ダンゴを握って大きなチヌが釣れる!?
魅惑の釣法「紀州釣り」

こんにちは。べらむらです。
みなさんは、チヌ(クロダイ)をねらう「紀州釣り」という釣りをご存じですか? 「なんとなく聞いたことはあるけれど具体的には分からない」「まったく聞いたことがない」という方も多いのでは!? 今回は、意外と知られていない釣り、「紀州釣り」を紹介します。

紀州釣りってどんな釣り?

「紀州釣り」は和歌山県が発祥のご当地釣法で、米ぬかが主原料のダンゴ材で付けエサを包んで丸く握り、チヌをねらう釣りです。

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紀州釣りのダンゴ(握った状態)

上層や中層で群れているエサ取りの魚たちから付けエサを守り、「海底にいるチヌの口まで確実に届けることができる」という理にかなった釣りです。着水と同時に付けエサが取られてしまったり、チヌの遊泳層まで付けエサが届かない…などの悩みも解消されるので、エサ取りが多い時期に威力を発揮します。

  • ●海に投入したダンゴが着底する
  • ●魚が集まりダンゴを突く
  • ●徐々にダンゴが崩れていき、付けエサが現れる
  • ●チヌが付けエサを見つけて食べる

というのが釣れるまでの一連の流れで、ゲーム性もあって面白く、チヌ以外にもさまざまな魚が釣れます。さらに「紀州釣り」は、防波堤・沖堤防・地磯・沖磯・砂浜・河口など、チヌが生息回遊するポイントであれば、フィールドを選ばず楽しむことができるのです。

「紀州釣り」という名前や特殊な釣り方から、「中上級者向け」というイメージを持たれる方もいると思いますが、今は海水と混ぜるだけですぐに使えるダンゴ材も販売されていて、おにぎりを握る要領でダンゴもかんたんに握れるため、初心者さんでも手軽に紀州釣りを楽しむことができますよ!

紀州釣りのロッドとリール

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紀州釣りのロッドとリールの一例

紀州釣りを楽しむときは、対象魚のチヌに合わせた磯竿レバーブレーキリール(スピニングリールでも可能)が必要になります。
磯竿は1~1.5号かつ、全長5~5.3mの番手がオススメです。

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磯竿1号5m

レバーブレーキリール(または、スピニングリール)は、2500~3000番がオススメです。エントリーモデルの安価な磯竿とスピニングリールの組み合わせでも、問題なく紀州釣りを楽しむことができます。

過去記事で紹介しているウキ釣りのロッドとリールの組み合わせでも紀州釣りは可能なので、そちらも参考にしてください。

初心者さんでもかんたん!防波堤で手軽に楽しめるウキ釣り

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レバーブレーキリールC3000DXXG

道糸は視認性が高いカラーかつ、ナイロンサスペンドタイプの2を巻きます。

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道糸の一例

仕掛解説!
紀州釣りはオモリを付けないウキ釣り!?

紀州釣りの仕掛は、下記の仕掛図がその一例です。仕掛図を見たら分かると思いますが、かんたんに説明すると、オモリを付けないウキ釣り仕掛です。紀州釣りでは激流ポイントを除き、ダンゴがオモリの代わりになります。

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紀州釣りの仕掛図

ウキ止め糸は実釣中にウキがズレてしまったときに気付きやすいよう、10cm程度の間隔を空けて道糸の2箇所に取り付けます。水深が5m未満の浅い釣り場の場合は水深も把握しやすいので、ウキ止め糸は1箇所でも構いません。
紀州釣りは仕掛に余計な潮の抵抗を受けさせたくないので、からまん棒の代わりにウキ止め糸を取り付けます。

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ウキ止め糸

紀州釣りで使用するウキは、自立式の棒ウキが感度と視認性のバランスがよくオススメです。ダンゴを投げたとき、ウキも抵抗なく追従するように自重10g未満の軽量なものを選んでください。ウキ用のラインスベル(ラインスイベル)とセットで使用します。
紀州釣りで使用するウキの判断が難しい場合は、釣具店の店員さんに相談してみるとよいでしょう。

また、紀州釣りでは「寝ウキ」と呼ばれるウキも使われています。ダンゴが割れたあとに、海面で寝ているウキが立てばアタリと判断します。

紀州釣りのハリスはフロロカーボンの1.5号を使用します。根掛かりが多い釣り場では、少し細めの1.2号にすると高切れしてウキをロストするリスクも減り、根掛かりに対処しやすいです。一方で、海底が砂地で根掛かりしない釣り場では、さらに太い1.75号2号のハリスを使用して、大物が掛かったときに強気で攻めることも可能です。サルカンを使用して道糸と結束します。

