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水辺で楽しむ「釣り」、対して山で楽しむ「クライミング」。一見相容れない2つのアクティビティですが、長年その双方を趣味にしている私にとっては、「何とか一緒に楽しめないか?」そう思わずにはいられませんでした。なんせ、休日の時間は少ないですから……。
実は場所とタイミングさえ考慮すれば、釣りとクライミング(ボルダリング)は決して一緒に楽しめないわけではないのです。ただし、両方を「ガッツリ!」楽しもうとすれば、少々無理があるのは事実…。なので今回は、「いかに手軽に釣りとクライミングを楽しめるか」をテーマに、釣り風にいうところの「LFC(Light Fishing & Climbing) ライト釣りクライミング(?)」を実践してみました。どうぞご覧ください!
釣りとクライミング
2つを満たす場所選びは重要
「釣り」を楽しめる場所は“海・川・池“です。そして「クライミング」を楽しむことができるのは”山・河原・海岸“。”山“は2つを一緒に楽しむには少々難しいかもしれませんが、意外に接点はあるものです。「水辺で岩がある」場所、もっといえば、アプローチや釣りやすさ、登ってもよい岩かどうかといった”手軽“な場所を聞き込みしました。
釣りの情報は比較的入ってきやすい環境にあるのですが、果たして登れる岩があるのか…。クライマーの友人や足しげく通っているクライミングジムの方にもご協力をいただき、程よい場所を発見! 会社の後輩で、しっかり登れるクライマー津田くん(もちろん津田くんにもエリアの相談を)にも協力してもらい、兵庫県某所にあるエリアに出掛けることにしました。
何にしても道具は少なめに
実は以前、同様の釣り&クライミング企画をやったことがあるのですが、「しっかり登って、ちゃんと釣りたい!」という少々強欲な思いから、大荷物を抱えて往生した経緯がありました。なので今回は、できるだけ少ない荷物でライトにいくために、道具を最小限に絞ります。
クライミングに必要な道具は、クライミングシューズとチョーク(チョークバッグ)、そして安全対策のためのクライミングマット(クラッシュパッド)と岩の汚れやチョークを落とすブラシなど。そして釣りに必要な道具は、ロッドにリール、仕掛とエサです。
クライミングはシンプルですが、釣りにおいては「何をねらうか?」「どんな釣り方をするか?」で道具立ても変わってきます。できるだけ荷物を少なくしたかった今回は、ロッドを汎用のパックロッドにし、大袈裟な仕掛が必要ない軽めのメタルジグとブラクリのみに。とにかく空いた時間で足下や近くを探る釣り方で、何かしらの魚をGETする作戦です。
あとは、せっかくの外遊びを満喫するために昼食をカップ麺にし、バーナーとクッカー・水をクーラーボックス(7~10L程度)に詰め込んで持って行きました。カップ麺にすればお弁当ほどかさばらず、しかもクーラーボックスは収納兼、もし美味しい魚が釣れたら持ち帰るのにも便利です。
まずはボルダリングで燃えましょう!
時間の使い方についてもやや工夫を。少ない時間で存分に満喫するため、午前中のみクライミングの時間にあてることにしました。
訪れた場所は切り立った断崖絶壁に悠久の歴史を感じさせる地層が露出したエリア。登る目的の岩はその斜面のすそ野に位置し、釣りができる海岸まではほんのわずかといった最高のロケーション。釣りとクライミングの移動の時間も節約できるうえ、岩には数本の課題※が引かれていて楽しめそうです。
※クライミングは開拓者(≒初登者)さんが登るルートを発見し、課題としてグレーディングや命名を行ってくれています
短期決戦と決め、トライする課題を1~2本に絞ってアタックすることに。津田くんと2人で安全対策のためのマットを設置しホールドを物色。どうやって登るかのムーブ(身体の使い方)を自分なりに模索し攻略のアイデアをぶつけ合います(この時間も楽しいのです!)。イメージが固まり、モチベーションが上がってきたところでいざトライ! まずはエネルギッシュで外岩慣れしている津田くんからスタートしました。
外岩慣れしているとはいうものの、初めてトライする課題は難しいもの。ホールドの感触は触ってみないと分からないため、必要以上に力が入り体力を消耗します。1登目で登ってしまうことを「オンサイト」、人の登りを見て登ることを「フラッシュ」と言うのですが、残念ながら強い津田くんをもってしてもオンサイトすることはできませんでした……。
数登のトライを繰り返しながら、徐々に課題を詰めていきます。ムーブも安定し核心箇所も練習でつながるようになってきました。私も写真を撮りながら時折り課題を触らせてもらいましたが、なかなかに難しそうな課題。そうそう言い忘れていましたが、課題のグレードは「初段」という、それなりにトレーニングを積んでいないと登らせてくれない難易度なのです。そうこうしているうちに、「登りますわ!」と津田くんからの完登宣言が出ました。
さほど緊張するような場面ではありませんでしたが、私にも自然と力が入ります。スタートから中盤までは既にスムーズな身のこなし、そして中盤でやや身体が振られる力強いムーブをこなし、中盤から後半にかけての超パワームーブ…。津田くんは何度も繰り返し確認したムーブで危なげなく核心を越え、岩の上へと嬉しそうに登って行ったのでした~! お見事です!!