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小生、幼きころより釣りに傾注し、気づけばもう四十路半ばを過ぎました。振り返れば何をするにも片手に釣竿を持っていた気がします。思春期に車にハマッたときも、多感期に音楽にハマッたときも、釣り大会には乗り心地の悪いレース車両で会場に赴き、バンド活動をしながらも鋲付きの革ジャンを着てキャストを繰り返していた気がします(笑)。
そして、ここ10年はというと、クライミングという素晴らしい趣味にドップリとハマり、釣りをしないときは、竿の代わりに岩の突起や人工壁のカラフルなホールドを握り倒す日々を過ごしているといった具合。もちろん、常にベースは釣りありきの人生なのですが、それだけでは何か人生を満喫しきれていないような、もっと他の世界を体験してみたいという欲望があるようです。
ということで、今回はこのクライミングというものと釣りを、同時に楽しみつつ、贅沢に1日を満喫できないか? と取り組んだワケでございます。
海辺にある大きな岩と竿並べ
いつもとは異なり、釣り道具以外にマットとクライミングシューズを車に詰め込む出発前。なぜだか少し、高揚感も普段と違う気がした……。と、かっこいい風に書いてみましたが、要はテンションがいつもより2倍増しくらいに上がっちゃっているワケです。今回の目的は「がっつりクライミング+がっつりフィッシング」。クライミングの目標課題をクリアしつつ、食卓をメインで飾る満足のいく1尾を手中に収めることがミッションなんです。
車を目的地まで走らせる間にさまざまな妄想が頭をよぎります。もうニヤケ顔満載でアクセルを踏んだりハンドルを切ったりです。やがて辿り着いた目的地、大きな岩と綺麗な海が眼前に広がる絶好のロケーション。この風光明媚な空間に立っているだけで、もう心の洗濯は完了して本日の任務終了! といった気分になりそうです。しかしながらポカーンと心奪われてばかりはいられず、同行者のHEAT編集スタッフD氏と高木氏と共に、まずは本日お相手していただく岩の前に降り立ちました。
一同、早速お目当の課題の確認作業に入ります。このオブザベーションの瞬間もたまらんのです。クライマーの方々なら周知のワクワク儀式ではありますが、頭の中のパズルを一つ一つ組み合わせていき、スタートからゴールまで脳内でルートを繋げ合わせていきます。
ウォーミングアップを終え、メンバーは各々トライを開始。誰かが一手進むと、「おお!」と、スポットに入るメンバーからガンバの声援と共に声があがります。私もほどなく、課題のルートの癖や核心部のバラしを終え、あとは繋げるだけというタイミングまできました。このスタートからゴールまでを繋げる瞬間がたまらないのです。
岩の上に立つ喜び
行き時、イキドキ、時は来た!! この次のトライに自分の持てる技術と体力と精神力を注ぎ込みつつ魂をぶつける。そんな、ひじょうにワクワクとした高揚感と少しの緊張感に包まれます。
呼吸を整えてリラックスし、初手からミスがないように上手く上部へと繋げていく。そして核心部、岩の大きな穴に向かってジャンプ(=ランジ)してキャッチ! その飛び出た勢いからくる体の振られを無心で止める。「繋がった!」心の中で呟き、あとはトップアウトに向けて一手一手慎重に登っていくだけ…。「上手にできましたっ」とわずかに安堵を感じつつも、無事岩の上に立ったときには、湧き上がってくる嬉しさに包まれガッツポーズが出ていました!
そんな私のトライを見守ってくれたD氏&高木氏。さすがに次に続かんとばかりに集中力が増していくのが分かります。
次に続いたのはD氏。流石といった落ち着きで核心部を越えていきました。お互い四十路後半に首を突っ込む年代だけあって、ランジ課題には少々手こずったものの無事クリア。そして、残るは紅一点・高木氏のトライを見守ります。
しかしながら、どうやら核心となるランジ箇所が苦手のようで…。本人は目標物に向かって思いっきりジャンプしているというのですが、誰がどう見たってジャンプしていない(笑)。それでも心折れず、負けじと苦手箇所にトライし続ける姿勢には脱帽です。ムーヴもいろいろと探り、独自の登り方を確立していく。「これは行けるぞ! 繋がりそうだ!」と、みんなにそう感じさせる気迫の登り。その限界に挑戦し続ける姿にわれわれも檄を飛ばして応援しましたが、どうやら体力が先に尽きたようでした(笑)。まさにクライミングあるある…。結局この課題は、得意不得意や好き嫌いがハッキリと出るほど癖があるもののようでした。
といったところでクライミングは一旦終了。体力の復活と気分転換に、今回の主旨である釣りへと移行することにしました。