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釣り初心者にとって、初めてPEラインを使う際に大きな壁の一つとなるのが「ラインシステムを組まなければならないこと」だと思います。
一般的にPEラインは引っ張り強度には優れていますが、耐摩耗性はやや低いと言われています。そのため、とくに細いPEラインを使う場合は、ナイロンラインやフロロカーボンラインのリーダーを先端に接続して、ラインシステムを組まなければならないわけですが、この際に使うノットが釣り初心者にとってはなかなか厄介な問題だったりします…。
そこで今回、釣り初心者さんでもカンタンに結べて、かつ実釣強度にも優れた、3分で結べる自己流「かんたんノット」をご紹介したいと思います。
日本での主流は摩擦系ノット
PEラインとリーダーを結束してラインシステムを組む場合、日本では通常のライン同士の結束方法ではなく、いわゆる摩擦系ノットを使って組むのが一般的です。
これは結び目を作ると、そこから極端に強度が落ちるというPEラインの特性からくるもので、ナイロンラインやフロロカーボンラインで使うような結束方法を使うと、PEラインは高い結束強度が維持できないからとされています。
一例を挙げると、ライン同士を結ぶ際一番ポピュラーな結び方とされる「電車結び(ユニノット)」ですが、ナイロンラインやフロロカーボンで使った場合の結束強度が65%前後といわれているのに対し、PEラインで使った場合の結束強度は50%程度。つまり結び目を作らなければ本来100%の強さを発揮できるラインが約半分の50%までの強さに低下してしまう…、とまことしやかにいわれています。
(正確な引張テストに基づいた説ではありませんので、ご了承ください)
そこで考案されたのが、FGノットやSCノットといった摩擦系ノットの数々。PEラインとリーダーを互いに結ぶのではなく、PEラインをリーダーに巻きつけて強く締め込むことで生じる摩擦によってリーダーと接続するというものです。PEラインをリーダーと直接結んでいるわけではないので、ライン強度の低下を抑えることができるというわけです。
必ず摩擦系ノットでなければ駄目なのか?
しかしこの摩擦系ノットにも難点があります。それは釣り初心者にとって、結ぶのにそもそも難易度が高く、熟練度によって結束強度のバラツキが出やすいということです。とくにPEラインの締め込みが甘いとリーダーがメインラインからスッポ抜ける可能性もあります。またユニノットなどと比べると結ぶのに手間と時間を要してしまうという点も挙げられます。完璧に習得するためには、実物を用いて何回も練習する必要があるのです。
このように難易度が高い摩擦系ノットですが、(一説によると)世界的に見て、ここまでPEラインとリーダーを結束するのに摩擦系ノットにこだわるのは日本人くらい(?)だそうです。海外のフィッシングガイドからは「なぜ日本人はそんなに摩擦系ノットにこだわるんだ?」とたいそう不思議がられるとか…。
ちなみに私の知人が北米に釣りに行った際、現地のアングラーが20~30kgになるサーモン相手にどんなノットを使ってるのか興味があって見せてもらったところ、意外にもブラッドノットでラインシステムを組んでいて、摩擦系ノットでないことに驚いたそうです。
私が考えるノットに必要な三大要素
ステレオタイプな見方かもしれませんが、勤勉で真面目な日本人は、あえて組むのに手間が掛かって、なおかつ可能な限り結束強度が高い摩擦系ノットを尊ぶ傾向にあるのかもしれません(ある種の様式美にこだわる日本人らしさかも…)。
あくまで個人的にですが、慣れないうちは何も難易度が高い摩擦系ノットにこだわる必要はないと考えています。初心者アングラーが手早く釣りを楽しむために、「素早く・かんたん」「確実」「実釣強度がある」といった3つを満たすことができれば、何の問題もないように感じています。摩擦系ノットは釣りに慣れてからで十分! もしくは、「よりシビアに魚をねらう」「繊細なやり取りをしたい」と思うようになってからで十分ではないでしょうか?
