知っておきたい!釣りのルールとマナー 【第7回】知っておきたい!安心・安全な釣り場の見分け方

HEATでは魚釣りを末永く楽しむために、また、魚釣りの社会的地位をより盤石にするため、「釣りのルールやマナー」に関して、日ごろから協力してくれているライターさん向けにアンケートを実施。その結果と貴重な意見をまとめ、今後の釣り人への指針となるようお伝えしていこうという当企画。
これまでこのコーナーでは「釣りルールとマナーの基本」から「海釣り」「淡水釣り」それぞれのルールとマナーについて6回にわたって紹介してきたが、今回はすべての釣りに共通する「安心・安全な釣り場の見分け方」についてお届けしよう。

「安心」は充分な下調べから

通い慣れた釣り場での釣りは、まず「安心」である。「安心して釣りができる」と言い換えてもよいだろう。しかし「いろいろな場所で釣ってみたい」と考えるのも釣りの楽しみでもある。釣りの腕前を上げるためにも、いろいろな釣り場で経験を積むことは欠かせないファクターだ。

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さまざまな釣り場にチャレンジすることは釣りの上達につながるはず……

初めての釣り場で竿を出すときはワクワクする。何年釣りをしていても、この心境は変わることがない。すべての釣り好きに共通することだろう。そこで「安全かつ安心な釣り場」を探す方法としてアンケートの回答に多かったのが以下の意見だ。

  • ●インターネットで調べる
  • ●ネットで検索した際、釣場情報などがしっかりと掲載された場所を選ぶ
  • ●知り合いと情報交換する
  • ●現地の釣具店などにたずねる
  • ●詳しい人(釣りメディア・メーカー・小売店などを含む)に確認する

フェイクニュースにも要注意

この回答でも分かるようにネット社会の現在を強く反映しているが、釣りの情報に限らずフェイクなものも含まれている可能性はなきにしもあらず…。なので、現地釣具店や信頼できる釣りメディア情報などで直接確認するのが安心だろう。

「現地事情」の把握も「安心」には欠かせない

安全に釣りができると分かっても、実際に現地で安心して釣りをするために、調べておきたいことも多い。アンケートの回答には以下のものが目立った。つまり「現地情報」つまり「現場事情」に勝るものはないということだ。

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釣りが認められた親水護岸などは安心だが、たとえば夜釣りでは、照明の有無など現場情報も「安心」に役立つ

海釣り(陸っぱり)では現地の釣具店、エサ店で確かめるのが常道だし、可能なら各自治体の関係機関で確認するのもいいだろう。

  • ●現地の釣具店やエサ店で安全に釣りができる場所を確認する
  • ●自治体(県や市町村)が認めている釣り場かどうか確認する

淡水釣りでは漁協などを頼ろう

川釣りなど淡水の釣りでも、現地情報は欠かせない。
昨今は、ネットで河川の水位の変化ライブカメラで川の状況をみることができるので、釣行前にチェックしておくのも便利だ。

  • ●漁業協同組合で安全かつ安心な釣り場情報を仕入れる
  • ●アユ釣りではオトリ屋さんで安全な釣り場や駐車場所を聞く
  • ●渓流釣りで慣れないうちは券売所で聞く
  • ●川の釣りでは国土交通省のサイト、川の防災情報を確認しておく

現場にある掲示物はかならずチェック

このような関係機関で確認が取れず現場に出た場合は、現場にある看板、掲示に注意し、その内容に従おう。
場所によっては、掲示がないにもかかわらず釣り禁止の場合もあるので要注意だ。

  • ●張り紙や看板で「釣り禁止」「立入禁止」とある場合は諦める
  • ●疑わしい場合は管轄の管理者に事前に確認する
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現場にある掲示物は見逃さないように

安心できる駐車スペースの有無も重要

釣りをする水辺だけでなく駐車スペースに問題がないかの確認も、安心して釣りをするうえで必要なことだ。地元の釣具店などであらかじめ確認し、過去に駐車トラブルがないかも聞いておこう。
釣り人のマナーが悪く、漁業関係者がよい感情を持っていないところなどは、車の置き方が悪いと、警察へ通報されることがあるので注意が必要だ。

  • ●駐車場所は事前に釣具店などで確認
  • ●トラブルが発生しやすい場所(その可能性がある場所)には止めない

釣りが可能な場所のなかにも危険は潜んでいる

さて釣りが可能な場所のなかにも危険なところがあるので注意が必要だ。たとえば一見、安全な防波堤でも地面が濡れている場所は避けたほうがよい。とくに消波ブロック(テトラポッド)で波が洗う場所は藻が付着し黒っぽく見えるので、ひじょうに滑りやすい。こんな場所には足を踏み入れないようにしよう。

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テトラポッドで黒っぽく見える部分は藻類が付着し滑りやすい

足場が悪い磯ならなおさら。常時波が洗う場所は藻が付着し滑りやすくなっているので、そういう場所を避けて釣りをしよう。穏やかな日でも突然、波を被ることがあるので、藻が付いている場所には立ち入らないのが無難だ。

  • ●磯釣りでは足場の高さ以上に波が来ないか、波予報と目視でチェック
  • ●足下が濡れている場所は波を被る可能性があるので注意
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磯では足下を波が越さないか常時、気を配ろう

落水時に這い上がれない場所は避けるべし

ちょっとした漁港でもそうだし、テトラ帯はもちろん、とくに巨大なケーソンで造られた防波堤で落水した場合、自力では這い上がれないことがほとんどなので、以下の点は重要だ。

  • ●万が一落水したときに自力で上がれる階段や梯子があるか?
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落水時に這い上がれる階段がある防波堤などは比較的安全だ

