東京湾春の新定番!「トラフグ釣り」最前線

冬から早春にかけての東京湾で、ここ数年じわじわと注目を集めている釣りモノがあります。それが「トラフグ釣り」です。かつては専門性が高く、一部の愛好家だけが楽しむターゲットという印象がありましたが、近年は出船する船宿も増え、チャレンジしやすい環境が整ってきました。今や「東京湾の冬の風物詩」と言っても過言ではない存在になりつつあります。

東京湾での「トラフグ釣り」事情

01_ 船団
最近はトラフグねらいの船団も増えてきました

近年増え始めてきたトラフグ釣り

東京湾のトラフグは湾奥から富津沖、水深20~50m前後の比較的浅いエリアを中心にねらいます。ポイントはその日によって大きく変わりますが、魚影がかたまると一気に船中でヒットが連発することもあります。しかし、こうした爆発力がある一方で、丸1日粘っても全く釣れない日もあり、まさに夢とロマンの釣りです。
一攫千金の高級魚が釣れるので、初心者からベテランまで夢中にさせる釣りといえるでしょう。

安心!船宿でさばいてくれます

「フグは危ないのでは?」と心配される方もいると思いますが、多くの船宿では釣れたトラフグを適切に処理できる有資格者が在籍しています。港に戻ってから身欠きの状態までさばいてくれるので、自宅で危険な下処理をする必要はありません。
安全面に配慮された体制が整っていることも、人気が高まっている理由の1つです。

02_ 身欠き
釣れたトラフグは船宿でキレイに身欠きにしてもらえます

そもそも「トラフグ」とは?

03_ 生簀
天然トラフグは高級魚の代表格です

みなさんご存知の高級魚代表格

トラフグは言わずと知れた高級魚の代表格です。冬の味覚の王様とも称され、てっさ(刺身)、てっちり(鍋)、唐揚げ、白子焼きなど、その美味しさは多くの方がご存知でしょう。とくに寒い時期に脂が乗った個体は格別で、釣り人だけが味わえる鮮度は何ものにも代えがたい魅力です。

フグの危険性…毒と口

前述のように、フグと聞いてまず思い浮かぶのが“毒”の存在です。トラフグは内臓、とくに肝臓や卵巣などに強い毒を持っています。素人が処理するのはひじょうに危険です。
また、鋭い歯も特徴で、仕掛をかんたんに噛み切るほどの力があります。釣り上げた直後、不用意に口元へ手を近付けるのは絶対に禁止です。長めのプライヤーなどを使用して安全にハリを外すことが重要です。

04_ 道具.jpeg
危険性のある魚なので、安全第一でフィッシュグリップなども用意しました

とはいえ、危険性を正しく理解し、適切に対応すれば、過度に恐れる必要はありません。もし無理そうだと感じたら船長や中乗りさんにお願いしてみましょう。

トラフグ釣りの基本装備と実践ガイド

トラフグ攻略の基本タックルと注意点

使用タックルは、先調子で感度の高いフグ専用竿、もしくはカワハギ竿の流用が一般的です。長さは1.6~1.8m前後が扱いやすいでしょう。リールは小型両軸リールで十分です。深くても水深は50m程度なので、個人的には軽量電動リールは不要だと感じています。
道糸はPE0.8~1.5号程度が目安。繊細なアタリを取るため、感度重視のセッティングが求められます。

05_ タックル
使用タックルは剛性重視でセットしました

トラフグは一度ハリ掛かりすると驚くほどのトルクで走り出すので、竿もリールも頑丈なものがおすすめです。私は最初のころカワハギ竿を使用していましたが、トラフグに走られてバット部分が「ミシミシ」と悲鳴をあげて竿をダメにしてしまいました…。それ以降、カットウフグ竿「カットウフグ X(ダイワ)」を使用しています。

仕掛はできるだけシンプルに!
時期で使い分けるトラフグ攻略

トラフグシーズン序盤の仕掛はカットウ仕掛が主流です。オモリ下部に複数のハリを備え、エサをついばむトラフグを引っ掛ける構造となっています。トラフグが中層を泳いでいる時期はカットウが付いていた方がよさそうです。
一方、後半の産卵シーズンはシンプルな一体型が有利で、初心者でも扱いやすいものです。地域や船宿によってはカットウ禁止で胴突仕掛のみという場合もありますので、船宿への事前確認が大切です。