ねらった魚を確実に獲れるだけの結束強度が担保できれば、前述の3点を最低限クリアできるノットでも構わないと考えています。釣りの現場でラインシステムを組み直す際も楽ですしね(ノッターのような補助アイテムも不要です)。
余談になりますがその昔、PEラインに対応した専用ロッドには、ガイド口径の小さなローライダーガイドなどが主に採用されていた時期がありました。ガイド口径が小さいことから、結び目ができずにガイド抜けがよい摩擦系ノット一択となった時代です。しかしKガイド(ガイド口径が大きく、ロッドに対して少し傾斜が付いたガイドフレームのこと)の登場によって、現在はそこまでラインシステムに結び目ができることを問題視しなくてもよくなりました。
自己流!「かんたんノット」なら
煩わしい結束もラクチン?
そんなワケで、私が実践でいろいろと試してたどり着いたノットをお教えしましょう!
恐らく3分もあれば、十分釣り初心者の方でも結べる「かんたんノット」。仕組みは「ユニノット+ハーフヒッチ+エイトノット」といった組み合わせによる、ごくシンプルなラインシステムです。
肝心な実釣強度の方も折り紙付きで、これで80cmクラスの巨ゴイや約30m先の対岸で掛けた60cmクラスのライギョやナマズも問題なく何尾も獲っています。(参考までに…、メインラインがPE0.8~1.2号、リーダーがナイロン14~20lbといった組み合わせでラインシステムを組んでいます)
根掛かりした場合は、引っ張ると大抵フックが伸びるかフックが折れる、または、メインラインとリーダーの結束部分が切れる前にリーダーとスナップとの結束部分が切れます。摩擦系ノットではありませんが、それくらい意外と強いノットです。
「かんたんノット」の結び方
これまで根掛かりや仕掛のロストを経験するなかで、必要に迫られて生み出したのが、かんたんに現場で素早く組めて、実釣強度も充分にあるこのノット。手順は以下の通りです。それぞれのノットを以下の方法でまず結びます。端糸は締め込みを考えて、やや長めに取った方が吉です。
手順
(写真の赤い糸がメインライン、白い糸がリーダーです)
手順①: リーダーに対して、メインライン(PEライン)を巻き付け回数5回で電車結び(ユニノット)。
手順②: リーダーの反対側をメインラインに対して、8の字結び(エイトノット)。
この時点ではまだ各ノットは完全には締めこまないこと。
手順③: メインラインとリーダーを持って引っ張り、互いの結び目がくっついたら、それぞれを渾身の力を込めて締め込む。リーダー側の結束作業はこれで終わりなので端糸をカット。
手順④: メインラインの端糸をリーダーに巻き付けてハーフヒッチを5~7回施す。このときも1回1回渾身の力を込めて締め込むこと。なおハーフヒッチの方向は同方向でも、互い違いにしても強度に差はないので自分がやりやすい方を選択してください。
手順⑤: メインラインの端糸をカットしてできあがり! ほつれ防止に端をライターで炙っておくと完璧。
手順はコレだけ。少なくとも魚とのやり取りでノットから破断したことは今のところ一度もありません。
ノットはとにかく「素早くかんたん」「確実に結べて」「実釣強度がある」ことが肝要。今回の「かんたんノット」もオススメですが実際にいろいろなノットを自分で試してみて、自分に一番マッチするノットを探してみるのも大切なことかもしれません。何とかの一つ覚えではないですが、みんなが使っているからという理由だけで、初めから摩擦系ノット(日本だと実質FGノットの一択)にこだわる必要はまったくありませんよ。
結局のところ、一番慣れていて自信があり、釣り場においても素早く結べる結束方法がベスト。あわせて結束強度の限界値を自分で把握できているのなら、何の問題もないと思います。
それではよいフィッシングライフを。
レポーターREPORTER
ラパラルアーとアメリカンルアー、アニソンとZABADAKとPerfumeの曲をこよなく愛する心優しきオッサンアングラー。さらに競馬や雑学、サブカルチャー系の知識全般にやたら造詣が深い。