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前回の記事では、女性の「ソロ釣り」にはなぜ「船釣り」がおススメなのかについて、その理由と船釣りならではの注意点などを説明しました。連載2回目の今回は、女性が1人で船釣りに行く際に押さえておきたいポイントと、そのほかの注意点について紹介します。
船釣りやってみたい! でも最初の一歩が踏み出せない! という人にぜひ読んでほしい内容です。
船宿を選ぶときのポイント
船で釣りをする場合に、船に乗せてくれる施設のことを「船宿」といいます。「宿」とついていますが、宿泊施設ではありません(一部、宿泊可能なところもあります)。船釣りの第一歩はまず船宿を予約するところからですが、ではお世話になる船宿はどうやって決めていくとよいのでしょうか?
女性の中乗りさんがいる
多くはありませんが、女性の中乗りさんのいる船があります。中乗りとは、かんたんにいうと釣りの手伝いをしてくれる「船上スタッフ」のことをいいます。船舶免許を持っている人を中乗り、持っていない人を上乗りと呼ぶそうですが、総じて「中乗り」と呼ばれています。
圧倒的に男性の多い釣り船において、女性の中乗りさんがいるだけでもかなり安心ですよね。ほかにも、女将さんがいたり、船には乗らないけれど受付に女性のスタッフがいる船宿だと、分からないことがあっても質問しやすく、心強いと思います。
女性アングラーの口コミを参考にする
飲食店を選んだり化粧品を選ぶとき、口コミをチェックするのはいまや必須! 欠かせませんよね? 船宿にも利用者の感想などが口コミとして書かれているので、参考にするとよいでしょう。
また、SNSで女性アングラーをフォローしておけば、どこの船宿を利用しているかなどが分かることがあります。ただし、防犯上、利用した船宿名を伏せていたりすることもあるので必ずしもどこの船宿を使っているのか確認できるわけではありませんが、SNSをこまめにチェックすることで、自分に合った船宿をいくつか絞り込むことができるかもしれません。
おススメの釣りモノは?
虫じゃないエサを使う釣り
「釣りをやってみたいだけど、ミミズみたいなエサがどうしても触れない!」という人は、虫ではないエサを使用する釣りモノを選ぶのがよいでしょう。船釣りで一番メジャーともいえるアジ釣りでは、ミミズみたいなエサ(アオイソメ)のほかに、アカタンといってイカの切り身を食用色素で赤く染めたものを使うこともできます(船宿によってはアカタンの用意がない場合もあります)。また、カワハギ釣りではアサリ、タチウオの天秤釣りであればコノシロやサバの切り身などをエサとして使用するので、エサが気持ち悪くて触れないということはありません。
ほかにも、ジギングやイカ、タコ釣りなどは、エサを使わずにメタルジグやスティック状の仕掛、エギといったルアー(擬似餌)を使います。「釣り=アオイソメ」ではないので、釣りモノごとにどんなエサを使うのか調べてみるとよいでしょう。
さばきやすい魚
船釣り初心者さんはだいたいアジから始める人が多いようですが、さばきやすさからいうと、アジ以外を選択するのもアリなのでは? と思っています。
あくまで個人的な感想ですが、アジはウロコが飛ぶ、内臓のニオイは部屋だけでなく爪の中にも残ってしまうし、包丁さばきに慣れていないと手間取ってしまう…など、気になることも多くあります。何度もアジ釣りに行っている私ですが、きれいな3枚おろしがいまだにできず、身のほとんどがなめろうになってしまう…といった有り様です(笑)。
そんな私のおススメはカワハギやタチウオ! 女性に人気の釣りモノでもあり、ウロコがないのが特長の1つ。そして、どちらもアオイソメなどの生きたエサは使いません。多少のテクニックは必要かもしれませんが、動画サイトなどで予習すれば難易度は高くないはず。また、カワハギやタチウオはウロコがないだけでなく、魚体の構造もわりとシンプルで、内臓を取りやすいのも嬉しいところ。ちなみに、くれぐれもカワハギの肝は捨てないように!
