HOW TO TAI-RUBBER GAME!
タイラバという釣りをオススメするそのワケとは?

今シーズン(2020年)は“世界を止めた”あのウイルスにより、私の動きも一気に変えられてしまいました。今年も各国で釣りをする予定だったのですが……、ここまでの状況になるとは誰もが予測できない事態で、生活様式も大きく変わってしまいましたね。
先行き不安などネガティブ要素の多い状況のなか、それでも、釣りを含めたアウトドアが世の中で見直されたことは大きなトピックスでした。釣りの楽しさを知る仲間が増えてくれることは喜ばしいことです。釣果に捉われすぎず、自然と触れ合うことを楽しみ、魚に出会うまでのプロセスなどマナーを含めた基礎からのステップをしっかり踏んでいただければ、一生楽しめる遊びだと思いますからね。この先もみんなで釣りを楽しんでいただきたいものです。

01_ マダイ釣果(縦)
美しいマダイがこの手に。そこに辿り着くまでが意外にもカンタンかもしれない!?

いつもだと海外遠征ネタを書かせていただくことが多いのですが、今回は完全ホームでのタイラバロケです。昨今「釣りがしてみたい!」と思われている方が増えているようですので、誰にでもわかりやすいタイラバのことを改めてお届けします。
船に乗ることが前提ですが、オカッパリの混雑にちょっと疲れている方、夢を持って大海原に繰り出しさらなる大物を! と考えている方に読んでいただけたらと思います。

魚を惹きつける釣り「タイラバ」
初心者にこそススメるそのワケ

タイラバのよさは仕掛&釣り自体がシンプルで、誰でもトライしやすい沖釣りというところです。
釣りの性質からかんたんにお話しますが、エサ釣りであれば食い損ねてもエサが残っていれば“魚が戻って食ってくれる”可能性があります。それとは対照的にタイラバをはじめルアー釣りの場合、魚を誘い続け追わせ、アタック&タッチさせなければならないイメージです。

ジグなどシャクリ続ける理由はここにありますが、タイラバの場合は“真下に落として巻く”だけでそれが可能になるので、船からの釣りにおいてはカンタンな釣りの部類に入ります。船に立つことに集中でき体力も使わないので、フィジカル面や経験値に左右されず誰でも釣りに集中できるわけです。
落として巻くだけで糸(ライン)は常に張っているためアタリが出やすく釣りに集中しやすい。そして、底を中心に攻める釣り(※魚が浮いている場合もありますが船長が伝えてくれます)なので教える方も分かりやすく伝えやすい。初めての方が“大海原で船に立つ”ことは想像以上に大変なうえ、揺れる船上でルアーを投げたり、シャクるのはさらに難しい動作でしょう。まずはタイラバで“船に立ち釣りをする”のを練習することをオススメします。動かないので退屈という方もいますが、1尾釣ることができれば釣りの(海中の)イメージとその世界が大きく広がるので、それを経験するまで我慢して続けてみてください(笑)。

02_ 釣りシーン(落して巻く)
落として巻く…。船に立つことに集中でき、かつ、フィジカル面や経験値に左右されず釣りにも集中できます

タイラバはマダイのみならず、日本にいる多くの魚を魅了します。ゲスト多数です。国内にとどまらず暑い国から寒い国まで世界中の魚を惹き付ける釣りとしても注目されていますね。また、少ないタックルセットでチャレンジすることができるので、「着底&巻き上げ」さえできれば大ダイのチャンスもあります。ヘッド(玉)、ネクタイ(スカート)、ハリ…。この組み合わせを変え魚の好みに合わせることで、魚に追わせるイメージの釣りです。ベテランや経験者になれば、そのタイラバの組み合わせと巻きスピードなど、“ヨミの思考ゲーム”に移行していくので長く楽しめるでしょう。

