極めろ!仕掛道 第5回 ソフトルアーのリグ 「それぞれの特徴と効能」

ワームをエサに置き換えると話は簡単!

木材や硬質樹脂、金属などを本体材料にした、いわゆるルアーをハードルアーと呼ぶのに対し、軟らかい樹脂で作られたものをソフトルアーと呼ぶ。ワームなどがそうだ。ハードルアーで釣る場合は、それ単体にフックを取り付けて使用することがほとんどだが、ソフトルアーの場合は「リグ」と呼ばれるシステムが必要になる……というと、何だかややこしそうだが、リグとは早い話「仕掛」のことなのである。ワームなどソフトルアーは、フックすなわちハリに刺して使用しなければならないルアーであるため仕掛が必ず必要なのである。バスフィッシングはもとより海のライトゲームからロックフィッシュゲームまで、基本的な考え方は変わらない。

ジグヘッドリグはテンヤ仕掛である!

ジグヘッドリグ

ソフトルアーを使うとき、もっとも基本になるのが「ジグヘッドリグ」だ。ハリのチモト部分にナマリなどでシンカー(オモリ)がセットされたものをジグヘッドと呼び、そのジグヘッドにワームを刺した仕掛をジグヘッドリグという。オモリ部分にはアイ(管)が付いているので、そこにライン(道糸)かリーダー(ハリス)を結ぶだけの簡単な仕掛だ。オモリ部分の重さは0.1gといった超軽量のものから何十gもある重いものまでさまざまで、対象魚や水深、潮流などの諸条件で使い分ける。

ハリにオモリ……。そういえば日本にも古くからこの組み合わせの釣具がある。伊勢湾の船釣りでよく使われる「鋳込みバリ」などはアイがないだけで、ほとんどジグヘッドと変わりないし、「土佐カブラ」もワームの代わりに魚皮などのバケが付くだけで、間違いなく和製ジグヘッドなのだ。身近なものではテンヤがそうだ。関西の船釣りや陸っぱりからの引き釣りで使用されるタチウオテンヤや、マダイ釣りで使われるテンヤもハリとオモリを組み合わせた伝統漁具である。チヌをねらう防波堤の落とし込み釣り、前打ちで多用されるハリオモリ(ハリのフトコロやハリ軸にガン玉を取り付けたもの)も、よくよく考えてみるとジグヘッドと使用目的等が似通っている。

タチウオテンヤ仕掛 マダイテンヤ仕掛

ジグヘッドリグにしてもテンヤ仕掛にしても、その最大の特徴は釣り手が操作するアクション、動きがダイレクトにワームやエサに伝わる点だ。ハリとオモリが一体で、重心が仕掛の最先端部にあるため糸全体にテンションをかけやすく、途中にその動きを邪魔するパーツが基本的にはないのが理由。また、同じ理由で魚からのアタリも手元に伝わりやすいのだ。

ノーシンカーリグ。オモリなしといえば……

ノーシンカーリグ

ソフトルアーの釣りでもっともシンプルなリグが「ノーシンカーリグ」だ。ノーシンカーすなわちオモリなし。フックにワームを刺しただけ。そう、エサ釣りでいうところの「完全フカセ仕掛」である。船のマダイ釣りではおなじみだし、磯でウキもオモリも外してハリだけでグレやマダイなどを釣る方法(徳島ではサビキ、シャビキ釣りという)もそうだ。特徴は仕掛に糸とハリ以外に邪魔なものが一切ないため動きが非常にナチュラル、自然に漂うエサにもっとも近い感覚で魚を食わせることができる点だ。低活性の魚にも違和感を与えにくく、食い渋り時に特に有効な手段だ。

究極のスプリットショットリグはビシマ?

スプリットは「分割」という意味で、「スプリットショットリグ」はシンカーの重量を分割させた仕掛だ。簡単にいうとジグヘッドの上、何十cmの位置に別のシンカーを固定した仕掛。たとえば軽いジグヘッドリグだと仕掛がポイントまで届かない場合や、潮の流れが速くねらいのタナまで沈めきれない、もしくは安定させられない場合。単純に考えると、より重いジグヘッドを使うことで飛距離、沈下速度、安定度をアップさせることができるが、水中では重いヘッドのせいでワームの動きが不自然になり魚の食いが悪くなってしまう。そこでシンカー重量を分割することで、ジグヘッド+ワーム部分を重くすることなく魚の食いと飛距離、沈下速度、安定を両立させることができるのだ。

スプリットショットリグ

ルアーフィッシングでは図のように専用のスプリットシンカーのほかガン玉も使用する。このときに使用するジグヘッドはできるだけ軽くしておくのがミソで、場合によってはフックだけでもかまわない。エサ釣りでハリの少し上にガン玉を打った脈釣り仕掛や環付きオモリを使った探り釣り仕掛などが、これに近い。ガン玉や環付きオモリの重量で仕掛を飛ばして沈めて安定させて、ガン玉から下のハリスとハリだけのナチュラルな動きで魚を食わせるのだ。船釣りの仕掛で道糸にズラリとナマリを打ったビシマも、オモリ重量を何百ヶ所?にも分割したスプリットショットといえなくないだろう。

テキサスリグやキャロライナリグは
中通しオモリのブッ込み仕掛?