06_ タイラバも使います
トラブルを避けるためのシンプルな仕掛。タイラバも流用します

エサはアルゼンチンアカエビなどが定番。人によってはホヤイワシの切り身を使用している人もいます。身の硬さや付け方によってアタリの出方が変わるので、エサの種類や付け方については一切手を抜けません。

東京湾で楽しむトラフグ船宿ガイド

今回のトラフグ釣りでは千葉県金谷港の萬栄丸さんにお世話になりました。ほかにも東京湾でトラフグ船を出している船宿さんは、野毛屋えさ政釣船店吉野屋一郎丸つり幸など、各地でトラフグ専門、もしくは期間限定で出船する船宿さんが増えています。
予約前に最新の釣況を確認するのがおすすめです。

07_ 人気船
人気船は予約が困難です。早めにご予約を

トラフグ釣りは我慢の釣り!
トラフグ釣りならでは…のコト

08_ 珠玉の1匹
数少ないチャンスをどうやってものにするか探求しています

ギャンブル性が強いのが特徴!?

トラフグ釣りの最大の特徴は「我慢の釣り」であることです。アタリはひじょうに小さく、穂先がわずかに震える程度のことも多い釣りです。違和感を覚えたら即アワセが基本ですが、早過ぎても遅すぎても掛かりません。この駆け引きが最大の醍醐味です。

また、日によって釣果の差が大きく、まさにギャンブル性の高い釣りです。船中で数名だけが連発することもあれば、全体的に沈黙することもあります。しかし、その1尾が高級魚トラフグだと思えば、自然と集中力も高まります。

船長の指示ダナを厳守して細かく誘っていくのですが、誘い上げでアタるときもあれば、落とし込みで食ってくるときもあります。ステイ状態で釣れる人もいますので、正直なところ何が正解かということは分かりません。とにかくいろいろな方法を探ってみる釣りです。

釣れたらどうする?美味しくいただくために

無事に取り込めたら、まずは安全確保です。素手で口元に絶対に触れないようにし、船長や中乗りさんの指示に従って処理してもらいます。
私は釣れたあと、トラフグの背中側から慎重につかんでエラにナイフやハサミを入れ、血抜きをします。血が抜けたら、クーラーボックスに入れて冷やし込みましょう。

09_ 血抜き
安全第一に血抜き作業を行います

そして、帰港後に船宿さんで身欠きにしてもらえば、自宅ではすぐに調理が可能です。薄造りにしてポン酢で味わうもよし、贅沢にてっちりにするもよしです。釣り人自らが手にした1尾は格別の味わいですね。

「Xデイ」をねらえ!
東京湾トラフグのシーズン傾向と心構え

10_ 白子ポン酢
産卵期の白子で作る白子ポン酢はトラフグハンターの憧れです

東京湾のトラフグシーズンはおもに冬から早春にかけてです。とくに水温が安定し、群れがまとまるタイミングで爆発的な釣果が出ることがあります。この日がいわゆる「Xデイ」と呼ばれる日です。

確かに潮回りや気温などで予想は立てることはできます。ただし、ベイトの状況、風向きなど、さまざまな要素が絡み合うため、結局のところ「海に出てみなければ分からない」というのが本音です。周囲がよくても自分だけが釣れないこともありますし、その逆でいきなり釣れることもあります。一番の正解は、釣行できるチャンスにはどんどん船に乗って夢を手にするチャンスを増やすことですね。

高級魚を自らの手で釣り上げる興奮、食卓で味わう至福の時間、そしていつ訪れるかわからないXデイへの期待。東京湾のトラフグ釣りは、これらすべてを兼ね備えた魅力的な釣りモノです。これからの早春シーズン、東京湾の新定番になりつつあるトラフグ釣りに、ぜひチャレンジしてみてはいかがでしょうか。


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レポーターREPORTER

たきがわ
プロフィール:たきがわ
ワカサギからマグロまで、潮の向くまま気の向くままに突っ走る3児のカミナリ親父。船のエサ釣りメインですが、節操なく流行りの釣りに手を出しています。本業であるSEの仕事もそこそこに、週末は最高の食材を求め釣りに出掛けています。