そして、全国にタイラバ船が多く存在しています。乗船料は6000~15000円ほど(時間やポイントまでの距離の差など地域で変わります)でしょうか。レンタルタックルなども充実している船宿さんもありますので確認してみてください。魚を日々追いかけている船宿さんでしたらきっと釣らせてくれるはずです。釣れる魚のバリエーションも多くエキサイティングな釣りができるのは間違いありませんよ。

03_ 操船する中村さん
現在の私の楽しみ方は、ホームフィールドの奥駿河湾で自らボートを操り“自分で魚を探す”こと。広大な海から自分の考える(ヨミとカン)パターンで魚を探し、反応させる楽しみ方です
05_ サバ
06_ ハタ
04_ サバ(寄り)
この日のゲスト。タフと言われるなかでもいろいろな魚が釣れました。世界中の魚を惹き付ける釣りとして各国で注目されていますね

迷いは禁物!
まず考えるべきタイラバのチョイスとは?

タイラバの種類については“底が取れる(わかる)”ウエイトのモノを用意することが前提です。船宿さんに「よく使うタイラバの重さは? 何グラムまで必要ですか?」と質問しておくことは大切です。そこで持参するタイラバの傾向を掴んでおけば無駄な荷物も減りますね。
形状や色もありますが、まずは重さを意識した方がよいと思います。60、80、100、130、150g…、場所によっては200gオーバーも。着底がわかることが大切で、まず底が取れなければ釣りが成立しません。底付近でエサを探しているであろうマダイたちが、タイラバでねらう基本的なターゲットになるのではないかと思っています。

今シーズン私はフリースライドTGヘッドの90~160gを意図的に使い込んでいます。今シーズンは敢えてずっとコレを使用し試しています。活性の高いときも、悪いときも、自信のあるコレで押し通し自分の基準をキッチリと決め、迷いを消し魚を探すことに集中しようと考えたわけです。そのタイラバの投入どころ、引き抵抗、魚の反応の仕方…など、また新しい発見があるのです。

07_ タイラバ_フリースライドTGヘッド
今シーズン私はフリースライドTGヘッドの90~160gを意図的に使い込んでいます。お気に入りです

微妙ですが…大切なのは組み合わせ
すなわちタックルバランス!

落として巻く動作が中心のタイラバ。当然ですが同船する釣り人は同じ動作、環境、同じ重さで釣りをすることがほとんど。しかし、みんなと同じことしているのに掛からない、バラす…、そんな光景をよく見ます。ハリ先が丸くなっている、ラインに傷がはいったまま使用し続けてしまう…など、基本的なチェックを怠るとミスは増えてしまいます。しかし実は、それ以外にも大きな理由があったりもするのです。
気付いてない人も多いですが、それは「タックルバランスが合っていない」ということ。ロッド・リール・ライン・リーダー・タイラバヘッド・ネクタイ・フック…、ひとつひとつの道具を見れば完璧なのに、組み合わせを間違えてしまうとミスの原因に。

飛距離やアワセといったスキルの差、フィジカル的なパワーの違いがでにくいタイラバは、タックルさえ決まればオートマチックに魚を呼び込んでくれると思います。道具屋の私としてはタックルの組み合わせは重要で、あとで参考に挙げる「基本タックル」のリストをそのまま組んでいただけたらと(笑)。タックルバランスの悩みを少しでも解消してあげることができると思える、自信のあるセレクトです。

私の場合はタックルセレクトの変化はあまりありません。いつも変わらず、全国どこでも通用する組み合わせです。場合によって根魚や青物が混じるフィールドでは、タックルのパワーを上げる感じになっています。
「こんなペナぺナでマダイ釣れるの?」と言われるような軟らかいロッド(竿)に重たいタイラバヘッド(玉)、細軸のフック(ハリ)。そして対象魚でもあるマダイの口。食べ方。平べったい魚の抵抗&ファイト。それらを絶妙に繋いでいく超アンバランス(?)な仕掛がタイラバタックルの特徴です。

08_ マダイとタックル
フィジカル的なパワーの違いがでにくいタイラバは、タックルさえ決まればオートマチックに魚を呼び込んでくれる釣りです