「ハヤブサとのはじまりは?」
まず、子供のころから、釣りは楽しんでいたんだけど、いろんな釣りの中でサビキ釣りは、僕が子供のころから盛んだったのね。サビキといえば、今も昔もハヤブサでしょ。だから、僕の中ではずっと、ハヤブサは輝いているブランドなの。ルアーフィッシングだけでなく、いろんな釣りをし続けてきた中で、それは変わらなかったんだよ。
あるとき、釣り友達でもある親友がハヤブサに入社することになって、彼が「良かったら、ハヤブサの製品を使ってみてくれないか」と。あれは、アメリカでトーナメントに出ている時、ちょうど「情熱大陸」に出たころだから15年ぐらい前?(注:1999年放映)
そのころ、ラバージグやワームフックでいいものがあったし、FINAブランドは出来たばかりのころとはいえ、スポンサードしてくれるという話はとても光栄だった。それに、バスの製品は、まだ完全に成熟はしていなかったから、面白いなと思ってさ。
自分で本当に釣れる、使えるものをFINAで展開できるチャンスだと考えたんだ。FINAにあるものを使って、それを宣伝するというよりは、自分で作り上げたもの、自分がこれまで得た経験から導いたタックルを世に出したいということでしたね。
「最初に手がけたFINA製品は?」
たしか…ワームフックのWRM951。
ワイドゲイブのオフセットフックなんだけど、当時はナローゲイブのものが多かった中に出したんだ。ゲイブが深くなっていて、まずはフッキングを重視して、それでいてワームを確実にセットできるZ軸クランクになってる。このクランク状によって、ワームはずれにくくなって、それにウィードなんかも拾いづらいようになってる。
ワームを保持するためのZ軸クランクなんだけど、この角度をきつめにして、凸部というか、山がワームの中に入っている状態、これでワームをロックしてる感じ。それにこのクランクからシャンクに至る距離を短くしているから、さらにずれに防止になってる。
このWRM951というワームフックが出たころ、ほとんどのオフセットワームフックのクランク角度は90度だったから、画期的だった。登場した時は、それまでにないタイプだったし、もう10年以上経つけど、いまだに人気のある、定番となったフックだよね。FINAの担当ともよく確認することなんだけど、長く使えるもの、スタンダードになるものを作ろうとしてる。
「Real Standard」
アイデアで言えば、年間で10とか20という数、「絵は描ける」んですよ。言ってしまえば、いくらでもある(笑)。
でも、それらをすべて、きっちりテストするとなると、無理なんだ。年間、10、20という製品をちゃんとしたものにして、いや違うなあ、本当のスタンダードになるものとしようとするのは難しい。だから、モノを絞って、優先順位の高いものを数アイテム煮詰めるのが、僕のやりかたで、それが正しいと思ってる。
あとフックって、1モデルあたりサイズが数種類あって、全サイズをそのサイズにあったレスポンスや強度テストをしようとすると、とても大変なんですよ。仮に開発側でたくさんのアイテムを作れたとしても、テストした結果をふまえて、完全なものを送り出したいから、やっぱり年間数アイテム。少ないと思う人もいるかもしれないけど、そのかわり、本当にしつこいぐらいテストしてるから、それは間違いなくイイですよ、胸を張ってイイですよ、と言えるよね。