岩手発!スルメイカメタル
イカジグを駆使してスピーディにアピール!

三陸沿岸のイカ釣りといえば夏のスルメイカやケンサキイカ、冬のヤリイカとさまざまなイカが1年を通してねらえます。近年のイカメタル人気の上昇もあり、多くのアングラーで賑わっています。一口に「イカメタル」といっても、イカの種類によって釣りのポイントは実にさまざまです。今回は「スルメイカ」をターゲットとしてねらう際の、効率的な釣り方について解説したいと思います。

「スルメイカ」の性格

09_ スルメイカ

イカにも各々、性格の違いがあります。海の中ではそれぞれの特性や生態を活かして棲み分けしているようです。釣りをするうえでそうしたイカの生態や性質を正しく理解することは、釣りの組み立てに大きく役に立ちます。ここではスルメイカの性格を紹介します。

気難しいけど好奇心旺盛なスルメイカ

スルメイカは沿岸部で産卵、孵化し成長段階に合わせて次第に沖に生息範囲を広げていきます。成魚は200mを超える深海域でも生活するそうです。外洋での生活に見られるように、遊泳スピードは比較的速く行動範囲も広いイカとのこと。

イカ全般にいえることですが、潮の効き具合には常に敏感で釣れる釣れないの差が激しく、スッテへの反応も活性の違いで大きく異なります。なかでもスルメイカは、とくに活性の違いでスッテへの反応が著しく異なります。こうした反応の違いは釣りに大きく影響します。リグを投入しただけで釣れることもあれば、いくら誘ってもショートタッチだけで全く掛からないこともよくあります。スルメイカはカラーなどの見切りも早いように思います。

01_ 釣り上げられたスルメイカ

スルメイカはスポーツマン

外洋での活動は多くのエサを摂取できる反面、スルメイカの天敵も多くなります。そうした厳しい環境で生き抜き、子孫を残すためのスルメイカの戦略は、筋肉質の体と動体視力のよさではないでしょうか。
スルメイカは恐らく、表層から深海域まで縦横無尽に動き回りエサを摂取しているのでしょう。遊泳スピードも速く活発なイカであるように感じます。青物を釣るような激しいジャークアクションにも追従して、盛んにジグやスッテにアタックしてきます。このように速い動きを得意とすることで、ほかのイカとの棲み分けに役立てているものと思います。

02_ スルメイカ2

釣りをするうえで、スルメイカはレンジの移動が速く、一定のレンジにとどまりにくい特徴があります。

  • 素早い動きに対して反応がいい
  • 動体視力がよく見切られやすい
  • 活性の変化が激しい

こうした特性を知ったうえで釣りを組み立てることが、スルメイカ攻略の糸口になります。

思わぬ苦戦を強いられた、今季初の実釣!

03_ 釣りシーン

岩手県釜石から出船!スルメイカねらい

今年の三陸沿岸のイカ釣りは海水温が低めで推移していることもあり、ここ数年、好調だったケンサキイカは低調です。その代わりにスルメイカが好調で、スタートから次第にスルメイカのサイズも大きくなっています。そんな6月後半に、今季初のスルメイカ釣りに行ってみました。

お世話になった船宿は、岩手県釜石の花路辺(けろべ)漁港から出船する、佐々木船長の遊漁船「荒神丸」です。佐々木船長はまだ若いですが、地元での漁師経験もあり、魚の知識も豊富。初心者への気配りもきめ細やかなオススメの遊漁船です。

04_ 荒神丸
岩手県釜石は花路辺漁港の「荒神丸」。船はデッキも広々としており釣りしやすい。もちろんトイレもあり女性でも安心です

思わぬ苦戦…

当日は18時に出船。10分ほどでポイントに到着しました。漁場が港から近いのは三陸沿岸のイカ釣りの特徴でもあります。アンカーを投入して船が安定したら実釣開始となりました。

辺りが暗くなり始めた19時ごろからスルメイカがポツポツと釣れ始めましたが、私は調子をつかめず掛けることができません…。佐々木船長が心配して、細かくタナを教えてくれたのですが単発で釣れるのみで、なかなか連発することができませんでした。
周りのアングラーが釣れているなか完全に出遅れた私は、後半なんとか盛り返して40杯超えで沖上がりとなりました。ちなみに、船中トップは70杯超えという結果でした。