川釣り独特のエントリー術

川釣りでは独特の意見として次のようなものがあった。
「ある程度草木が生い茂ったフィールドで、はっきりと認識ができる轍(わだち)のようなところがある場所は、人の出入りが多く比較的安全」という話。川にエントリーする際の安全なルート確保の目安にしよう。

  • ●川釣りでは人の出入りがはっきりと認識できる轍(わだち)があれば、比較的安全

地磯や渓流などへの単独行動は避けよう

安全のため単独行動を避けるのも大切なことだろう。磯釣り(とくに渡船を利用しない地磯釣行)や山中の源流部に入る渓流釣りでは、複数人での行動が心強い。
磯は足場が不安定で波も荒く根も多いため、ひとつ間違えば命を落としかねない。渡船を利用せず徒歩でエントリーする際は、とくに注意が必要だ。

  • ●地磯など危険がともなう場所に行くときは、そこに精通している人と一緒に
  • ●竿を振る立ち位置も重要
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地磯に歩いてエントリーする際は、できれば単独行は避けよう

川に立ち込む際の危険性

川中に立ちこむことが多いアユ釣りや渓流釣りでは、流れに足を取られたり、いきなり深みにはまり込むことがある。大きな岩や石の周りは深く掘れこんでいることがあるので注意。

  • ●川の中の大きな岩や石の周りは、掘れて深い場所が多い

とくに水の透明度が高い川では、浅く見えていても実際に立ち込んでみると、意外にも背が立たないほどの水深の場合があるので注意が必要だ。シーバスフィッシングで濁った川にウェーディングする際は、川底が見えないのでとくに注意が必要。ナイトゲームならなおさらだ。

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一見、浅そうに見える川でも予想外の深みもあるので立ち込む際は細心の注意を

最大の安全情報は地元の人から
場合によっては釣り堀や管理釣り場もおすすめ!

釣り場周辺の環境も安心・安全な釣りに重要かもしれない。
地元の人とのコミュニケーションも役立つことが多く、とくに、釣りに理解がある人との会話は安全情報の収集に役立つ。また、交番やコンビニなどがあり地元の生活圏に近い場所は安心だ。もっとも安心して釣りをするなら釣り公園など管理釣り場がおすすめだろう。

  • ●釣りに理解のある地元民の出入りがある場所は、比較的安全
  • ●交番やコンビニが近い釣り場は安全度が高い
  • ●初心者は有料の管理釣り場が安全
  • ●専用駐車場がある
  • ●駐車場、トイレ、転落防止設備(柵、救命具)が施されている場所は安全
  • ●釣り堀や管理釣り場は駐車場があるなど、施設がしっかりしていて安心

早い話、「釣り公園」などの施設を利用しての釣りがもっとも手軽に釣りを楽しめる「安心」かつ「安全」な釣り場ということは自明の理だ。

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手軽に楽しめる「釣り公園」や「親水護岸」は安心かつ安全だ

野生生物に遭遇する可能性がある場所は避けるべし

渓流釣りなど山中に入る釣りでは、クマイノシシなど野生生物に遭遇しないように行動するのも大切なことだ。事前に野生生物出没情報を確認しよう。

  • ●動物の出没情報、看板などが出ているかどうかを確認する

このような情報がなくても野生生物と遭遇する可能性がないわけではないので、できればクマ避けの鈴などを携行し、川筋を歩くのがよいだろう。

「安心・安全な釣り場の見分け方」まとめ

以上がアンケートをもとに「安心・安全な釣り場の見分け方」をまとめたものだが、共通していえることは「君子危うきに近づくことなかれ」でグレーゾーンでの釣りは避け、どの角度からみても安全、安心といえる場所での釣りを心がけることが大切だ。釣りはあくまでも遊び。いくら釣れるからといって「リスキーな釣り」は慎もう

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途中、波が越す防波堤などリスキーな場所には近づかないことが何より大切だ

【今回のポイント】

  • ●インターネットで調べる
  • ●ネットで検索した際、釣場情報などがしっかりと掲載された場所を選ぶ
  • ●知り合いと情報交換する
  • ●現地の釣具店などにたずねる
  • ●詳しい人(釣りメディア・メーカー・小売店などを含む)に確認する
  • ●自治体や漁協の情報含め、現地情報(現場事情)が確実
  • ○張り紙や看板で「釣り禁止」「立入禁止」とある場合は諦める
  • ○疑わしい場合は管轄の管理者に事前に確認する
  • ○駐車場所は事前に釣具店などで確認
  • ○トラブルが発生しやすい場所(その可能性がある場所)には止めない
  • ●磯釣りでは足場の高さ以上に波が来ないか、波予報と目視でチェック
  • ●足下が濡れている場所は波を被る可能性があるので注意
  • ○万が一落水したときに自力で上がれる階段や梯子があるか?
  • ○川釣りでは人の出入りがはっきりと認識できる轍(わだち)があれば、比較的安全
  • ○地磯など危険がともなう場所に行くときは、そこに精通している人と一緒に
  • ○竿を振る立ち位置も重要
  • ○川の中の大きな岩や石の周りは、掘れて深い場所が多い
  • ●釣りに理解のある地元民の出入りがある場所は、比較的安全
  • ●交番やコンビニが近い釣り場は安全度が高い
  • ●初心者は有料の管理釣り場が安全
  • ●専用駐車場がある
  • ●駐車場、トイレ、転落防止設備(柵、救命具)が施されている場所は安全
  • ●釣り堀や管理釣り場は駐車場があるなど、施設がしっかりしていて安心
  • ●動物の出没情報、看板などが出ているかどうかを確認する