないようにするために、沖へ向かって泳ぎ船の助けを待たなければなりません。ライフジャケットが必須なのは当たり前ですが、磯に引っ掛けて穴が開いては危険なので、膨張式のライフジャケットではなく「固型式浮力材の入ったタイプ(フローティングベスト)」のものを使いましょう!
また、磯に手をついたり頭を磯にぶつけてしまったときに少しでもケガを防止するため、「フィッシンググローブ」や「帽子」もお忘れなく!
次に、天気同様気を付けておきたいのが「波」。天候や海上の状況によって思わぬ方向から波をかぶることもあります。磯の場合、波の確認は正面だけではなく「横や後ろなど全方位」に注意を払うようにしましょう。急な高波やウネリで荷物が流されてしまうこともあります。
磯ではケガや事故のリスクがほかの場所よりも高くなります。まずは「安全対策」をしてから楽しんでください!
磯フカセに秘められた楽しみ
磯フカセ釣り、とくに寒グレをねらった釣りは、前述したように「繊細な攻め」「ダイナミックでハラハラするやり取り」「美しい魚体」が魅力です。しかしそれ以外にも、「何が釣れるか分からない!?」ことも楽しみのひとつです。
冬の時期は比較的エサ取りも少なく、魚種もそこまで多く釣れるわけではありませんが、それでも本命のグレ(メジナ)以外にサンノジ(ニザダイ)、イスズミ、アイゴ、イガミ(ブダイ)、オジサン、アカハタ、メバル、シマアジ、タカノハダイなどいろんな魚が釣れたりします。
そんな嬉しいゲストには美味しい魚も多いので、思いがけない1尾や新しい出会いといったことも、アングラーにとっての魅力のひとつと言えるでしょう。
私の年明けの釣行ではシマアジが釣れたので、刺身と炙りにしました。そして、本命グレの煮付けとともに美味しくいただきました。
また、磯はほかの釣り場よりも山肌や岩といった、自然の地形を目にすることが多いのではないでしょうか。磯の上に立てば、「海と自然が作り出した岩場」や「崖が崩れた山肌」、「真っ青な空」、「広い海」などを肌で感じられます。
そんな雄大な大自然の中で釣りを楽しめる磯フカセ釣りは、まさに自然の力を実感し、自然との調和を楽しめる釣り。荷物の工夫や渡船利用の際の注意、装備や安全対策に気を配らなくてはりませんが、私にとっては魅力的であり過ぎるため、すっかりハマってやめられないのです…(笑)。
みなさんもこんな魅力たっぷりの「磯フカセ釣り」、いかがですか?
レポーターREPORTER
大阪在住
子どものころから釣りが好きだったものの、社会人の間はブランクが…。令和になってから釣りを再開したリターンアングラー。大阪、和歌山、京都、兵庫をホームに季節に合わせて魚種を変え、1年を通じで釣りを楽しんでいる。