【検証】何が正解?タイラバの移動速度
潮流と巻き速度から見る最適解!

01_ 穏やかな海面

タイラバ釣りの成功を左右する重要な要素として「巻き速度」があります。しかし、この巻き速度は潮流や状況によって常に変化するため、経験を積まないとなかなか理解し難いところです…。

今回は、タイラバの巻き速度について「タイラバの移動速度」という考え方を基準として分析し、それぞれの状況における最適な巻き速度について検証してみました。「タイラバの最適な巻き速度って、漠然としていてよく分からないな…」と悩んでいる方に向けて、少しでも頭の中を整理するお助けになればと思います。

タイラバにおける「巻き速度」の一般的な認識

02_ マダイとタックル
タイラバでは必ずリールを巻く必要があります

従来の曖昧な指標

タイラバ釣りにおける「巻き速度」について、これまで以下のような表現で説明されることが一般的でした。

  • ・タイラバの重さがちょうどいい感じ
  • ・潮に合わせて巻く
  • ・タイの活性に応じて変える
  • ・ベイトの種類によって調整する

明確な基準の必要性

これらの感覚的な表現は経験者には理解できても、初心者には具体的な行動に結び付けることが困難です。とくに以下の点が課題となっています。

  • ・速度の定量的な基準がない
  • ・状況に応じた調整方法が不明確
  • ・正しい巻き速度かどうかの判断基準がない

今回の検証における前提条件

今回の検証を実施するにあたり、以下の前提条件を設定してみました。

釣り場:瀬戸内海

03_ 瀬戸内海
出典:Google Earth
  • ・安定した潮流パターン
  • ・タイの生息環境が明確
  • ・著者のメインエリア

対象とするエサ:ベントス(底生生物)

  • ・エビ、カニなどの甲殻類
  • ・比較的ゆっくりとした移動特性
  • ・潮流に影響される動き方
  • ・タイの主要なエサ(ベイト)

季節:初夏から秋

  • ・底生生物をメインで捕食している時期
  • ・タイの活性が高い時期で、水温変化などによる魚のコンディションへの影響が少ない
  • ・春や冬は中層浮遊系ベイトを捕食しており傾向が異なる

(タイラバの)検証に際して前提条件(場所・エサ・季節)を設定する理由は、釣果に影響を与える変数を限定することで、より明確な法則性を見出すためです。

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場所によって潮流パターンは大きく異なり、太平洋や日本海では瀬戸内海とは全く異なる条件となります。また、ベイトの種類によってタイの捕食行動が変化し、イワシなどの遊泳魚を追う場合は、底生生物を捕食する場合とは異なる行動を見せます。そして季節についても、春や冬にはベントス以外の中層に浮くベイトを捕食するタイミングが多くなるため、巻き速度についての考え方が変わるからです。
今回の検証結果は、あくまでこの3項目の前提条件があることに留意してください。

タイラバの移動速度から考える「巻き速度」とは?

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タイラバの移動速度を正確に理解するためには、以下の2つの要素を考慮する必要があります。

(1)潮流による横移動

  • ・潮流によって自然に発生する移動
  • ・潮の強さによって大きく変化
  • ・アングラーが制御できない要素

(2)巻き上げによる縦移動

  • ・リールの巻き上げによって生じる上昇移動
  • ・アングラーが直接制御できる要素

これら2つの要素が絡み合い、タイラバの実際の移動速度が決まります。「タイラバの移動速度と巻き速度の関係」といった理解に基づくと、以下の重要な関係性が見えてきます。

【潮流が強い場合】

  • ・横移動が大きい
  • ・巻き速度を遅くしても十分な移動速度が得られる

【潮流が弱い場合】

  • ・横移動が小さい
  • ・巻き速度を上げて移動速度を確保する必要がある

このようにタイラバの移動速度を基軸とすると、潮流によって巻くべきスピードが変わるということが分かってきます。

08_ 巻きスピード