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仙台湾のマダイを攻略&リサーチするためには、実績のある遊漁船にお世話になるのが1番ということで、いざ港へと向かいました。今回、お世話になった遊漁船は宮城県南部の閖上港、遊漁船インフィニティー今野船長です。
仙台湾マダイの黎明期からマダイを追いかける今野船長ですが、エリアの絞り込みから釣法の研究までかんたんではなかったそうです。手探りからのスタートで1からマダイジギングを構築するのは相当なご苦労があったと思います。
仙台湾でのマダイジギングはここ数年で形になってきた釣りものだけに、現在も各遊漁船が試行錯誤の真っ最中といった状況。各遊漁船の努力とアングラーの技能の向上で、徐々に釣果も出始めてきたのが仙台湾のマダイ釣りの現状のようです。
当日は残念ながら、私自身、本命の姿を確認することは叶いませんでしたが、船長と乗船アングラー全員の仙台湾のマダイ釣り攻略を拝見させてもらいました。船中では、これぞ仙台湾のマダイ! という素晴らしい魚体も飛び出し、大変勉強になる釣行となりました。
現在進行形の仙台湾マダイ釣りの今
仙台湾での現状のマダイ釣りは、ジギング、タイラバ、テンヤ釣法が一般的です。
ジギングの場合、ジグは小型・軽量のジグ40~100gを中心に、スーパーライト~ライト系のジギングが攻略の中心です。ジグキャスティングで広範囲に探る釣り方がヒットの確率をあげるために用いられています。
ジグをキャストしボトムに着底後、ピックアップしてリトリーブ。この時期のマダイのヒットレンジはボトムから3mほどが多いとのことで、そのレンジを斜めにストレートリトリーブするイメージです。狭いレンジにジグを繰り返し通すにはメインラインが斜めに海中に入ることが重要ですので、船の流し方はドテラ流しが基本となっていました。
ポイントを流し返すたびに船首を入れ替えて、右舷左舷に払い出す側を交代して釣ります。
メインラインが船下に入る側のアングラーはジグをキャストして足下まできたら回収、そしてキャストの繰り返し。一方の払い出す側のアングラーは足下にジグを落とし、徐々に船から離れるジグをピックアップしてリトリーブの繰り返しで、エリアを広く流してマダイとのコンタクトを待つ釣りがメインのようです。
もちろん、船が流れない、あるいは流れすぎる場合など、そのときの状況に応じてスパンカーで船を立てたり、パラシュートアンカーを入れてスピードを調整するなどします。アングラーも船の流れるスピードに合わせてジグの重さを替えるなどして、長くラインを繰り出しながら一定のレンジを探るようにしていました。
マダイは潮を釣れといわれる魚だけに潮流れには敏感な魚ですし、広く探ることでヒットチャンスを得るためこういったスタイルになったようです。マダイ釣りならよくあるスタイルですが、宮城県はカレイ釣りが盛んな地域だったために、船を立てるのが当たり前と考えるアングラーが多数で、ドテラ流しは馴染みのないスタイルだったと思われます。
そして、青森の平舘などでやっているようなジグをキャストしてミドルレンジを釣る釣法は、まだ仙台湾では一般的ではないようです。その理由として、仙台湾は遠浅で広大なシャローエリア(水深20~50m)でのマダイ釣りが主流であり、今時期のマダイのメインベイトは底生生物の虫系、貝類などがメインとなっているために、ジグを通すレンジがボトムよりとなるためだと思われます。
イワシなどを追うマダイには有効なミドルレンジのジギングも、季節によっては今後広まっていくのではないかと思います。
仙台湾マダイジギングの
おすすめタックルチョイス
SLJ系のタックルを選択するアングラーが多いマダイジギングですが、仙台湾に限らず、個人的にはマダイには少し違ったタックルチョイスの必要を感じました。アゴの硬いマダイに対してフックをシッカリと貫通させるには、よく曲がるSLJのロッドではフッキングが甘くなりやすいのがその理由です。
ライトラインでの攻略に欠かせないSLJ系のよく曲がるロッドはフッキングパワーを魚に伝えにくく、ファイト中にバラす原因にもなりかねない、諸刃の剣のようなものです。使いこなすにはアングラーの技量も必要かと思われます。
細糸でもPEラインの進化でラインシステム全体の強度が確保できるようになりましたので、ラインをいたわるロッドよりも、力強くアワセを入れられるロッドがオススメな気がしています。
ティップからベリーにかけて張りがありバットがしっかりとしたロッドで、キャストもできるロッドがマダイジギングには有効だと思います。タイラバのキャスティング用スピニングロッドなどは、仙台湾のマダイジギングのスタイルにピッタリのロッドだと思いました。
