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長年釣りをしていると当たり前のことでも、釣りを始めて間もない人にとっては「目から鱗!」「そうだったのか!」という、ちょっとしたノウハウをお届けするのがこのコーナー。釣果に直接かかわることではないけれど、アナタの釣りが快適になるかもしれない!? ほんのちょっとの工夫とアイデア。
今回は釣りの二刀流、すなわち欲張りにいろいろ魚をねらう方法をご紹介。目的の魚だけ、決まった釣りかただけを追い求めるのもよいけれど、せっかく釣りに行くなら「いろいろ楽しんじゃう」「あれもこれも楽しめるほうがいいいんじゃない?」ということで、夏から秋の海釣りサイドメニューの味わい方のヒントを少しばかり。チャンスを逃さないための賢く素早い対処法。
その昔、波止釣りでは
二刀流が普通だったという話
一時期、沖磯に渡って青物をねらうルアーマンの多くが、こぞってイシダイ釣りを始めたことがあった。ご存じの通りイシダイ釣りはエサ釣りである。ウニやヤドカリ、サザエなどをエサにワイヤー仕掛を海底や磯の壁際にはわせてねらう釣り。青物のルアーフィッシングとはタックルも違うし、釣りのアプローチもまるで別ものなのに「ナゼ?」と思って、あるルアーマンにたずねてみたら「磯で青物をねらう場合もイシダイをねらう場合も当て潮(沖から自分の正面に向かって寄せてくる潮)がベストだから」という答えが返ってきた。
つまり青物の反応を探りつつ、イシダイ用のタックルは竿受けにあずけた二刀流で豪快な釣りを2倍満喫するという、よい意味で欲張った楽しみ方だったのだ。
いわば釣りのメインディッシュにプラスしてサイドメニューも楽しもうということなのだ。いま流行り? の二刀流というほどではないけれど、目的の魚だけ、こだわりの釣りかた一本槍もよろしいが、せっかくの休日いろいろ楽しんでも損はない。
そういえば僕らが子どものころ、波止で釣りをする際はチョイ投げ仕掛を置き竿にして、その脇でウキ釣りなどをすることが多かった。というより、それが普通だったのだ。釣りが専門化、先鋭化するにつれ、いつしか釣りの楽しみ方の一面を置き去りにしてきたような気がする。
ただし周囲の人に迷惑をかけないことが前提。1人で多くの竿を並べポイントを独占したり、置き竿で仕掛を放ったらかしにするのは御法度。節度を持ちマナーを守って大いにサイドメニューを楽しみたい。そこで最小限のタックル、できれば本命と共通のタックル使用でサイドメニューをゲットするためのノウハウを、ほんの少し紹介しよう。
たとえばサビキやノマセ釣り
プラス仕掛でターゲット倍増!
まずは手軽なサビキ釣りでもアジやイワシ以外の魚を同時にねらえる方法がある。サビキ仕掛の最下部、マキエカゴを付けるスナップ部分から10~20cmのハリスにハリ(チヌバリ1~2号ぐらい)を1本プラス。これにオキアミや虫エサをセットしておけばアミエビのマキエに寄ってきたメバル、ガシラ、ベラ、小グレなどがよく釣れる。
青物ねらいのノマセ釣りではエサの生きアジの後頭部ばかりをかじられることがよくある。これはアオリイカの仕業だ。コイツは釣りのサイドメニューのなかでも格別の存在。何とかお土産に確保したいけど、ノマセ仕掛のハリにアオリイカが掛かることは、そう多くない。
そこでノマセ仕掛にアオリイカ用の掛けバリをプラスする。市販品でもよいしアユ友釣り用のイカリバリをノマセ用のハリのチモトにセットする。ハリサイズは8号ぐらい、ハリスは2~3号がよいだろう。もし自分でイカリバリを作れるなら6~8本イカリと、餌木のカンナのようにハリ数を多くすることでアオリイカに対しての死角が少なくなる。
ただ警戒心が強いアオリイカはイカリバリをセットした途端にエサのアジに近寄ってこなくなることも多いので、状況をみて着脱するほうがよいだろう。逆に青物はエサのアジが元気ならイカリバリが付いていようが付いていまいが気にせず丸飲みする。問題はイカリバリだけが青物に掛かった場合。たとえば引きが強く重量があるメジロクラス以上の良型だと、イカリのハリスが切られたりイカリからハリスが抜けてしまうことがあるので要注意。その意味ではアオリイカの気配がないときはイカリを外したほうがよいだろう。
たとえばジギングサビキ
磯裏の海溝や防波堤際をねらってみよう!
夏~秋は波止や磯からメタルジグなどのルアーで小型回遊魚がねらえる楽しい時期。そんなときに活躍するのがメタルジグのリーダー部分にサビキ仕掛を使用するジギングサビキだが、沖からいくら引いてきても青物の反応がないこともある。そんなときにジギングサビキそのままでねらい場を変えると思わぬお土産にありつけることがある。
たとえば磯の裏側の溝になった部分にジギングサビキを落として上下に誘うと「ガシラ(カサゴ)が鈴なり!」ということもある。普段の磯釣りでは誰もねらわない場所なのでガシラなど根魚がごっそり残っていることがあるのだ。防波堤でも際ギリギリを探ってみる価値があるだろう。ガシラはとくに夏場が旬で活性もマックスだ。
たとえば早朝や突然の青物ボイル!
磯竿でルアーを引いてもかまわない
夏から秋、タチウオの夜釣りで日暮れ前の明るい時間帯に同じタックルでサゴシやハマチなど青物をねらえるのは誰もが知るところだろう。ルアーはタチウオ用のワームでもよいし飛距離が出るメタルジグなら、より遠く深くをねらうことができる。このように時間帯による二刀流も楽しみかたのひとつ。
磯のグレ釣りで朝イチだけルアーでヒラスズキや青物をねらう人もいる。ルアー用のタックルを別に準備するのがベターだが、グレを釣る磯竿でルアーを引いてもかまわない。早朝の時合いだけ数投し反応がなければすぐに本来のグレ釣りを開始すればよい。
かと思えば日中に突然、ハマチやシイラなど青物が回遊しボイルに遭遇することがある。こんなときもルアー(磯竿なら軽めのメタルジグやミノーなど)さえ持っていれば、同じタックルにルアーを結び変え即座にキャストできる。ウキもそのまま、ハリも切らずにルアーをセットしてもかまわない。一瞬のボイルを逃さないためには素早さと手際のよさが何より大切だ。
以上、レポーターが見たり聞いたり体験したものを紹介したが楽しみかたは人ぞれぞれ、まだまだオイシイ工夫があるに違いない。周囲に迷惑をかけない範囲で、安全第一! 決して無理しないレベルで、フルコースフィッシングを楽しんじゃおう!