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アーバンとうたってしまっている手前、「田舎町」という響きはちょっと違うのではないか? という気もしますが、都会からは少し離れた人里の水辺を釣り歩くスタイルの基本はアーバンフィッシングと同様、ライト&ファストに楽しめるもの。ということで、今回はこれをカントリースタイルと呼んでみることにしてみましょう。
舞台は取材で訪れた台湾、空き時間に街中から近くの川へと足を伸ばしてみた釣行記です。
沖縄よりも南にある台湾は冬も暖かい?
1月の台北(タイペイ)は予想以上に寒かった。以前に台湾南部にある都市である高雄(カオシュン)に行ったときは、冬でも半袖で歩ける日も多かったぐらい穏やかな天気でしたが、この時期の台北は関東の11月ぐらいのイメージでした。日本では暖冬だと話題になっていますが、台湾のニュースでは2年振りの寒気到来とのことで、沖縄よりも南で、飛行機で3時間ぐらいの距離なのに不思議なものですね。
今回はシーバスの取材で台湾を訪れたのですが、見知らぬ土地をライトタックルで釣り歩くのが「趣味」と言っても過言ではない僕は、もちろん本命とは別にトラウトタックルに似た道具を1セット忍ばせておいたのです。ターゲットは台湾マシールと呼ばれる肉食のコイ科の魚で、そのほかの東南アジアで有名なマシールたちとはちょっと種類の違う台湾原産の魚です。
まずは「ドブ川」からスタート
台湾の友人にガイドをお願いして、まず最初にたどり着いたのは街のど真ん中を流れる3面護岸された川。台北から2時間弱車で移動した田舎町とはいえ、正直見た目とニオイは結構なドブ川(失礼!) しかし上から覗くとボラに混じって見慣れない魚の影が確認できます。慎重に軽めのスプーンからアプローチしてみましたが、かなりプレッシャーの高いエリアらしく魚たちは着水音でパニック状態に陥り、とうていルアーに食いつくような気配ではありません…。
実は案内をしてくれたウォンさん(現地ではBoss Wangと呼ばれていてカッコイイ)が少し前にこの場所を公開したところ、たちまち釣り人が増えてしまったそうで、ちょっと難しそうだからすぐに違うポイントに移動することに。台湾マシール以外にもオイカワなど日本人にも馴染みのある魚が多い台湾。小型のルアーでねらえる魚はなんでも釣りたい! と、真冬にも関わらず贅沢なお願いをすると、よさげな水路をラン&ガンしてくれたのでした。
初魚種はまさかの…
前述の通り想像以上に寒い台湾。あの手この手で攻めてみるも、魚はそうかんたんには反応してくれません。管理釣り場用のスプーンを底まで沈め、ゆっくり竿先でルアーをシャクり沈める “リフト&フォール” を繰り返していると、ぷるぷるっと伝わる生命感! しかしなんと釣れてきたのはスプーンと大して大きさも変わらないタナゴ(笑)。食べてきたはずはないのですが、ひょっとしたら威嚇でもしてきたんでしょうか? 兎にも角にも初めての台湾のタナゴの顔を見れて嬉しい。
ひょっとするとタナゴをエサにしている魚がいるかもしれないなと思い、手持ちのスプーンで一番タナゴのサイズ感に近いものをチョイス。一度底を取ってからゆっくりとリトリーブしているとコツン! と明らかな捕食とおぼしき手応えが。少しコースを変えて何度か同じ場所を攻めるとまたコツン! とアタリがあり、今度は無事にフッキング。ものすごく小さな魚を想像していましたが意外とパワフルな引きに驚きながら、「チチブかゴリでも食ったかな?」と思っていると、上がってきたのはティラピア。
東南アジアでは人気の食用魚でもあるティラピアは和名をイズミダイといい、食品として流通する際には台湾鯛なんて表記されることもある魚ですが、台湾でも外来種。数種類いるティラピアのなかで、今回釣れたのはナイルティラピアと思われる若魚。まるでブルーギルのような引き味とサイズ感でとても可愛かった。
本命を求めて大きく移動
途中のサービスエリア的な場所でおやつを買い、20分ほど車を走らせて郊外へ行くと、日本の渓流に近い川が何本もありました。乾季にあたるため水は少なく釣れる場所は限られますが、むしろエリアが絞りやすい感じ。淵になっているところや、落ち込みだけにねらいを絞りミノーを投げていると、数カ所目のポイントで突然群れで襲いかかる魚の姿! これは間違いなく台湾マシール!(見たことないけど)
一瞬重みを感じるもバレてしまい、再度ルアーを投げるとすぐに2匹が取り合うようにルアーに近づいてきます。トウィッチすると一気にスイッチが入るようで、水しぶきをあげながら猛追し、トウィッチのリズムに合わせるように距離を詰めてそのままバイト! まるで尺ヤマメでも掛けたようなパワフルなファイトで楽しませてくれたのは40cmぐらいの美しいオスの台湾マシールでした。
まだまだポテンシャルを感じる台湾の淡水ルアーゲーム
その後はエビ釣り堀の脇の用水路などで小型の雷魚をねらったりしましたがノーフィッシュ。夜はまた取材を控えていたため、途中の屋台でかなり遅めのランチを買い帰路に着いたものの、夕方に台北へと帰る道はタイのバンコク顔負けの大渋滞。集合にちょっと遅刻をしてしまったのでした。
ともあれ、数時間の釣りで3種類の初めての魚種に出会うことができて大満足(1種はスレだけど)。こんな風に知らない水辺をライトタックルで釣り歩くのが大好きな自分にはとても充実した釣りでした。
実は台湾の南部へ行くと、野生化したピーコックバスや東南アジアの雷魚、川へと上がってくるパシフィックターポン(イセゴイ)から時にはバラマンディまで! ライトタックルでねらう淡水ルアーゲームがかなり熱いんです。いずれそんな釣りもレポートしたいと思いますのでお楽しみに。
アーバンフィッシング ギア紹介
レポーターREPORTER
栃木県在住。国内のトラウトフィッシングから海外の釣りまで、人生を豊かにするライフスタイルとしての釣りを日々模索し発信しているフィッシングピーターパン。PIKE STREET MARKETディレクター。ひと×コト×Sakana栃木PRアンバサダー。
サポートメーカー:Huerco、BIGFISH1983、Rマジックテスター。VARIVASフィールドモニター、Patagoniaプロセールスプログラム。
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