もちろんSLJロッドもマダイに使うことは可能ですが、使用にはちょっとしたコツや慣れも必要です。SLJ系のロッドを使用するなら、リトリーブ中はできるだけラインとロッドが真っすぐになるように構えます。リトリーブ中はできるだけロッドティップを曲げないような使い方が理想です。
船の立ち位置などでロッドとラインを一直線にしにくい場面もありますが、可能な限りティップは曲げずにリトリーブすることで違和感を得やすくなり、バイトからアワセの動作に移行したときにハリ先を貫通させやすくする効果が期待できます。
バイトがあればロッドティップで感じるよりもリールを介してアタリを感じたり、リールの巻きが重くなって魚の気配を感じることができます。この状態からフッキングすることで、よりロッドのバット部分に荷重を速く乗せることが可能となり、フッキングパワーを素早く魚に伝えることができるのです。
とはいえ、ロッドはアングラーの好みと使い方次第ですので、自分のフィーリングに合う物を選択し、使い方を模索するのがよいかもしれませんね。
アシストフックの重要性
貝を噛み砕いて食べてしまうほど、アゴの力が強いマダイ。アゴの骨は丈夫で硬くしっかりした構造となっています。
骨にはフックは刺さりませんので、表面の皮を縫うようなハリの掛かり方も多いです。もちろん、マダイのアゴの関節部分にハリが掛かれば申し分ないのですが、いつもうまく掛かるとは限りません。
フッキング後のバラしはハリがしっかりと掛かってないことがほとんどです。マダイの捕食行動は噛むことが主体で、飲み込む前に噛み付いて捕食対象の動きを止めにきます。吸い込むことで捕食対象を飲み込むよりも、細かく砕いてから飲み込もうとすることが多いのがマダイです。
ジグに対してもしつこく噛んできますので、エサ釣り用のハリがマダイジギングのアシストフックにはしっくりときます。アシストフックはハリを魚が飲み込んだところでアワセを入れるように使いますので、ジグを噛みにくるマダイには好都合なのです。
ハリ先のポイントがカーブしていてアゴの関節部分に掛かりやすく、アワセの際にハリ先が骨に当たってもうまく滑って肉に貫通してくれます。
そんな理由からマダイジギングのアシストフックを自作される場合は、チヌバリなどのエサ釣り用のハリを使用するのがオススメです。市販品のアシストフックでも、ネムリ形状(カーブポイント)のフックを使用したアシストフックがマダイジギングにはマッチしていると思います。
また、フックサイズも小型のジグを使用するので小さめがよいでしょう。フック形状は全体に丸みを帯びたもの、少ない力のアワセで貫通してくれる小さめのフックが有利と感じています。
仙台湾のここ数年の変化には驚くばかりです。つい10年ほど前、仙台湾といえばマガレイ釣りが全国的にも有名でした。しかし、遊漁船の定番ターゲットとなっていたマガレイが激減し、あれほど釣れていたワラサでさえ釣れなくなりつつあります。
そんななか、代わってターゲットになりつつあるのが今回紹介したマダイです。
このとてつもない変化に対応するための各遊漁船の努力は計り知れないものだったでしょう。しかし同様に、アングラーの情熱も手伝って仙台湾のマダイゲームはカタチを整えつつあります。テクニカルで攻略の難しいマダイですが、きっと近い将来、仙台湾を代表するターゲットとなるに違いありません。
仙台湾マダイジギング 参考タックル
ロッド: 6~7ft スピニング、ベイトロッド
ややティップよりのファーストアクションでバット部がしっかりしたもの
(シマノ 炎月シリーズ /ダイワ 紅牙シリーズ など)
リール: スピニング4000番(シマノ機種) 3500番(ダイワ機種)
ベイト200番(シマノ機種) 100番(ダイワ機種)
(シマノ オシアコンクエストCT /ダイワ ソルティガIC など)
※ICカウンター装備のリールが望ましい
ライン: PE1~0.6号
リーダー: フロロカーボン4~6号
レポーターREPORTER
フライフィッシング、バス、シーバス、ロックフィッシュ、フラットフィッシュ、エギング、鮎釣りまで、さまざまなジャンルを釣りこなすマルチアングラー。現在はスーパーライトからヘビークラスまでジギング全般と、メタルスッテを中心としたイカ釣りに取り組む。
東北エリアの面白い釣りを発信することで、震災復興に繋げていきたいという熱い想いのもと活動中。
GOMEXUS社フィールドテスター /tamaTV社フィールドモニター /キーストン社フィールドサポーター などを務める。
ブログ:Anglershighごめのブログ