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フロロカーボンハリス

最後にハリですが、紀州釣りはダンゴを着底させて海底を攻める釣りになるので、私はハヤブサの「鬼掛 底攻めチヌ」などのチヌバリを使用しています。サイズ1~3号をそろえておけば、あらゆる釣況に対応できるでしょう。
経験上チヌがよく釣れる場所はハリスを噛み切るフグも多い傾向があるので、チヌバリは多めに用意しておくと安心です。

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鬼掛 底攻めチヌ オキアミオレンジ(ハヤブサ)

紀州釣りのかなめ!エサのダンゴ作り

慣れるまでは市販のダンゴ材がラク!

紀州釣りのダンゴは、米ぬか・砂・さなぎ粉・押し麦・アミエビなど、数種類の材料を一定の容量比率で混ぜ合わせて作ります。
相当マニアックな内容になり、説明するとひじょうに長くなるので、私のブログの方で詳しく解説しています。自作にチャレンジしてみたい方は、そちらを参考にしてください。

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紀州釣りのダンゴ材(自作したもの)

初心者さんが材料をすべてそろえるには、手間がかかるうえに失敗するリスクもともなうでしょう。そこで、市販のダンゴ材を用意すると、かんたんに紀州釣りのダンゴを作ることができます。まずは市販のダンゴ材を使用してみて、実際の使用感を覚えてから自作にチャレンジすることをオススメします。

パッケージ裏面の説明書きに従い、400~500ccの海水を加えて混ぜれば完成です。波止ダンゴチヌ1袋で3~4時間ほど紀州釣りを楽しむことができます。紀州釣りを長時間楽しみたいときは、2~3袋用意するとよいでしょう。

また、ダンゴ材の集魚力をアップさせたいときは、海水を加える前に解凍したアミエビを200cc程度加えて、手のひらですり潰しながら混ぜ合わせます。最後に海水を加えて仕上げます。当日の状況が分からない大半の釣り場では、チヌを早く寄せるという意味も込めて、ダンゴ材に少量のアミエビを混ぜて様子を見た方がいいですね。

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ダンゴ材の集魚力を底上げするアミエビ

では、パッケージ裏面に載っているダンゴの握り方例を参考にして、試しにダンゴを握ってみましょう! ダンゴ作りのかんたんな目安は、片手でギュッと握ってみてダンゴ材がある程度まとまるくらい。加える海水の量を上手く加減してみてください。

ダンゴの握り方

基本的な握り方は、まずダンゴ材を片手に取ります。

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ダンゴ材を片手に取る

片手に取ったダンゴ材の真ん中に付けエサを置きます。

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付けエサを置く

反対側の手でダンゴ材を上に被せて、おにぎりを握る要領で均等に圧力を加え、形を整えながら丸く握ります。

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ダンゴ材を被せて握る

最終的にしっかりとまとまり、丸いダンゴになれば完成です。目安として、ダンゴを1m程度の高さから地面に落としてみて、ひび割れなければOKです。

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握ったダンゴ(投入直前の状態)

ちなみに、実釣中にダンゴ材の水分が蒸発して握りにくくなる(パサついてダンゴ材がまとまらなくなる)ことがあります。そんなときは、海水を少しずつ加えて混ぜ、ダンゴ材の水分量を微調整してください。100円均一ショップなどで販売されている、容量200cc程度の小さな計量カップがあると便利です。

また、付けエサはオキアミ・コーン・練りエサなど、数種類用意しておいてください。紀州釣りではエサ取り対策でコーンが軸になることが多いため、必須の付けエサといえます。近くのスーパーなどで販売されている食品のコーンも立派な付けエサになりますよ!

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付けエサの一例

釣り方の手順

ウキ下の設定をしっかりと!

紀州釣りでは、釣りを開始する前に釣り場の水深を正確に測り、ウキ下を設定するところから始めます。水深を予測して、ウキ止め糸を仮固定します。

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まずはウキ下の設定から!

