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ある程度渓流釣りやトラウトフィッシングをやりこんだ人にとっても、「源流野営釣行」という言葉には特別な響きがあるのではないでしょうか? アーバンフィッシングが大好きな僕ですが、もちろん釣りキャンも大好き。
今回は、利根川の源流エリアで大イワナを求めてキャンプをしたときの様子をレポートしたいと思います。
日本三大河川・利根川の源流エリア
利根川は豊富な水量と全長を誇り、日本三大河川にも数えられる素晴らしいフィールドです。群馬県みなかみエリアに始まり、そこから埼玉県、千葉県、茨城県と川は流れ、その姿を渓流から大河川へと姿を変えながら太平洋に注ぎます。冬の間は深い雪に閉ざされた利根源流エリアも、初夏を目前にようやく足を踏み入れることができます。車止めから歩くこと約3時間、山に囲まれた美しい水辺が今回のキャンプ地です。
それぞれテントと1泊分の食料や道具を背負い、ここまでの道のりを歩くだけでも相当なもの。しかし人里を離れ、さらに釣り人のプレッシャーのかからない場所を求めて歩き続けられるのは、その先に待っている「楽園」を夢見ているからでしょう。当然、釣果は約束されたものではありませんが、不思議と釣り場に向かっている間は釣れる気しかしないものなのです(笑)。
ねらうはネイティブの大イワナ
岩魚(イワナ)という魚はその名の通り、岩のゴロゴロとした渓流や山上湖などに多く生息する日本のネイティブトラウト。基本的にどの川も、標高が高くなりいくつかの堰や滝を越えると、ほぼイワナしかいなくなります。水やエサの量もごく限られ、そんな厳しい環境でも生き抜き子孫を残していくことができる魚はそう多くありません。言い換えれば、繊細なイメージの渓流魚であると同時に、イワナはひじょうに生命力が強く、口に入るものなら何でも食べてしまうような獰猛(どうもう)な一面を持つ魚です。
ちなみに利根川水系にもともと生息しているイワナはニッコウイワナという種類で、北海道や東北に棲むアメマス(エゾイワナ)とは異なる魚です。場所によっては関東でもアメマス系のイワナが放流されていることもありますが、人の手の届かない最奥の地で生き続けるニッコウイワナ。その美しさ、サイズ、コンディション、どれをとっても、他を圧倒する魚なのです。
無垢な自然を満喫できる野営の魅力
キャンプ地に着いてリュックを下ろした瞬間、もしかしたら飛べるんじゃないかと思うぐらいの開放感。そのまま昼寝をするか、もしくは釣り場へと飛び出したくなりますが、まずは暗くなってしまう前にテントを張ります。分担を決めて沢へ水を汲みに行ったり、晩御飯の下ごしらえなど、釣りをスタートする前に結構やることが多かったりするのです。
それにキャンプ場と違いテントの張りやすい整地された場所でもありませんし、普段以上に気をつけなければならないことも多い野営キャンプですが、より近くに、肌で自然を感じられる体験はひじょうに贅沢なもの。今回はソロキャンやアウトドアにとくに精通しているトミーさんがメンバーにいたので、携帯食やカップ麺に頼りがちな釣りキャンがとても充実していました(笑)。
とにかく足で稼ぐ魚探し
初日はエリアも絞りきれないので、それぞれがランガンを繰り返して魚影の濃いエリアを探していきます。川筋のエリアから、それが流れ込む湖まで、これも結局足で稼ぐ展開。しかしこんなに歩く釣りもそうそうありません。普段から中禅寺湖や渓流でも山歩きをしますが、この釣行は桁違い。それもそのはずで、今回この秘境を案内してくれているのは福山さん。
僕も愛用させてもらっているフィッシングアパレルブランド「TONED TROUT」のクリエイティブディレクター・デザイナーである福山さんは、元プロスノーボーダーであり冬は雪山を、夏は釣りで常に全国のトラウトのフィールドを開拓し続ける人。まさに、修行僧という言葉がしっくりくるストイックな釣り人なのです。
時々お互いのホームでセッションをしたり、一緒に遠征をしたりと日頃から刺激をもらう存在なのですが、とにかく身軽でとにかく歩くんです! いつも必死に付いて行くのがやっと(笑)。
そんな感じでいろいろなポイントやレンジを試すと少しずつ反応が出始め、念願のファーストフィッシュは大好きなスライドスプーンでした。
他のメンバーもプラグやスプーンそれぞれのスタイルで魚を触り、なんとなく「明日はここから始めてみようか?」と、反応の多いパターンやエリアが見えてきた感じで初日は終了。流れのある場所よりも湖側の方がどうやら反応がよさそう。キャンプ地にも近いし嬉しい。