(※2018年1月25日に公開された記事に、必要な文言等を追記、その他の部分も修正して2022年1月28日に再公開したものです)
突然だが、みなさんは魚を釣り上げたとき、クーラーボックスに入れるとき、調理するとき、写真を撮るときなど、魚を目にするときに、どのような角度から見ることが多いだろうか?
普段何も気にしなければ、比較的横向きで、とりわけ真横の角度から見ていることが多いのではないだろうか。しかもその際の向きは「左向き(左頭)」がほとんどだと思われる。
※カレイ類だけは右頭ですね(笑)
一般的に魚であれ、人物の顔であれ、自動車であれ、横から見たときには「左向き(左頭)」で見ていることが多い。ナゼなのかは諸説あり、利き手の問題や日本の文化的背景が影響しているようだ。
たとえば、右利きの人が多いこの世の中、右手で絵を描こうとすれば左向きに描いた方が断然描きやすい。同様に、日本語は縦書きの文章が多いのだが、右から左へと文章が流れるなかで、挿し絵を入れる場合、絵の向きを左に向けたほうが、流れに逆らわずにすむ。また、料理においても焼き魚を左頭でお皿に盛った方が、左(奥:頭側)から右(手前:尻尾側)にかけて高低がつき美しいとされている。このような文化的背景がおそらく影響しており、日本人においては「左向き(左頭)」が心理的にも落ち着くのだといわれている。(※海外では別だそうです)
そんなわけで、日ごろから身近にそして頻繁に見ている魚は、左向きの姿であることが多い。私自身、撮影した魚写真の大半は「左を向いた横からの姿」が多く、なかなかほかの角度から魚を見ることは少ないように感じる。
しかしそれでも、多く魚と接するなかで、時折「おっ!」という男前な姿や、釣りたてならではの新鮮で輝いた姿に遭遇することがある。言葉で伝えるにはなかなか難しく、伝えようにも、おそらく言葉足らずになってしまいそうでもどかしいのだが、魚類という私たちヒューマンとは圧倒的に異なる形と質感がゆえ、慣れない角度からの姿を目にすると、その迫力や面白さ、斬新さに目を奪われることがあるのだ。
長年、釣りが趣味であり仕事である私としては、「釣りをよく見せたい」「よい印象を持ってほしい」「カッコよく見られたい」という思いは強い。当然、お仲間同然の魚に対しても、釣りと同じようによく見られたい(=見せたい)。その意味で、(魚には)やや押し付けがましいものの、魚がカッコよく見える角度の発見は、一つの楽しみであり、模索や探求であり、自己満足というわけだ。
さて、メーカーの立場として考えた場合、たとえば自動車や家電、衣服といった売り物として扱う商品は、どのメーカーも美しく見える角度を模索し、工夫されている。当社パッケージ(主に釣りバリや仕掛、ルアー)も同様、世間の高額商品に比べ安価な商品で、しかも消耗品とはいえ、商品がよく見えるこだわりの角度や見せ方がある。また、パッケージに描かれている魚のイラストも躍動感があり、イラストレーターさんや携わる担当のこだわりが強くうかがえる。よい印象をお客様に与えることは、商品を購入した際のワクワク感を助長し、商品を使用した際の満足や問題解決を想像させる。そうすることで、商品を手にとっていただくことに繋がるため、商品を美しく見せることには手が抜けないのだ。
それと同じ感覚、考え方で、広告担当である私が見え方にこだわるのは当然のこと。少しでも釣りの魅力が伝わるように、そして少しでも魚の魅力を伝えるべく、「見せ方≒角度」にこだわり、工夫することは大切なのだと考えている。
カッコいい魚の角度 参考例
さて、私が過去に「ビビッ」ときた、魚がカッコよく見える角度を幾つかご紹介したい。偉そうな話を前半に語ったものの、実はそうたいした話でもないことを先にお詫びしつつ、「そんなふうに魚を見ると面白いよね!」くらい、軽く読んでいただければ幸いだ。自分なりに想像を膨らませていただきたい。
斜め前(上)から
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左右どちらでも構わないのだが、若干どちらかに頭を振って、斜め上から寄ってみた角度。
顔つきが大胆にハッキリと見え、比較的頭や口の大きな魚はその大きさが誇張され、迫力が増す。
しかし一方で、奥に向かって尻尾が極端に小さく見えるため、その比較が面白い。やや風変わりな顔つきの魚は、より不細工でファニーに見え、愛嬌が出る気がする。
斜め上 真正面から
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左右対称のレイアウトで安定感があり、まるで自動車やバイクのように整然とした高級感と、奥行きが生み出す迫力の両方を感じる。左右に身幅のある魚(マゴチやホウボウ)や青物など綺麗な流線型ラインをした魚にむいている角度である気がする。
斜め前(下)から
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普段魚を見上げることはほとんどないのではないだろうか? なかなか見ることのない顎(あご)のラインやエラブタの開閉が間近に見えて面白い。しかも、空をバックに遠くを見つめる姿となり、眼差しがすまし顔でクール。
また、カサゴやブラックバスなどの口が大きな魚だと、鯉のぼりのように見え、青物だと空を悠々と飛ぶ飛行船のようにも見えてカッコいい。
斜め後ろから
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流線型で細長い魚や砲弾型の魚は、魚体のラインがよく見え、まるで疾走するF1マシンやジェット機のようにスピードを感じさせる角度。(そう思いませんか?)
タチウオのように長すぎる魚は、魚とは思えない画となり面白いかも。
部位の寄り
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とにかく魚体に寄ってみる。カメラの詳しい方ならマクロレンズやマクロモードで撮影されることだろう。ウロコの連続や海水で濡れた体表のテカリが、私たちヒューマンとは全く異なる独特な質感。どこか異質でありながら、作為的に作られた機械や造形物にも見え、不思議な感覚だ。
※本文は都合により脚色を交えております。ご了承下さい。