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初めてオカッパリをしてみて
「船じゃないと釣れないでしょ?」という先入観を抱きつつ挑戦したオカッパリ。いつもは予約をして、時間通りに船宿へ行って、乗船して…と段取りの多い船釣りに慣れている身としては、「もっとラフに釣りできないかな…」と思っていたタイミングでの「陸デビュー」でした。しかも、実際にやってみたらこれが想像以上に楽しかった!
まず驚いたのはそのお手軽さ。堤防や海釣り施設なら、道具さえあればふらっと立ち寄ってすぐに釣りができる。船の出港時間に縛られることもなければ、酔い止め薬を飲む必要もない。しかも足下は安定しているし、座ってのんびりコーヒーを飲みながら釣りをする、なんて贅沢もできる。これはもう、ある意味「癒しの時間」ですね。

一方で船釣りに慣れていると、ちょっとだけ「う~ん」と感じるポイントも…。
たとえば、堤防からだとねらえる魚種がどうしても限られるし、潮の流れや水深の変化も小さい分、釣果にムラが出やすい印象。そしてなにより、水面まで距離があるため、魚を取り込むのに一苦労…。船ならそのままタモでスッとすくえるのに、堤防ではバラさないようにドキドキしながら巻き上げる緊張感がありました。
とはいえ、それもまた「オカッパリの味」。釣れる魚のサイズは控えめでも、自分の手で仕掛けて、自分のペースで待って、たまに隣の人と会話しながら…と、なんだかんだでこういう「のんびりスタイル」の釣りもいいなぁと思えたのが正直な感想です。
船釣りは「釣果重視! 本気モード!」、堤防釣りは「ゆるっと楽しむ、日常の延長」って感じでしょうか。次はもっと装備を工夫して、オカッパリでも「ねらって釣る」喜びを追求してみたい! なんて思っていたりします。
釣りのあとは展望レストランで一息
さて、釣りを満喫したあとは、施設の3階にある展望レストランでちょっと遅めのランチタイムを過ごしました。
思っていた以上に体力を使っていたのか、席に着いた瞬間、どっと疲れを感じた午後。そんなタイミングでいただいた、ほんのり甘めの醤油ラーメンは、優しい味が疲れた身体にじんわり沁みていくようでした。
レストランの窓からは、さっきまで自分が釣りをしていた桟橋が一望できます。ラーメンをすすりながら、「あそこでもう少し粘ればもう1尾いけたかもな~」なんて、1人反省会。でもそれすらも楽しいひとときです。

ちなみにレストランには広々としたテラス席もあって、潮風を感じながら食事ができるのも魅力の一つ。天気がよい日には、そちらでのんびりランチを楽しむのも気持ちよさそうでした。

釣果を美味しくいただきました!

今回釣れたのは、カタクチイワシ、キス、豆アジ、そしてコノシロ。せっかく自分で釣った魚たちなので、余すところなく美味しくいただくことにしました。というわけで、コノシロ以外は3種まとめて「唐揚げ」に決定!
小さい魚は唐揚げに
まずはカタクチイワシから。ウロコをさっとこすり落として、指先で腹を割き内臓を丁寧に取り除きます。豆アジとキスも、包丁の先でちまちまと内臓をかき出していく地味な作業…。でも、こういうのも釣りの楽しみの一部ですよね。

下処理を終えたら、すべての魚をビニール袋に入れて塩コショウを振りかけて、袋をフリフリして味付けします。最後に小麦粉をまぶして、高温の油でさっと1分ほど揚げれば完成!

カリッと揚がった魚たちは、頭から尾までまるごとパクッといけて、うまい! ただ、欲を言えばもうちょっと数が釣れていたらなぁ。気付けば一瞬で皿が空になっていました。次はもっとたくさん釣って、山盛り唐揚げにしたいものです。
初挑戦!コノシロの酢締め
今回の釣行で釣り上げた、たった1尾の貴重なコノシロ。せっかくならこの1尾を「酢締め」にして酒の肴に…、そう決めていました。
でも酢締めは、酢の塩梅や締め時間によって味がガラッと変わるらしく、仕上がりはまさに「やってみないと分からない」料理。しかも今回は1尾しかないので、失敗は絶対に避けたいものです。
気合十分、まずは丁寧に3枚におろし、塩をふって冷蔵庫で1時間ほど寝かせます。その後、酢で塩を洗い流して、ひたひたになるくらいの酢と白だしを少々加えた容器に移し、再び1時間ほど寝かせました。酢を切ったあとは、ボウルの内側に頭を上に並べて一晩じっくり寝かせて完成です。


小骨が多い魚と聞いていたので、食べやすいように細かく包丁を入れて盛り付けてみました。見た目はすっかり「酒の肴」そのもの! 見ているだけで日本酒が飲みたくなってくるやつです。

ひと口食べてみると、ちょっと酢が効きすぎた感はあったものの、九州の甘口醤油を少し垂らして食べるとこれが旨い! 身はしっとりとして柔らかく、小骨もまったく気にならない仕上がりに思わず「ほほぅ、けっこう上手いじゃん!」と自画自賛。まさに釣り人冥利に尽きる味でした。
もっと数が釣れていたら、お刺身でも味わってみたかったのですが、それはまた次回の楽しみに取っておこうと思います。
初めてのオカッパリは、釣果だけでいえば決して大漁ではありませんでしたが、自分のペースでのんびりと竿を出し、思い思いのスタイルで釣りを楽しむ人たちの姿に、「釣り」本来の魅力を改めてて感じられた1日でもありました。
船釣りには船釣りのダイナミックさがあり、オカッパリにはオカッパリの気軽さや自由さがある。それぞれのスタイルで、それぞれの楽しみがあるのだと、今回の「陸デビュー」で実感しました。
今回の釣り施設では魚の顔を見ることができたし、釣った魚を自分で調理して食べる楽しみも味わえました。となると次は、また違う堤防や別の施設にも足を運んでみたくなるのが釣り人の性(さが)ってもんです。次の釣り場では、どんな魚とどんな景色が待っているのか…。そんな期待を胸に、また近いうちに出掛けてみたいと思います。