From HEAT the WEB DIRECTOR ○○釣り専用ロッドは、別の釣りに使えない?
汎用で使えるおススメの万能ロッドは…?

汎用で使えるおススメの万能ロッドは_text-photo岳原雅浩

01_ロッド

比較的専門性の高い趣味である「釣り」において、さまざまな釣りにチャレンジしやり込むほど、道具が増えてくる…。こだわりを楽しみ、テクニックの上達を目指すアングラーにとっては、そんな道具のコレクションも一つの勲章のようなもの。しかし、初心者ユーザーやこれから釣りを始めたい方にとっては、道具の違いが分かりづらく、また一度にすべてを買いそろえるにはややハードルが高い…。

あまたある道具のなかで、特にロッドやリールは高級だし、「できれば一つで、ある程度の釣りをカバーできるのってないの??」という声はよく聞く。そんな素朴な疑問に対しての答えは、「ある!!」である。

というわけで、少々私の個人的主観もありつつ、おススメの万能ロッドを紹介してみたい。

そもそもなぜ、万能ロッドを求めるのか?

02_キャストシーン

万能ロッドを求める心理としては、恐らく「よく分からないからとりあえず1本欲しい」といったところが、初心者ユーザーの思うところではないだろうか。初心者の間は「ターゲットを決めて釣りに行く!」というよりは、「とりあえず釣り場に行って何か釣りたい…」といったところ。
「何が釣れるか分からない…」「どの程度の道具で事足りるのか分からない…」「どのロッドを選んだらよいのか分からない…」と、分からないづくしだと思われるため、汎用的に使用できる万能ロッドが求められるのだと思われる。

また、少し経験のあるライトユーザーにとっても、まだまだ始めたばかりの釣りに対して、いきなり専用ロッドをそろえるよりは、とりあえず使いまわし可能で代用できるものを使って、他の釣りも試したい。
少しやり込んで面白かったら、専用ロッドの購入を検討するのではないかと思われる。

03_財布の中身

その他には、当然ながらお財布事情(財力)もあるだろうし、ロッドを置いておく収納スペース(住空間)などの問題もある…。こういったことから、できればいろいろな釣りに使える万能ロッドが求められているのではないかと考える。

万能ロッドの条件とは?

04_釣りシーン

ところで、「何にでも使えるロッド」とはいったいどのようなものだろうか?

釣りにおいては、「釣る」ことが最大の目的である。その意味で、小さな魚が掛かっても、大きな魚が掛かっても釣りあげることができる「強度」が最低条件となりそうだ。しかし、一般的に強い(=硬い、または粘る)ロッドとなると、かなり重量が増してしまい、同時に感度も悪くなってしまう…。ほんの数10分釣りをするだけならよいだろうが、1日楽しむとなると腕はパンパン。ロッドを持つのもつらく楽しめない。また、大きな魚とのやり取りには安心だが、小さな魚が掛かっても気がつかない…なんてことも。

というわけで、10数cm~40・50cmまでの魚を釣ることができるロッドであれば使いやすいのではないだろうか? できるだけ「重量は軽く」「長さはそこそこ」「感度もあって操作性もよい」、そしてできればお財布にやさしい…なんてロッドがあれば言うことなしではないか。

汎用的に使えるロッドを紹介

05_魚オンパレ

「そんな夢のようなロッドあるの?」

広くをカバーすれば、おのずと全体的に特徴なくマイルドになってしまうのは致し方ない。悪い言い方をすれば「可もなく不可もなく」であり、パーフェクトには程遠い存在となってしまうだろう。
しかし、これから紹介する釣りジャンルのロッドは、もとはといえば専用ロッド。その専用ロッドの性能の高さが光っているからこそ、他の釣りにも使えるという恩恵を受けることができるわけ。決して、「万能ロッド専用」に作られたものではないので、ご理解いただきたい。

バスロッド

琵琶湖ほか、大物が釣れるフィールドでは、60cmを超えるビッグワンが釣れる可能性もあるバスフィッシング。誰でもそんな大物を手にできるかもしれない可能性と、テクニックを駆使して掛けた1尾とのやり取りがダイナミックで楽しい、元祖スポーツフィッシングだ。

06_バス釣りシーン

おおよそ20cm前後~40cm強のサイズが、一般的なバスフィッシングの対象だと思われるが、そのねらうテクニックやリグ(仕掛)の多さから、ロッドの種類はひじょうに豊富。
かなり尖ったモデルもあるが、「バーサタイル(Versatile:多目的・万能)モデル」などといわれる中庸なものを選択すれば、その名の通り汎用的に他の釣りでも使いやすい。

07_バスロッド

具体的には、

・硬さ: L(ライト)・ML(ミディアムライト)・M(ミディアム)
・長さ: 6ft(フィート)~6.6ft (180cm~195cm程度)

