釣り道具において「仕掛」は、ロッドやリール、ルアーほど脚光を浴びるわけではないが、魚に直接触れるアイテムとして、また、仕掛の良し悪しによって釣果が左右されるなど重要なアイテムだ。そんな仕掛を扱うメーカーならではのプチ知識を、開発担当者に聞いてみる当企画。「これ知ってたらお得」「釣果アップにつながる」「釣りが快適になる」…といったアイデアを紹介しよう。
今回の「ハリ結びと枝結び」を教えてくれたのは、前回同様、長年仕掛開発に携わる田中さんだ。
【糸とハリの結び】ハリ結びの基本中の基本!
外掛け結び(マクラ付き)
バス釣りなどのルアーフィッシングの場合、比較的「管付きバリ」と呼ばれるハリの根元(チモト)部分に輪っかのついたハリを使用することが多い。しかし、エサ釣りの場合、ハリの根元は「タタキ」と呼ばれる平たく叩かれた形状となっていることが多く、初心者にはこの部分に糸を結ぶのはなかなか容易ではない…。
そこで覚えていただきたいのが、ハリ結びの基本中の基本である「外掛け結び」だ。
田中さんいわく、「外掛け結びはどんな釣りにでも使える、一般的なハリに糸を結ぶ方法です。これさえ知っていれば、苦労することはないですね」とのこと。しかも今回教えてくれるのは、ハリから糸がすっぽ抜けにくいひと工夫がされた結び方とのこと。
田中さんが教えてくれたのは「外掛け結び(マクラ付き)」という結びで、ハリに結んだ糸のタタキに一番近いところに「マクラ」という結びを設けるやり方。このマクラを設けることで、より強く締め込めるので、すっぽ抜けによるトラブルを軽減できるそうだ。
それでは、教えてもらった結び方の手順を見ていこう!
結び方の手順
ミソは最後にタタキの手前で余った糸のみを軸に1回巻き付ける「マクラ」を作ってあげること。これで格段に締め込みが強くなり、すっぽ抜けにくい。とくに、ハリの軸が細く糸が太いなど、ハリと糸のバランスが悪いときに有効だそうだ。
ぜひ基本の結びとして覚えておこう!
【枝を出す結び】枝が上向きに出せる!
手軽さ重視の8の字枝結び
次に、仕掛作りの際、幹糸から枝(エダス)を出すときに使う結び方を紹介しよう。
枝を出す方法(結び)はさまざまあるが、何よりも手軽でカンタン、そして手早い。そんな結び方を田中さんが教えてくれた。
その結び方とは「8の字枝結び」。「……ん? 8の字(枝)結び? そんなのカンタンじゃん」と侮(あなど)ることなかれ。仕掛において枝は、うまくエサを魚にアピールし食いつかせる役割がある重要な部分。とはいえ、枝の向きや長さによっては仕掛が絡むなどのトラブルを引き起こしてしまう、厄介なパーツでもある。
枝は適切な長さを上向きに出すことで仕掛が絡みづらくなり、エサ付けしたあとエサの重みで下がったとしても、横(水平方向)に開いてくれればひじょうにバランスがよい。田中さんいわく、「この結び方であれば枝を間違いなく上向きに出せますし、何よりカンタン! 現場での仕掛の修復も楽なんです」とのこと。
では早速、こちらの結び方の手順も見ていこう!
結び方の手順
こちらもミソは最後にハーフヒッチで枝糸を幹糸に結ぶこと。こうすることで枝が幹糸からすっぽ抜けるのを防ぐことができる。もしハーフヒッチが緩むのを嫌うのであれば、エンド結び(ハーフヒッチで1回くぐらせるところを2回以上くぐらせる)でもよいそうだ。そのあたりはお好みで。
繰り返しになるが現場でもやりやすいので、「仕掛の枝が1本切れてしまった…」際の修復や、ルアー釣りのリーダー部分に枝を出して「ジギングサビキ」にしてしまうなど、覚えておけばいろいろな応用も可能となるだろう。
といったわけで今回はココまで。釣りに詳しいエキスパートなら「な~んだ」な知識かもしれないが、釣りを快適に、スムーズに楽しむための知識としてお役に立てれば幸いだ。
仕掛のスペシャリストとして日々開発に携わるなかで、きっとアングラーのタメになるアイデアがいろいろとあるはず! そんな目から鱗なプチ知識を発掘し、今後もお届けしていこう。