当日の反省を踏まえて…
スルメイカの活性に合わせた釣り方のキモ

05_ スルメイカ釣果

今季初のイカ釣りで、「釣り慣れているスルメイカ」と油断したのがいけなかったのでしょうか。最終的にそこそこ釣れてよかったとはいえ、スルメイカのコロコロと変わりやすい釣れ方に翻弄された感じの釣行となりました。

そんななかでも、当日よく釣れたのはやはり、「イカジグとスッテ」のコンビネーションでした。よく竿を曲げていたアングラーはみなさん、こうした組み合わせで釣っているようでした。

「イカジグ」と「スッテ」の併用

イカジグを鉛スッテ代わりに使用したオバマリグスタイルで、ドロッパーは1本ないし2本使用しました。
スルメイカの動きが速くレンジが一定でない場面では、タナを釣るよりも、幅広く探ってイカの方からリグを見つけてもらうような釣り方が理にかなっています。逆に、スルメイカの動きが落ち着いてレンジがある程度定まっている場面では、通常のイカメタル同様の「誘って止める釣り」が必要になる場面もあります。

素早く誘って見切られない釣り

スルメイカの動きが速く動き回っている場面では、リグを止めてアタリを待つとショートバイトなどで掛からないことも多くなります。こうした場面では大きく速くアクションすることで、リアクションバイトを誘う方がよりマッチします。鉛スッテよりもイカジグのイレギュラーでキレのよい動きが効果的な場面です。
鉛スッテを使用するのであれば、シャープな動きが出るように30~40号といった重めを使用するとよいでしょう。

06_ スルメイカ釣果2

レンジ固定よりも広く探る方が有利?

さらにスルメイカの面白いところは、必ずしも前述した速い釣り、広く探る釣りが有効とは限らない点です。潮流れが悪く活性が下がった場面では、速い釣りではなかなか掛けることができなくなります。こうした場面では、誘って止める釣り方が有効です。

イカジグを鉛スッテに換えても効果はありますが、やはりスルメイカはほかのイカよりも見切りが早いので、イカジグで誘ってスッテに掛けるような釣りが功を奏します。また、動かして誘うイカジグではありますが、止めてもしっかりとスルメイカを誘ってくれますので、とくにスルメイカには有効です。

イカジグのメリット

07_ イカジグ

イカジグのメリット、鉛スッテとの違いは、やはり「イレギュラーなアクション」だと考えます。ジャークした際のスライドとフォール時の平打ち、フラッシングなど、動体視力のよいスルメイカを攻略するには有用です。テンポよくシャクルと、スルメイカの方から勝手にタイミングをつかんで抱き付いてきます。運動神経のよいスルメイカならではの釣りといえるでしょう。
スルメイカの活性が下がっている場面でも、イカジグの集魚力があるため、ジグ自体に掛からなくてもドロッパーに掛けることができます。

しかし、有効である一方、イカジグ使用時はリグのトラブルも多くなりますので、通常のイカメタルリグよりも太めの仕掛大きめのスイベルを使用することをオススメします。

08_ スルメイカ釣果3

スルメイカ攻略は静と動の二刀流が有効です。イカジグを使用したスピーディな釣りも楽しいですし、乗りの渋いイカを攻略するのも、これまた楽しいものです。臨機応変な釣りの組み立てでスルメイカに挑戦してみてください。


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レポーターREPORTER

堀籠 賢志
プロフィール:堀籠 賢志
フライフィッシング、バス、シーバス、ロックフィッシュ、フラットフィッシュ、エギング、鮎釣りまで、さまざまなジャンルを釣りこなすマルチアングラー。現在はスーパーライトからヘビークラスまでジギング全般と、メタルスッテを中心としたイカ釣りに取り組む。
東北エリアの面白い釣りを発信することで、震災復興に繋げていきたいという熱い想いのもと活動中。
GOMEXUS社フィールドテスター /tamaTV社フィールドモニター /キーストン社フィールドサポーター などを務める。
ブログ:Anglershighごめのブログ