ほかにイカやタコもさばきやすくておススメです。これらは骨がないので、「骨に沿って包丁を入れる」という高度(?)な技術を必要としません。構造を理解すればキッチンバサミだけでさばけてしまうのではないかというくらいです。
変わり種でいうとフグもいいかもしれません。なぜなら、フグ船は釣ったフグを船宿でさばいてもらえるからです。フグ船を出している船宿は必ず「ふぐ取扱責任者(自治体によって名称が違います)」の資格を有しています。さばいてくれるところまでが料金に含まれていますので、骨と身だけになった状態で持ち帰ることができます。
保存しやすい魚
1人で釣りに行くわけですから、釣れたら釣れただけ持って帰ることになります。船内で仲よくなった人におすそ分けできたり、友人や職場の人が受け取ってくれたりと、アテがあればいいのですが、「残念ながらアテがない…」そんな心配がある場合は、冷凍保存できる(しやすい)魚を選ぶとよいでしょう。
一番のおススメはここでもやっぱりイカやタコ! 釣ってそのままジップ付き袋に入れて冷凍庫にインでOKなのです! とくにタコの墨は保護膜の役割も持っているので、墨で真っ黒になっていても洗わずそのまま凍らせちゃいましょう! また凍らせることで、後日解凍して下処理をする際にヌメリが取れやすくなるといわれています。
ほかにも干物にできる魚であれば、すぐに食べなくても冷凍保存が可能です。船釣りでメジャーなアジやシロギスは初心者さんでも釣りやすく、また、たくさん釣れてしまっても干物にして保存できるのでおススメです! ウロコはありますが(笑)。
干物にしなくても、たとえば3枚におろしたアジに塩コショウ、薄力粉、卵、パン粉を付けて揚げる直前の状態でも冷凍保存が可能です(揚げるときは冷蔵庫で自然解凍)。
いろいろな保存パターンを把握しておくと、心おきなく釣りに没頭できますね。
防犯対策やマナー
ここまで、船釣りをする際の「船宿の選び方」や「おススメの釣りモノ」を紹介しました。ポイントを押さえることで、今までちょっとハードルが高いなと思っていた船釣りも「やってみようかな」という気持ちになってもらえたのではないでしょうか? 船釣りはソロ活に向いています。
とはいえ、船釣りをするうえで気を付けてほしいこともあります。オカッパリや複数人での釣りでは気にする必要がなかったことも、ソロの船釣りでは注意した方がよいこともあるようです。
SNS投稿で気を付けること
たくさん釣れたり、いいサイズの魚が釣れたらSNSに投稿したくなってしまいますが、少し注意が必要です。ほかの釣り人の写り込みはもちろん気を付けなければなりませんが、それ以外にも気を付けなければならないことが2つあります。
1つ目は、場合によって船宿を特定できるものが写り込まないようにした方がよいということです。複数の船宿を利用している場合はそこまで神経質になる必要はないと思いますが、自分に合った船宿を見つけ、何度もリピートする場合は、いつも利用している船宿を特定されてしまいます。「女性の1人行動」という防犯上・安全上の面から、少々気を付ける必要があります。
船宿名が分からなくても船の色や船ベリの形状、バケツやレンタル品から「これはもしやあそこの船かな?」と分かってしまうこともあると覚えておきましょう。あくまで個人の判断によりますが、「#○○丸」などというハッシュタグを付けたり、特定されやすい写真を投稿する際は、そのあとのことを十分に考慮し注意して行ってください。
2つ目は、釣れたポイント(場所)が分かるような投稿は控えた方がよいということ。なぜなら、船宿によっては「秘密のポイント」を持っていたりするからです。
以前、マダコ船に乗った際、大きなマダコが上がったにも関わらず10分やそこらで次のポイントに移動したことがあります。友人と「もうちょっとやりたかったね~」と話していたのですが、あとで聞いた話によると、「ほかの船に知られたくないポイントなので長居できなかった」とのことでした。それを聞いて納得でした。
周りに何もない沖の方であれば問題ありませんが、すぐ目の前に堤防や陸地がある場合は、場所が特定されやすいので、特定されないよう工夫して撮影しましょう。船宿に迷惑をかけてしまう場合があります。船が何隻も集まっているようなポイントであれば周知されている場所といえるのでとくに問題はありません。
釣り道具の紛失・盗難への工夫
当たり前ですが、ソロなので荷物番はいません。荷物の管理は自身で行う必要があります。なので貴重品はなるべく身に付け、タックル一式は写真のようにひとまとめにしておくと安心です。
クーラーボックスの上にバッカンを置き、さらにネットで固定します。こうしておけば1つの大きな荷物になりますのでバラバラになる心配もありません。荷物をバラバラに持っていくと、どこかに置き忘れたり、なくなっていることに気が付かないということもあり得ます。
ちなみに、(写真の)竿を入れている袋は応援しているプロ野球球団のロゴがプリントされた生地で作った手作りの竿袋です。紐で結べるようにしているので、クーラーボックスの持ち手に結んで固定できます。竿袋やほかの荷物にひと工夫するのも紛失や盗難を防ぐポイントです。間違って持っていかれるという心配もありません。
費用面から見ると確かにオカッパリよりもお金がかかり、気を付けなければならないこともある「船釣り」ですが、ポイントを押さえておけば、いろいろな魚種をねらうことができるし、安心安全に釣りを楽しむことができます。そして何より、船釣りにチャレンジすれば釣りのバリエーションが増え、食卓もより華やかになりますよ!