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毎年、秋の風が吹くころになると盛り上がる「ハゼ釣り」。年齢・性別・釣り経験の有無などを問わず誰もが楽しむことができる手軽さがありながら、やればやるほど奥が深い。そんな人気の釣りものです。
もちろん、私の地元・静岡県浜名湖でも大人気のターゲット。本湖沿岸部はもとより、流入する大小の河川はほぼすべて釣り場と言っても過言ではなく、季節や状況に合わせていろいろな楽しみ方ができます。主体はエサを使ったウキ釣りやチョイ投げの釣りですが、近年では「ハゼクラ」と呼ばれるルアーゲームを楽しむ人も増えています。
さて、そんな浜名湖でのハゼ釣りシーズンですが、例年なら8月の中旬くらいから10cm前後の小型が釣れ始め、9月、10月には大型交じりで最盛期に突入という流れ。しかし今年は7月中から、各所でそこそこの釣果が出ている様子。8月初旬、居ても立ってもいられずに本番前の試し釣りへと出かけました。
釣り場は奥浜名湖の有名ポイント
今回の釣り場は、浜名湖のなかでも有数のメジャースポットである都田川。釣果はもちろん、アクセスや足場のよさも相まって、シーズン中は平日でも多くのハゼ釣りファンでにぎわうところです。しかしこの日は本番前の平日、しかも猛暑日だったせいか、貸し切りに近い状態でした。

朝7時、釣り場に着いて川を覗くと浅瀬にはたくさんのハゼが目視でき、期待は十分。潮は上げの3分ほどで、これから3~4時間かけて満潮に向かうタイミング。主なねらい目はカケアガリの周辺ですが、上げ潮に乗って浅瀬に入ってくる個体をサイトフィッシング(見釣り)で釣るのも面白そう。そんなことを考えながら、そそくさと道具を準備します。
エサはボイルホタテ
短竿でのウキ釣りでトライ
用意した竿は2.7mと3.6mの延べ竿。釣り方はウキ釣りです。アタリがなければすぐに移動できるよう、道具はコンパクトにまとめておきます。
この日の仕掛は道糸1号前後にウキ、自動ハリス止め、その先にハリス付きのハリを結んだもの。ハリスは15cmほどと短くしました。

シンプルなので自作するのもかんたんですが、市販のウキ釣り仕掛を使えばビギナーでも楽チン。写真の製品のようにスペアのハリが付いていれば、根掛かりの際にも安心です。購入の際は、竿の長さに合わせて仕掛の長さを選んでください。
また、釣れるハゼの大きさや食いの良し悪しに対応するため、予備として異なる号数のハリを用意しておくのもポイント。今回はシーズン初期ということもあり、小さめの6号、7号を準備しました。

エサはスーパーで調達したボイルホタテ。近年よく使われているエサですね。私は普段、ゴカイやアオイソメを使うことが多いのですが、食いのよさはどちらも変わらないと思えるので、虫エサが苦手な人はホタテを持っていくとよいでしょう。ハリに刺す際は、貝柱の繊維を数本付ければOKです。

足下から探り、徐々に沖のポイントへ
こんな仕掛でいよいよ釣りを開始。手始めに、見えているハゼの目の前にエサを落とすと早速の好反応。数尾のハゼが争うように食い付いてきます。しかし手前にいる個体は総じて型が小さく、なかなかハリに掛かってくれません。

そこで少し深いほうにエサを入れたり、杭や石の周りを攻めたりするとポツポツとヒット。

最もアタリが多かったのはやはりカケアガリの周辺で、サイズも一回り大きなものが食ってきました。釣れたハゼは洗濯用のネットに入れて生かしておきます。

…と、ひときわ大きなアタリがあり、20cmほどの大型が上がってきました。しかしこれはマハゼではなく、ウロハゼという別の魚。下あごの突き出たいかつい風貌で、口には鋭い歯が並んでいます。さらにヌマチチブ系の別種も釣れ、図らずもハゼ系の五目釣りになりました。


そうこうしているうちにすっかり日も昇り、じっとしているだけでも汗が噴き出るほどの暑さに。そこで、10時半を過ぎて潮の流れが緩くなったのを機に納竿。
結果は外道2尾を含め、トータルで28尾の釣果。食べるにはまだ小さいサイズが大半だったため、すべてリリースしてきました。次回は食べごろに育っていることを期待しましょう。

短時間で誰にでも楽しめる!

最初にも書いた通り、ハゼ釣りは仕掛もシンプルで魚の反応もよく、難しいテクニックも不要なお手軽フィッシング。今回はウキ釣り仕掛で足下からカケアガリまでの範囲を釣ってみましたが、同行者もコンスタントにアタリを捉えることができて大満足の様子。
丸一日頑張ればかなりの釣果が期待できるし、朝夕、あるいは日中の短時間だけ釣りを楽しむことも可能。これからの時期はハゼのサイズも日に日に大きくなり、ますます面白くなりますね。
もちろん、釣ったあとは食べても美味しいのがハゼ釣りの魅力。わが家では季節の野菜とあわせて天ぷらでいただくことが多いです。食味のよさに食欲の秋も相まって、食べ過ぎには注意しなければなりませんが(笑)。

晩秋に向けてはチョイ投げも面白い
これから最盛期に向けて、ハゼのポイントは少しずつ深いほうへと移っていきます。というより、浅場に群れていたハゼが広範囲に散ると言ったほうがよいかもしれません。そうなったら、ウキ釣りのほかにリール竿でのチョイ投げも効果的になってきます。
チョイ投げ釣りでは足下から沖目まで広く探ることができるうえ、クロダイやセイゴなどのゲストが混じりやすいのも魅力。思わぬ大物のヒットに興奮することもよくあります。遠浅のポイントや、大物がよく上がるポイントではぜひお試しください。

エサはゴカイやイソメが断然有利。もちろんボイルホタテでも釣れるのですが、キャストした際の「エサ持ち」が悪いのが玉に瑕(きず)です。
この記事が出るころには、どの釣り場もよいシーズンになっているはず。みなさんもぜひ、お近くの釣り場に出かけて秋の一日をお楽しみください。

レポーターREPORTER
1960年東京都出身。釣り媒体の編集・ライティングを経て現在はフリーランスで活動するライター。得意な釣りは、淡水・海水のルアーゲームをはじめとした身近なライトゲーム全般。間口が広く奥の深い釣りがとくに好き。「釣りは釣れなくても楽しい」がモットー。