
船釣りだけでなく、堤防からもねらえる身近な魚として親しまれている「アジ」。料理の幅も広く、日常の食卓に並ぶ機会も多い魚種として人気です。そんな数あるアジの釣り方のなかでも、釣り人の間で注目されているのが「アジング」。軽量なルアーやタックルで手軽に楽しめるライトゲームの代表格として定着しています。
とはいえ、釣り経験が浅い人や釣り未経験者からすると、ハードルが高いと感じてしまうかもしれません。そこで今回は、アジングの基本や楽しみ方についてご紹介します。
ジグ単リグがアジングの基本

「アジング」とは、ワームと呼ばれるソフトルアーを用いてアジをねらう釣法のこと。いくつかあるアジングの釣り方のなかで代表的なのが、「ジグ単(ジグヘッドリグ単体)」と呼ばれるスタイルです。
ジグ単はフックと小型のオモリが一体となったジグヘッドに、ワームを装着するだけというシンプルな仕掛(リグ)。余計なパーツがないのでセッティングにも時間がかからず、初心者にも扱いやすい構造になっています。
ジグ単はジグヘッドの重さを変えるだけで、沈む速さや探れる層を調整できるため、幅広い状況に対応可能。シンプルながら使い勝手がよく、アジングの基本スタイルとして多くの釣り人に選ばれています。
ポイント選びは明るい内に

アジは回遊魚なので、群れの規模や接岸する時期は地域によってさまざま。釣行前には近隣の釣具店などから最新の情報を仕入れることで、無駄なく釣り場を選択するようにしましょう。
アジングの多くは「夜釣り」がメインです。日没後に、堤防や港湾部に灯る明かりで増殖したプランクトンを捕食しようと、アジも集まってきます。実際の釣行では完全に暗くなる前に現地入りし、周囲の地形や障害物を確認することが重要。安全な釣りスポットを把握しておくことで、落ち着いて釣りに集中できます。

また、夜間は昼間以上に足場の確認が欠かせません。照明器具(ヘッドライトやランタンなど)を用意し、周囲の状況を常に把握しながら準備を整えることがトラブル防止につながります。さらに、アジの回遊は潮の流れや干満に大きく影響されるため、「潮汐表(タイドグラフ)」を見るなどして時間帯を選ぶことも重要。満潮前後は魚の活性が高まりやすく、釣果に直結する要素の1つです。
アタリの感覚とアワセのタイミング

アジングは初心者でも道具をそろえやすい釣法ながら、ゲーム性が高いという点が魅力です。堤防や磯からキャストし、ゆっくりとラインを巻き取りながらルアーにアクションを加えてアジを誘います。
また、手元に伝わる独特のアタリもアジングでの楽しみの1つ。アジはエサを吸い込むようにして口にするため、強い引き込みではなく「コツッ」とした軽快な振動として感じられます。
「金属的なアタリ」ともいわれる、小さいながらもダイレクトにハッキリと感じ取れるアタリが出やすいのは、アジが高活性のタイミングや使用している仕掛が好みにピッタリだったとき。アタリを感じた直後に素早くロッドを立て、アワセを入れるようにしましょう。

一方で、アタリのなかには「抜けアタリ」と呼ばれるものも。「居食い」や「食い上げ」といった、ラインのテンションがフッと抜けるようなアタリで、初心者には少々とらえるのが難しいかもしれません…。巻いている最中に何か違和感があったら、ひとまずすぐにアワせるのがコツです。
状況に応じた仕掛の使い分けで
アジングがもっと面白くなる!

ところで、ジグ単はシンプルで操作性に優れる反面、遠くまでキャストしづらいのが難点です。
もし、遠くのポイントを探りたい場合や海面近くを広く探りたい場合には、「フロートリグ」といった釣り方が有効。飛ばしウキ(フロート)を取り付けることでキャスト距離を伸ばし、ゆっくりと沈むその特長を活かして、表層付近を効率的にねらうことができます。

一方、遠距離かつ深場を探る際には「キャロライナリグ」が活躍。キャロシンカーをラインにセットすることで重みが加わり、沈下速度が速まります。状況に応じてリグを使い分けることで、ジグ単では届かないレンジにもアプローチが可能に。アジングのゲーム性がさらに上がり、釣果アップにもつながります。

加えて、アジングは繊細な釣りのため、風の影響を受けやすい点にも注意が必要です。風が強い日にはラインが流され、アタリを感じ取りにくくなることがあるため、重めのジグヘッドを選ぶか、風裏になるポイントを探しましょう。

そして、これら釣法の工夫に加えて、もちろん安全対策も欠かせません。アジングもほかの釣りと同様にライフジャケットはマストアイテム。万が一海に落ちてしまった場合でも、命が助かる可能性が格段に高まります。また、夜間の海辺の冷え込みは想像以上です。防寒着の準備や防寒対策はしっかりと整えておきましょう。
シンプルな道具で始められる一方、状況に応じた工夫で奥深さを実感できる「アジング」。基本を押さえたうえで安全に取り組めば、長く楽しめる釣りモノになるハズです。