From HEAT the WEB DIRECTOR 女性の進出と隼華プロジェクト 事務局の実は・・・【前編】

隼華プロジェクト事務局の実は_text-photo岳原雅浩

よく雑誌やその他メディアで取り上げられる話に、釣り人口やその統計の話がある。私も業界で働く者として、日頃から意識させられることが多いが、今回はそれらを踏まえたお話をさせていただこう。

総務省の統計データによると、日本の総人口は約1億2,700万人と言われている(平成29年1月1日現在の既算値)。その中で男女の比率は、男性が約6,200万人(49%)、女性が約6,500万人(51%)と、やや女性が上回るという結果だそうだ。
一方、「レジャー白書」なる、余暇関連分野における需要・市場動向など、余暇の動向を総合的に把握できる資料があるのだが、この「レジャー白書」によると、2015年の釣り人口は約750万人と言われている。日本の総人口からすると、約5.9%の方、言い換えるとおよそ16~17人に1人の割合の方が、何らかの形で釣りという趣味に触れているということになる。実際にどれくらいの方が“釣り人”として世にいらっしゃるかは分からないが、なんとなく私も体感的にこの統計上の数値は納得がいくレベルだと感じている。

さて、もう少し深く掘下げてみよう。
毎年開催されるフィッシングショー会場に来場される女性のお客様は、ここ数年の事務局からの発表をみると、来場者の約20~25%が女性客とのこと。釣り人口にこの比率を当てはめてみると、約150~190万人弱の女性アングラーが存在することとなる。しかし、おそらくフィッシングショー会場に来られているお客様は、釣りを趣味としてかなり熱心な方が多いため、女性の占める割合が多く出ていると思われる。
レジャー白書ではライトに釣りと触れている方も含まれていると想像できるため、それを加味すると女性アングラーの人口はかなり少なくなるだろう。普段取材やプライベートで訪れる釣り場の光景を思い出すと、これまた私の体感で恐縮だが、釣り人口の8~10%(釣り人10~12人に1人)といったところではないだろうか。

隼華

釣り人口と女性アングラーの先のような現状は、何も釣りに限ったことではない。特に女性だけが楽しむ趣味でなければ、大よそ女性の参加率は低いと思われる。
そのような中、当社では2年前から「隼華-HAYAKA-(ハヤカ)」というプロジェクトをスタートさせた。減少する釣り人口の中で更に少ない女性アングラー。しかし、趣味として釣りを楽しんで下さっている元気な方々。そんな女性アングラーを応援し、一緒に釣りの楽しさを共有して行こうというスタンスのもとスタートした「隼華」プロジェクト。
既に多くの“可憐”で“元気”なメンバーにご協力をいただき、イベントや取材でその華やかな活動を目にされている方も多いと思うが、さて一方で「事務局の思いとは…?」と、急に気になってしまった。プロジェクト立上げから今後の展望まで、今回少しだけ事務局担当に話を聞いてみた。

隼華HAYAKAプロジェクト

2年前の立上げに際して、我々社員は正直このようなプロジェクトが立ち上がるとは夢にも思っていなかった。「釣りガール」という言葉がやや流行し、にわかに女性が増えつつある現状は知っていたものの、依然釣りをやり込んだ男性ばかりの世界を目の前にしていたため、どこか遠くの世界のものとして現実感を持っていなかった。
しかしよくよく考えると、当社の社長は女性である。企業を牽引するトップが女性へのアプローチを放っておくはずがない。こうして「隼華-HAYAKA-」プロジェクトは当社にとっては必然なものとしてスタートしたのである。

しかしである、このようなプロジェクトを過去に運営したこともなく、そのノウハウも分からない(新米)事務局担当にとってはなかなかの苦労があったようだ。

資料

まず早速、WEBサイトとフィッシングショー会場でのビラ配りという形で募集を開始したところ、予想以上に多くのご応募を頂戴した(ありがたいお話です…)。
ところが、年齢層・釣りの経験値・釣りジャンル・趣味・特技等、幅広く多種多様の応募者を写真とプロフィールだけで選考しなければならないという、非常に難しい作業に直面してしまったのだ。企業の採用面接でもそうだが、「人を見る眼」という能力はなかなか高度な能力であり、そうそう養われるものではない。雑に扱えば双方にとってメリットは薄くなり、場合によっては非常に失礼な行為にもなる。
様々な角度から人物を見て悩み、皆さんの熱意と人柄を無下にする訳にはいかないと真剣に取り組んだ結果、選考にかなりの時間と労力を要し、半ば賭けのような気持ちで選考した部分もあったようだ。

釣り女性

一方、選考の難しさにも匹敵し、選考の基準にも深く関係する「プロジェクトそのものの企画」にも大いに悩んだ。
事務局の運営メンバーがほぼ男性で年齢もそこそこミドル、いわゆる「おじさん」たちであったため、女性の気持ちが全く分からない…。今後の運営の仕組みづくりや活動内容、イベント企画など「どうすれば女性の心に響くのか?」、また、「そもそも隼華プロジェクトって?」というテーマに至るまで本当に手探り状態で右往左往したようだ。
少々見切り発車でスタートしてしまった感は否めないが、腰の重い男性陣はお尻を叩かれながら、「隼華を多くの女性に知っていただくためにはどうすべきか…?」と悩みに悩んだ毎日であった。

さて、走りながら考えることを余儀なくされたこのプロジェクト目的をとらえ明確な着地点を見いだすことはできるのか…。次号では、晴れて1期メンバーが決定してからの歩みを紹介させていただきたい。

※本文は都合により脚色を交えております。ご了承下さい。