「テキサスリグ」も「キャロライナリグ(正確にはサウスキャロライナリグ)」もバレットシンカーと呼ばれる先細り形状の中通しオモリを使っている点に注目。ともにバスフィッシングの本場、米国で考案されたリグで、バレットシンカーは藻の中をすり抜けやすい形状である。特にフックのすぐ上にバレットシンカーがあるテキサスリグは藻に覆われた湖面の下を攻略するのに特化したリグだ。一方のキャロライナリグはスイベルを介してリーダー、フックとシンカーが離れており、フック部がノーシンカーになるため、いろいろなタナを横方向に引いて釣るのに適している。パーツの配列をみるとエサ釣りのブッ込み仕掛とそっくりだが、テキサスもキャロも動かして釣るためにあるが、ブッ込み仕掛は基本的に底に定位させて使用する。ここが大きく違う点だ。

テキサスリグ キャロライナリグ
ダウンショットリグ

もともとバス釣りのリグだが、近年テキサスは海のロックフィッシュをねらうリグとしても使用されることが多い。海底の根の周り、藻の周辺をねらうロックフィッシュでは根掛かりが付きもの。バレットシンカー使用のテキサスは、そのリスクを軽減してくれるのだ。一方、キャロはアジングやメバリングで独特の進化をみせる。スイベルを介して遊動式オモリを使う点は同じで空中での飛距離は抜群、しかしキャロシンカーと呼ばれ海中ではゆっくり沈む低比重のシンカーと極小のジグヘッドもしくはフックだけを組み合わせることで、リグ全体をゆっくり沈め、遠方かつ宙層にいるアジやメバルをねらうことができる。エサ釣りに当てはめてみるとマイナス浮力の水中ウキを単体で使った場合と似たような印象だ。

ダウンショットリグは胴突仕掛で間違いなし!?

ダウンショットリグ

日本人がバス釣り用に考案した「ダウンショットリグ」は、もともとは「ツネキチリグ」と呼ばれリーダーの先にオモリを結び、そのリーダーの途中にフックを直付けしたスタイルだ。バスではシンカーを湖底に沈め、ラインテンションのかけかた、ロッド操作の強弱、ロッドシェイクで途中にあるワーム部分に細かいアクションをかけ、ピンポイントかつ一定のタナでバスを食わせることができるリグだ。

エダスの有無という差はあるがエサ釣りでいう胴突仕掛と同じと考えてよいだろう。アジ、イサギからマダイまで船釣り仕掛に非常に多いスタイルだし、最下部にカゴオモリを取り付ける防波堤のサビキ仕掛、下オモリのワカサギ釣りの仕掛も胴突式だ。オモリから海中に下ろしていくため、何本ものエダスを出しても絡まさずに釣ることが可能、仕掛全体にテンションがかかるため手元に伝わるアタリも明確。オモリを底に着けテンションを抜くことでバスのダウンショット的な誘い方もできる。たとえばアジのサビキ釣りでアタリが遠くなった場合、カゴオモリを底に着け、仕掛を緩めて待っていると、サビキ部分が波や流れでユラユラと動き、それが誘いとなってアジが食いついてくることが多々ある。

フロートリグはそのままウキ釣りでしょ!

フロートリグ

アジングやメバリングでフロートを付けて釣ることがある。フロートすなわちウキ、そうワームのウキ釣りなのだ。「フロートリグ」で使用する専用のウキは海面に浮くものから、ゆっくり沈むサスペンドタイプまでがあり、遠方の表層から宙層を泳ぐアジやメバルをねらう場合に用いられる。フロートに組み合わせるのは極小のジグヘッドかノーシンカーのフック。リグをゆっくり引いてくることも可能だし、流れに乗せてドリフトさせたりスローにフォールさせて深いレンジまで沈めていくこともできる。ただ潮の流れを読むことが大切で、このあたりはエサ釣りのグレやチヌのフカセ釣りに非常に近い感覚だと思う。

ネコリグ……。これは番外

ネコリグ

バス釣りで多用される「ネコリグ」は、エサ釣りではまず見かけない特殊な仕掛だ。ストレートワームの頭にネイルシンカーと呼ばれるオモリを埋め込み、水中ではワームの頭から沈んでいき、湖底でラインを張るとワームが直立、ラインテンションの強弱でワームがユラユラと動きバスを誘惑するというシステム。ネコリグのネコは「猫」ではなく「根こそぎ釣れる」ということらしい。エサ釣りでエサにオモリを埋め込むという発想は聞いたことがない。本当に個性的なリグだ。