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「釣餌レストラン」第7回のメニューは関西地方ではポピュラーなエサであるシラサエビ。湖沼や河川などに棲む淡水(汽水域にも棲息)のエビであるが、海の魚たちの大好物で波止でも船でもイカダでも、その昔は磯釣りでも使われた万能エサなのだ。とにかくマキエとしても併用することで魚たちを集めて狂わせる生きのよさが命!「シラサエビの躍り食い」当店看板メニューのひとつです!
多くは琵琶湖産の標準和名スジエビ
関西でいうシラサエビは標準和名でスジエビのこと。関東ではモエビという名前で売られている。また琵琶湖で獲れるスジエビは湖産エビという名前で、かつては冷凍物が磯のグレ釣りのエサとして一世を風靡したものだがオキアミの登場以来その地位を失い、近年はエサ店でもなかなか見かけなくなった。ただ、多くのエサ店でシラサエビとして生きた状態で売られているものの、ほとんどは現在も琵琶湖産である。一方で、同じエビなのに地エビという名前が付いているものもある。これは琵琶湖以外の近隣の池などで獲れたスジエビを「地元のエビ」という意味でのネーミング。琵琶湖産にくらべ、やや大ぶりで生きもよいのが特徴。ただし琵琶湖産にくらべて割高である。
シラサエビを使う釣りの代表が、関西地方ではポピュラーな、いわゆる「エビ撒き釣り」だ。シラサエビをぽろぽろ撒きながら、チヌ、ハネ、セイゴ、メバルなどを集め浮かせてウキ釣り仕掛で釣る方法だ。さすがに船釣りではハリに刺すサシエだけの使用だが、イカダやカセからチヌをねらう、かかり釣りではダンゴの中にマキエ用に数匹を包み込んで直下に落としてポイントを作る。
マキエの手法にはコツがある
シラサエビの特徴は、元気なまま撒くと海面を泳ぎ回りマキエが効かせにくい点。そこで登場するのが底撒き器という道具。茶こしを2つ重ね合わせたような容器にエビを入れ、想定したタナもしくは海底近くまで沈め、その時点で強く揺すると容器が開いてエビが海中に飛び出す仕組み。釣っている最中、常時この方法でエビを撒くのは手間なので、釣り開始前、途中で何回か、というのがセオリーである。
エビ撒き釣りでは同時にシャクを使って上撒きも行う。カップにスリットが入って水が抜ける生きエビ専用のシャクでエビをすくったら、手のひらでフタをし強めに数回揺すってエビを弱らせてから、柄の弾力を使い前方へ。リリース時にフタをしていた手のひらを開放するのが遠くへ飛ばすコツだ。
3通りのハリの刺し方を覚えよう
ハリの刺し方はチョン掛け、通し刺し、ホオ(頬)掛けが主なもの。チョン掛けは尾羽根の付け根の内側からハリを入れて掛けるだけ。エビの元気さを損なわず海中でもピンピン跳ねる簡単なセット方法。ただしキャスト時などハリから外れやすいので注意。どうしても仕掛を遠投しなければならない、エサ取りが多い場合などハリから外れにくい方法として、尾羽根の間からハリを入れ腹側に抜く通し刺し。エビの動きは悪いがエサ持ちはもっともよい。海中でもっともナチュラルな状態にするならホオ掛けだ。実際にはエビの頬ではないが、頭(顔?)横の殻一枚に浅くハリを掛ける。海中でハリに刺したエビがマキエのエビと同じ姿勢になるため、動きも自然で魚にも違和感を与えにくい。ただ慣れないと難しい刺し方で、もたもたしているとエビが弱ってしまうので注意。
エビは生きていないと意味がない!
シラサエビは元気さが命。そこで釣り場へは専用の容器を使用する。ポピュラーなのは「エビブク」と呼ばれ内部に水を入れるエアポンプ式のもの。容器内にあるネットはエビが掴まるためのもの。ネットがないと移動中の揺れでエビが揺すられ弱りやすくなるからだ。ポンプ用の予備電池はお忘れなく。エアが止まるとシラサエビはすぐに死んでしまう。また気温が高い時期は水温が上がるとエビが死にやすいので、少量ずつでも氷を入れてやると長持ちする。
エビ撒き釣りが盛んな関西でも、とりわけメバル好きで知られる播州地方(兵庫県の播磨灘側)では、古くから「エビ箱」と呼ばれる生きエビ専用の容器がある。木製の箱で上部に氷、下部の引き出しにエビを入れ、それぞれの底板が簀の子状になっているため、溶けた氷の水滴がエビの段に落ちてエビを長時間生かせる仕組み。釣れたメバルは氷室に。氷室の上には小物入れもあり、さらに腰掛けにもなる便利な道具。けっこう高価なため一般的ではないが、マニアックな人にはおすすめだ。
(次回のお品書きは貝類系エサの予定です)