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さて、まずはこの連載名、何ですのん? といったところからスタートさせていただきたいと思います。
小生、釣ることもさることながら、釣った魚を食べることも大好きなワケでして、とくに刺身で食すことが大の大が付く程に大好物なのでございます(笑)。そして刺身といえば欠かせないのが醤油。刺身を口に入れたときに広がる美味しさ、そしてそれぞれの魚が持つ旨味が押し寄せてきます。とりあえず刺身の半分は醤油の味! と言っても過言ではないでしょう(笑)。
ということで、今回から連載させていただく「醤油ロード」、全国それぞれの醤油の産地をメインに場所選定し、そのエリアで釣れるターゲットをねらっていこうという、いわば本来の釣行記とは逆の主旨で掘り下げていこうと思います(笑)。
まずはやっぱりホームグラウンドの醤油から
記念すべき第1回は、小生のホームグラウンドである淡路島にロックオン。豊なる瀬戸内の東止まりに浮かぶ島は、北は明石海峡、東は紀淡海峡、また南は渦潮で有名な鳴門海峡といった、一流の海峡が育む潮通しのよい環境に囲まれています。また、島の東西南北で地形や海流変化の特性があり、さまざまな種類の魚がねらえる釣り人の楽園でもあるのです。
そんな釣りには事欠かない島は、過去には40軒を超える醤油蔵が存在していたのですが、現存するのは今回お邪魔させていただいた「センザン醤油」さんのみとなっています。時代の流れはさまざまな変化を生みますが、今も尚、古より受け継がれる歴史が続いているのなら、それだけで胸と舌にグッとくるものがあるのです。今回特別にその歴史ある蔵内に入らせてもらいました。そして、快諾していただいたセンザン醤油代表の秦さんにいろいろとお話を伺うことができました。
醤油一滴の想いと歴史を感じてから垂れる釣り糸
創業は明治23年。先代から語り継がれる淡路島の醤油シーンの歴史や基本的な醤油の作り方、実際に稼働している機械を見ながら各工程の説明などなど…、どれも貴重で興味深いお話。また、その当時使っていた大きな木製桶なんかも見学させていただきました。
現在では趣ある大きな木桶は役目を終えてひっそりと奥に鎮座しています。昔ながらの大きな木桶ではありませんが、それでも家庭では考えられない量の醤油が巨大なプラスチック製の桶に入っている様は圧巻でした。また機械化も進み、殺菌処理といった衛生面も大幅に進化。味わいはもちろん賞味期限なども伸びて、安心して長く味わえる醤油たちが時代の流れとともに完成されていたのです。そして、最終的には各種醤油たちがさまざまな工程を経てパッケージ詰めされる。そんなセンザンさんの刺身醤油を手に取りながら淡路瓦で作られた蔵を眺めつつ、長き歴史とその重みを感じることができたといったところです。
そして、気になるセンザンさんの醤油のお味は至って「シンプル&スタンダード」。
刺身醤油においては、「これが刺身醤油の基準である!」といった小生の感想。甘過ぎず辛過ぎず、濃過ぎず薄過ぎず、どの魚にも合いつつ、魚それぞれが持つ旨味を醤油が出しゃばらずに引き出していく…。もちろん釣った獲物もセンザン醤油でいただきましたが、噛むごとにじわじわと素材自体の旨味を引き出し、甘みを引き立てていくといった感じでしょうか。ということで、今回この醤油に合うターゲットはズバリ、アオリイカだ! と言うよりも、この醤油で食べたいターゲットはアオリイカだ(笑)! というワケ。