水深を測るため、まずはエサを付けていない「素バリ」の状態でダンゴを握り、自分が釣りたいポイントへ投入してみます。慣れるまでの間は、釣り座から10mぐらい先をポイントにすると、仕掛の操作もしやすく釣りやすいです。

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ポイントへダンゴを投入してみる

ダンゴを投げるときのコツは、リールのベールを起こした状態で道糸をウキ止め糸の部分まで海面に出し、手に持ったダンゴをアンダースローで投げます。ダンゴを投げると同時に磯竿を軽く上に煽ると、ウキも追従して真っ直ぐ飛んでいきます。
始めのうちはダンゴが空中分解する失敗も起こると思いますが、やればやるほど上達する釣りなので、とにかく練習あるのみです。

ダンゴを投入してウキが沈んでしまったときは、ウキ下が浅過ぎるので深く設定します。逆にウキが沈まないときは、ウキ下が深過ぎるので浅く設定します。最終的なウキ下は水深と同じ(底トントン)になればOKです。ちなみに、水深を測りウキ下を設定するときのダンゴの投入が、事前のマキエになっています。
海には潮汐や潮流があり、影響を受けてウキが沈んでしまうことも多々あります。釣況を見ながらウキ止め糸を動かし、ウキ下をこまめに設定し直してください。

実釣開始!
釣況を見ながら付けエサをローテーションしよう

ウキ下の設定が済んだら、いよいよ紀州釣りの実釣開始です。チヌバリにオキアミを付けてダンゴを握り、ねらったポイントに投入します。

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付けエサのオキアミ

紀州釣りのアタリは大きく分けて2種類あります。魚がダンゴを突いたときに出るダンゴアタリと、魚が付けエサを食べたときに出るアタリです。

ダンゴアタリはウキが完全に沈まず、小刻みに上下に動くだけで終わることが多く、この時点でアワセを入れてもハリ掛かりしません。魚が付けエサを食い込んでウキが沈んだときにアワセを入れます。

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ダンゴを投入して魚のアタリを待っている状態

ダンゴを数投してオキアミがすぐに取られてしまうようなときは、エサ取りの小魚がいると判断します。そして次の一手として、オキアミとコーン1粒の付けエサで様子を見ます。それでもすぐに取られてしまう場合は、コーン2~3粒の付けエサに変更して、釣況が変化するまで押し通します。

急にコーンが残るようになったときは、釣況が変化した(チヌが近くにいる可能性あり)と判断して、新たに練りエサを付けてみたり、再び実釣スタート時のオキアミに戻して反応を見ます。

このとき、「ボケジャコ」という付けエサがあるとチヌの特効エサになります。釣具店によって取り扱いは異なりますが、生きたボケジャコと冷凍のボケジャコがあります。入手可能であれば、どちらかを持って行くことをオススメします。

チヌがすぐ近くに寄っている場合、付けエサを変更した途端に一発で食ってくることが多々あります。もちろん大型のチヌも釣れますよ!

以上の手順でエサ取りの反応を見ながら、付けエサをローテーションして釣っていきます。

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付けエサをローテーションして仕留めた本命のチヌ

ところで、紀州釣りを楽しんでいると、チヌ以外の魚も多数回遊してきます。そのなかでも、アジは食べても美味しい魚です。アジが回遊してきたらダンゴ材に使った残りのアミエビを有効活用して、お土産フィッシュもねらっちゃいましょう! チヌ以外にも美味しい魚が釣れますよ!

「紀州釣りは、中上級者がやる難しい釣り」という印象を持たれる方も多いですが、付けエサをダンゴ材で包んで丸く握るだけのいたってシンプルな釣りです。今回は、私自身が実際に釣り場で楽しんでいる奥が深い紀州釣りの釣り方の一例を紹介させてもらいました。

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紀州釣りで釣ったチヌ

チヌの「ウキフカセ釣り」はコマセを撒く釣りなのに対し、「紀州釣り」はコマセと同等の集魚効果があるダンゴを握る釣りです。機会があればぜひ紀州釣りにもチャレンジしてみてください。


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レポーターREPORTER

べらむら
プロフィール:べらむら
小学生のときにサビキ釣りデビューしたあと、フカセ釣りで40 cmアップのチヌを釣ったことがきっかけで釣りにハマり現在もチヌ釣り、アジ釣り、カワハギ釣り、ソルトルアーのライトゲームなどを楽しんでいます。自分で釣った魚を酒の肴にして、お酒を飲むのが好きです。
インスタグラム:
@beramura_fishing (URL: https://www.instagram.com/beramura_fishing/)