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今回からお届けするのはスタッフF、40年間の釣りの取材現場で目や耳にした「いろいろな釣りのツボ」として「直接釣果に関わる勘所」を季節ごとの旬の釣りものに合わせて紹介しよう。
第1回はシーズン入り目前のワカサギ釣り。繊細な仕掛&タックルを使用するワカサギ釣りは、とにかく数を釣らなきゃ始まらない! というワケでアタリを察知してからのアワセについて。実は、この釣りならではのツボがあるのだ!
小さい魚だから
たくさん釣らないことには……
気の早いところでは9月から、10月にもなれば各地でワカサギ釣りが本格スタートする。キュウリウオ科の魚のワカサギは、ご存じのとおり大きくても全長十数cmの小さい魚なので、強い引き味を楽しめるわけではない。それでも全国に熱狂的なワカサギファンが多いのは、その釣りの繊細さと腕の違いで釣果(尾数)に大きな差ができるからだろう。
本来、寒い地方の魚なので関東以北に好釣り場が多く、1日1000尾を超える「十束釣り」も珍しくないが、水温が高くワカサギの生育にあまり適さず、釣り場自体も少ない関西以西では1日100尾、200尾釣れれば上々という具合である。このように地方それぞれで釣り事情は違うが、いずれにしても小さい魚なので、より数多く釣り上げることにワカサギファンは熱くなるのだ。
仕掛を落とせばどんどん釣れる
そんな日もあるけれど……
最先端のワカサギ釣りはバッテリーを内蔵した小型電動リールと鋭敏な竿(扁平穂先)使用の釣りである。ラインは極細のPEで仕掛は数本の枝バリが並んだ専用のもの。下部に小さなオモリをセットする胴突式だ。ハリはキツネ型や袖(そで)型の極小サイズで、そのハリにはカットしたサシ虫や赤虫などをちょこんと刺す。
多くの人は小型の魚群探知機を利用し、水中のワカサギの群れの位置に合わせて仕掛を沈め、鋭敏な穂先に出るアタリを取って、すかさず軽いアワセを入れてワカサギを掛ける。ワカサギの群れが大きく活性が高い場合は実にかんたん。放っておいてもどんどんワカサギが掛かるので、穂先の震えが激しくなってからゆっくりリールを巻き上げれば、複数あるハリにワカサギがズラリ! とかんたんなのだが……。
手首を返してアワセると
掛かりにくいワケ
ワカサギの個体数が少なく活性も低い場合が問題だ。穂先のわずかな反応を見極め、素早く的確にアワセを入れて1尾ずつでもワカサギを掛けなければ釣果は稼げない。もちろん状況にマッチした仕掛選び、タナの把握、エサの種類なども大きく関係するが、それらが同じ条件でも、アワセの技術で釣りの上手下手、腕の差がはっきり現れるのだ。
ということで初心者の方に覚えてほしいのがアワセの動きを「いかに水中の仕掛、ハリに伝えるか」ということだ。アワセのタイミングのとり方や釣り手の反応の素早さなどを度外視しても、これを覚えておけば、かなりの釣果アップにつながるはず。
アワセとは竿を持ち上げて水中の仕掛を動かし魚にハリを掛ける動作だが、ワカサギ釣りの場合、スナップを効かせてはダメ。「このほうが素早いだろう」と手首を支点に竿先を跳ね上げる動作はワカサギ釣りでは効果がない。ワカサギ釣りに使用している竿(扁平穂先)は繊細なワカサギのアタリを表現するため、かなり柔軟にできており、スナップを効かせて先端部だけを素早く上に向けても、その柔軟さが力を吸収してしまい、水中の仕掛はほとんど動いていないのだ。つまりアワセているつもりでも、ほとんどアワセとして機能していないことになる。それではワカサギは掛からない。
穂先角度をキープしたまま
上方へ素早く垂直移動
ではどうするか? 答えはかんたん。手首を使わず穂先角度を保ったまま竿全体を上方へ素早く垂直移動する。アタリを待つ間、竿先はやや下向きになっているが、その角度をキープしたままだ。こうすることでアワセの動きを穂先の弾力が吸収することを極力抑えることができ、水中の仕掛、ハリにまでしっかりアワセの動きを伝達することができるのだ。゚
ただし、あまり大きく動かしたり乱暴に竿を持ち上げてはいけない。ワカサギの口は硬くないので、せっかくハリが刺さっても、その勢いで口が切れて外れてしまったり、リールの巻き上げ途中で逃げられてしまう。アワセ時の竿持ち上げ幅は十数cmから20cmほどでいいだろう。
このように竿を素早く持ち上げたら、いったんその場でピタッと静止させる。その時点でワカサギが掛かっていれば竿先にピクピクと反応が出るはずだし、元々ねらっていたタナからも大きくズレていないので、ほかのハリに別のワカサギを追い食いさせることもできるはず。この動きを忠実にワカサギの数釣りを大いに楽しんでほしい。
※次回は防波堤や磯での青物ノマセ釣りのエサに関するツボをお届けする予定です