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釣りの楽しみ方は十人十色です。本格的に釣りに没頭するのは何より楽しく、専門の道具をそろえてやり込んでいくのが釣りの楽しみの一つなのは間違いありません。同様に釣りをやり込むために、僕自身もホームを持つということは、自分の釣りを成長させるのには不可欠と考えています。しかしアーバンスタイルはそんなスタイルに比べるとちょっと肩の力を抜いて、「釣果だけでなく釣りという時間自体を楽しむ」という要素があると思っています。ちょっと聞こえがよすぎるのでは? と思われるかもしれませんが、もしもそれができるなら贅沢だと思うのです。
これまで日本国内・海外を問わずに、実釣レポートを中心にアーバンなスタイルの釣りを紹介してきましたが、そもそも「アーバンフィッシング」とは一体どんなものなのか、そしてそれに必要なギアなどを改めて紹介させていただきたいと思います。
アーバンフィッシング=意外性を楽しむ釣り
街の中で釣りをすれば、それだけで十分アーバンフィッシングと呼べるでしょう。難しい定義は全くありません。ビルの合間を流れる川であったり、住宅に囲まれた池など、人が生活する場所に近い水辺での釣りのほとんどがアーバンフィッシングになると思います。到底こんなところに魚はいないだろうな? と思う細い用水路であったり、正直あまり綺麗とは呼べない川にも、何かしらの生き物や魚が暮らしていることがあります。そんな魚と出会うのが、僕はこの釣りの一番の魅力である「意外性」だと思っています。「こんなところでこんな魚が釣れた!」という感動は、小さいころに新しい釣り場や遊び場を見つけた喜びとよく似ています。
仮に三面護岸されたような場所であっても、われわれが驚くほど水の中には自然が残っていたりもしますし、時にその相手はもともとそこにいた生物ではなく、人によって持ち込まれた外来種と呼ばれる生物の場合もあるでしょう。この釣りの意外性は、これまで目を向けていなかった部分に目を向けるという意味でも、そこからいろいろな考えを巡らすきっかけをくれたりもします。
今後もっと地方都市を巡ってみたりすることも考えているので、アーバン=都会でなく、人里な感覚で捉えてもらえると嬉しいです。最近の「映え」を狙うなら、背景にいかにもな建物や街並みが写ってくれると尚いいですけど(笑)。
アーバンな釣りの基本ギア
さて、アーバンフィッシングの強みが何よりもその「気軽さ」です。ものものしく遠征に行くのとは違い、基本的にギアは最小限。旅行や出張などでどこか知らない街に行くようなときでも、パッと持って行ってしまえるぐらいが理想的。僕はルアー釣りが基本のスタイルにはなりますが、これがエサ釣りでもフライフィッシングでも同じことで、最小限のタックル、限られた時間や場所のなかで、「そのときのベストを尽くして釣りを楽しむ」感覚。
意外にも、この釣りを繰り返すことが、さまざまな場所やシチェーションで自分なりの引き出しを増やすのにも一役買っていると思っています。
そろえる道具が少なくてすむので、ビギナーやこれから釣りを始めたい人にもぴったりだと思います。釣りと聞くと何時間も車を走らせるだとか、「ずーっと魚来るの待ってるんでしょ?」とか、「朝めちゃくちゃ早く起きるんでしょ?」とか、まあ全部本当のことなのを認めざるを得ませんが、こんな気軽な入り口もあるんですよ、と。
釣り+α の考え
「釣果だけでなく釣りという時間自体を楽しむ」とは言っても。その楽しみ方は釣りと同じで十人十色。僕の場合はまず食べるのが大好きなので、訪れた場所でしか食べられない物には目がありませんし、釣り場の近くにカフェを見つけた時も、ほぼほぼ入ってしまうぐらいコーヒー好きでもあります。
普段の釣りではお湯を沸かしてその場でコーヒーを淹れるなんてこともよくありますが、ライトな装備で街を歩くときはちょっと贅沢してしまいます。大自然の中でコーヒーを飲むという響もとても贅沢で美味しいですが、やっぱりカフェに入って、一休みしながら誰かに淹れてもらうコーヒーを飲むのが一番美味しかったり…。
食べ物以外にも、趣味の写真であったりハイキングなどを楽しみながら、ときどきテンカラ竿を出して釣り糸を垂れる、なんて知り合いもいます。地元の友人や釣り仲間と久しぶりに会うときも、結局メインはおしゃべりなんだけど、ついでで釣りをすることもしばしば。そんなときもアーバンな釣りならコンビニや自販機も見つかりやすいですし、そんな時間のなかでは釣果は二の次なんです。
それと大きな街になればなるほど、釣り人を悩ますのが駐車場問題。パーキングの値段も嵩みますし、何より空いてないなんてことも多いのですが、そんなときでもこのスタイルなら電車や地下鉄を駆使してストレスフリーに移動ができます。行ってはみたものの、立入禁止や釣り禁止の立て看板があった…というケースもあるかもしれません。僕の経験上はあまりありませんが、そんなときこそ何か美味しいものでも見つけて楽しむぐらいの気概を見せてやりましょう(笑)。
魚種に縛られない楽しさ
ある程度の目星をつけていくにせよ、何が釣れるかはっきりとは分からないことも多い釣りというのは、これはこれで結構ワクワクするものです。これは先に書いた意外性にも繋がってきますが、通い馴れたフィールドであっても、それまで投げなかったルアーを投げてみたら、そこでは見たこともない魚が釣れることだってあるでしょう。
当然釣りをしない人に比べれば水辺スペシャリストなわれわれ釣り人でさえ、そんな驚くような機会が身近に隠れていたりするのも面白いのです。特に夕方や夜になると、それまで身を隠していたエビや小動物も活発になり、懐中電灯を持って歩くだけでも楽しかったりします。
いわゆる「ガチ」な釣りではいとはいえ、適当にやってしまうという訳でもない。装備が軽くなった分、肩の力もひとつ抜けた感じで遊んでみてください。何かを突き詰めたときにしか見えないもの、一歩下がらないと見えないもの、両極端ともいえるその両方の視点が、より一層釣りを深く楽しめる趣味にしてくれるのではないでしょうか。
先ほど少しだけ「外来種」という言葉に触れましたが、アーバンフィッシングを楽しむなかで避けては通れないものだったりします。ブラックバス、コイ、ニジマスなど、人によって放たれた魚たちが人里近い水辺に暮らすのは自然なことなのかもしれません。そんな魚たちに出会う機会に恵まれた釣り人は、「考える」という大きなチャンスを与えられたと僕は考えます。普通に暮らしていては気づかないことにもいち早く目を向けられるのが釣り人です。どんな物事でも答えを見つけるのはカンタンではありませんが、考えることが釣りをもっと深め、ひいては私たちの釣り場を守っていくことに繋がるのではないでしょうか。
座学編ということで、普段よりも少しだけ真面目に(?)書かせいただきましたがいかがでしたでしょうか? 次回は秋らしく。基本に立ち返り&以前のリベンジを兼ねて、都市型シーバスなど狙ってみようかなと思います。
レポーターREPORTER
栃木県在住。国内のトラウトフィッシングから海外の釣りまで、人生を豊かにするライフスタイルとしての釣りを日々模索し発信しているフィッシングピーターパン。PIKE STREET MARKETディレクター。ひと×コト×Sakana栃木PRアンバサダー。
サポートメーカー:Huerco、BIGFISH1983、Rマジックテスター。VARIVASフィールドモニター、Patagoniaプロセールスプログラム。
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