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HEAT読者のみなさんこんにちは! 前回の記事「旅と釣りを楽しむ豆知識 No.1」では旅には欠かせないアイテムであるパックロッドの持ち運び方と収納方法についてお話をさせていただきました。
今回は釣り場に着いてパックロッドを組むときの注意点や釣りが終わったあとにロッドをバラすときのコツ、使用時に気をつけることなど、意外と詳しく説明されることが少ない基本的なHow to を紹介したいと思います。”そもそもパックロッドとはなんぞや?”という方は、ぜひ前回の記事もお読みいただけると幸いです。
パックロッドを組み立てる
組むのはティップ(竿先)から
釣り場に到着したときや準備の際に前もってロッドを組んでいくときは、基本的にロッドはティップ側から差し込んでいきます。
理由としては、長いロッドを手前のリールシート側から組み立ててしまうと、各ピースを差し込んでいくうちに手元からどんどん離れていってしまうこととなり、組みづらいから…。また、ティップから差し込んだ方がガイドリングが真っ直ぐそろっているかどうかの確認をその都度しやすい…。などが挙げられます。
ジョイント部分はしっかりと差し込む
パックロッドの継ぎ目には印籠継ぎ(いんろうつぎ)、並継ぎ(なみつぎ)、逆並継ぎ(ぎゃくなみつぎ)などいくつかのタイプがありますが、その種類に限らず継ぎ目は余りがでないようにしっかりと差し込みます。力加減は回数を重ねるうちに分かってくると思いますが、以前ユーザーさんで「あまり深く差し込みすぎると抜けなくなるが怖いからほどほどにしている」という方がいて驚いたことがありました。もちろん限度はありますが、継ぎ目をしっかりと差し込まないと、実際に釣りをしているときにロッド本来の曲がりやパワーを発揮できなかったり、最悪の場合それが理由で破損するリスクも高まります。継ぎ目が緩んだまま思い切りロッドを曲げたり重いものをキャストすると十中八九そこから折れてしまうでしょう。
パックロッドで釣りをする
ロッドの曲がりを意識する
さて、次は実際に釣りをする際の注意点です。まず最初に理解していただきたいのがパックロッドの性質と正しいロッドの曲げ方について。
釣竿は基本的に手前方向(自分側)に対して90度以上強く力をかけられることを想定されていないことがほとんです。また、仮に円を描けるようにしなやかに曲がる竿であっても、そのように曲げて魚と対峙することを考えて作りません。なので、基本的にロッドを思い切り曲げる角度は90度以下を意識しましょう。
とくに注意してほしいのは魚を抜きあげるときなどにロッドを立てすぎないこと。仮にロッドのスペックに対して多少オーバーしているウェイトであっても、手元のバット部分を平行に保ちロッドを90度以上曲げずに抜きあげれば、ラインが切れてしまうことはあってもロッドがかんたんに折れることはありません。
ひらがなの「し」を逆さまにしたような竿の使い方は小型の魚、もしくはどれぐらいの重さの魚なら平気かを理解したうえで行う必要があります。誰でもできるスタンダードなテクニックではないと思って間違いはありません。パックロッドに限らず「竿を使い込む=曲がり方や各セクション(ティップ・ベリー・バット)の役割を理解する」ことはどんな釣りにも活かせる経験だと思いますので、普段使っている竿を今一度見直してみたり、新しく購入する際もしっかりと曲げて検討してみてください。
継ぎ目のチェックで破損を防ぐ
少し話が逸れてしまいましたが、次は釣りをしているときにはある意味常に癖づけてほしい「継ぎ目のチェック」についてです。
パックロッドは1ピース(継ぎ目のない竿)や2ピース(真ん中で2本に別れる竿)に比べて継ぎ目が多いというその構造上、キャスト時やルアーのアクションを加えた際にその継ぎ目が緩み易いという性質があります。緩み易いというよりも、緩んだときのリスクが高い。緩む場所が多いと考えてもいいかもしれません。どんなときにどのように継ぎ目が緩んでしまうかは使い方次第なところもあり断言はできませんが、ときどきキャスト前に各セクションの継ぎ目を触ってあげるだけで破損のリスクを大幅に軽減することができます。
僕の知る限りロッドが折れてしまったという話はキャスト時、フッキング時、ランディング時に集中しています。そしてその多くは無理な角度まで曲げた場合と、継ぎ目が緩んでいたケース。あまり神経質になる必要はありませんが、ときどき継ぎ目が緩んでいないかどうか、ガイドリングが真っ直ぐかどうかを確認してみてください。これは天才ロッドデザイナーでもスーパー釣りウマでもない僕自身の経験からのアドバイスなので、きっとリアルな情報なはず(笑)。
パックロッドを分解する
抜くのもティップ側から
パックロッドを組み立てるときもティップ側からでしたが、ロッドをバラしていく(継ぎ目を抜いていく)ときもティップ側から行います。
実際に、最初にグリップ部分から残りのロッドを抜いたときにティップが天井に当たって折れてしまったということがありました。これはフィールドでも思いも寄らない場所にティップをぶつけたり、自分の意識が集中しているのが手元なためにティップ部分への注意が疎かになり人に当たったりというリスクもあるので、必ずティップ側から抜いていくようにしましょう。
ロッドが抜けにくいとき
組み立てるときの注意点でも書きましたが、ロッドが抜けなくなってしまうことは確かに怖いですよね(笑)。そんなときのために継ぎ目を抜くコツをご紹介します。
1つ目はロッドベルトやネオプレングローブなどの滑り止めとなるものを使用してしっかりとロッドを握る方法。一般的な方法ですが、この際にガイド部分を巻き込んだり握って捻るように抜くのは避けてください。ガイドが曲がったり折れてしまうだけでなく、手を傷つけてしまうことがあります。
2つ目は下の写真のように膝の後ろ側で脚の力を利用する方法。膝の外側から腕を回してロッドの両端を握り、そして手はしっかりと竿を握ることを意識して、膝を広げることでロッドを抜く動作を行うのです。ほとんどの場合、この方法で無事にロッドを抜いてきました。
しかしそれでもダメなときは、同行者に反対側を持ってもらい「せ~の……」で抜く方法もありますが、コレは阿吽の呼吸が必要というか説明がしづらいのでオススメはしません。本当に抜けないときは無理をせずメーカーや釣具屋さんに相談しましょう。僕はロッドの抜き差しは指輪のようなものと考えていて、よっぽど無茶な力で差し込まない限り「差したロッドは抜ける」と思っています。焦らず落ち着いて上記の方法を試してみてください。
参考になりましたでしょうか? 僕にとってパックロッドは遠征や旅専用のものではなく、普段からいつも使用しているいわば商売道具。しかもここ数年は、たくさんのメーカーからもさまざまな用途や特徴を持ったパックロッドがリリースされています。この記事が少しでも役に立ち、1人でも多くの釣り人がパックロッドを好きなって「旅と釣り」を楽しんでもらえたら何よりです。
レポーターREPORTER
栃木県在住。国内のトラウトフィッシングから海外の釣りまで、人生を豊かにするライフスタイルとしての釣りを日々模索し発信しているフィッシングピーターパン。PIKE STREET MARKETディレクター。ひと×コト×Sakana栃木PRアンバサダー。
サポートメーカー:Huerco、BIGFISH1983、Rマジックテスター。VARIVASフィールドモニター、Patagoniaプロセールスプログラム。
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