※1ft=約30cm /1inch=約2.5cm

といったあたりの、スピニングリール用がおススメだろう。

当ロッドに、1000~2500番までの番手のリールと、それに見合ったライン(糸)を巻けば、バスフィッシング、アジング、メバリング、穴釣り(ヘチ釣り)、管釣りトラウトなどの釣りを楽しむことができると思われる。

エギングロッド

日本古来の伝統漁具「餌木」が進化し、現在ではルアーとしての扱いが一般的なエギ。そのエギをシャクリあげてアオリイカをねらうのがエギングだ。エギを背後からねらい、ひったくるような独特なアタリが楽しく、また食べて美味しいイカが釣れるとあって、近年爆発的に人気が出た釣りジャンル。

08_エギングシーン

新子が数釣れる秋は、15cmほどの手のひらサイズから始まり、冬に向けて季節が進むごとに大型化する。場所やタイミングにもよるが、400g~1kgクラスが一般的。春になると、産卵のための親イカねらいのシーズンとなり、1~2kg、ときに3kgクラスが釣れることもある。

エギングロッドは、エギをシャクリあげる動作の繰り返しとなるため、比較的ロッドの中心よりもやや先端にかけてしっかりと曲がり、胴から手元部分(バット)はシャキッとハリのあるロッドが多い。かといって、小さなイカのアタリをラインやロッドティップで感じ取れるだけの感度も備わる。
他の釣りで使用しても、取り回しがよくオールマイティに使えるだろう。

09_エギングロッド

具体的には、

・硬さ: L(ライト)・ML(ミディアムライト)
・長さ: 8ft(フィート)前後 (240cm前後)
・適合エギサイズ: 2.0号~3.5号

※1ft=約30cm /1inch=約2.5cm

といった、どちらかといえば秋イカをねらう用のロッドがおススメ。

当ロッドに、2500~3000番までの番手のリールと、それに見合ったライン(糸)を巻けば、エギング、シーバス、ライトショアジギング、ロックフィッシュ、フラットフィッシュ、イカメタル、チョイ投げ、堤防サビキなどの釣りを楽しむことができるだろう。

シーバスロッド

シーバス、すなわちスズキを専門にねらうジャンルは、長年愛好者も多く、都会の港湾部から河口、地磯まで幅広いエリアで楽しめる釣りだ。バスフィッシング同様、フィッシュイーターとして果敢にルアーにアタッてくるファイトは刺激的で病みつきになる。

10_シーバス釣果

地方名がさまざまある出世魚で、25cm前後のセイゴにはじまり、40cm前後のハネ(フッコ)、60cm以上(4~5年以上)の成魚をスズキという。
そんなスズキをねらうロッドは、しっかりとロッドの胴にルアーの重さを乗せたロングキャストと、スズキ特有のエラ洗いや強烈な引きに耐えれるよう、やや長めで柔らかい「胴調子」のものが多い。7g程度のトップウォータープラグやシンキングペンシルから、10~20g程度のバイブレーションやミノーなど、おおよそ28g(1oz=7号程度)まで投げられる強さを持っているため、ルアー釣りからエサ釣りまで幅広く活用できる。

11_シーバスロッド

具体的には、

・硬さ: ML(ミディアムライト)・M(ミディアム)
・長さ: 8.6ft(フィート)~9ft強 (255cm~270cm程度)

※1ft=約30cm /1inch=約2.5cm

といった、シーバスロッドのなかではやや短いロッドが使いやすいだろう。

当ロッドに、2500~3000番までの番手のリールと、それに見合ったライン(糸)を巻けば、シーバス、エギング、ショアジギング、ロックフィッシュ、フラットフィッシュ、チョイ投げ、堤防サビキ、胴突仕掛などの釣りを楽しめそうだ。

なかでもおススメは「エギングロッド」!

12_エギングタックル

汎用的に、さまざまな釣りに使い回ししやすいロッドとして、「バスロッド」「エギングロッド」「シーバスロッド」を紹介させていただいたが、なかでもおススメなのが「エギングロッド」

初心者でも比較的扱いやすい8ft(240cm)前後という長さがちょうどよく、それなりに遠投ができ、かといって操作性も悪くない。また、やや先調子(胴よりもやや先端にかけて曲がる)という特性もあり、魚のアタリや海底の感触をつかみやすいというのもおススメのポイントだ。

近年のエギングブームのおかげで、種類が多くコストパフォーマンスにも優れている気がする。やりたい釣りがどのようなタックル、リグで楽しまれているのか、事前のチェックのうえ各社のロッドスペックを吟味してみてはいかがだろうか。
ちなみに、当記事はルアーフィッシング目線で書かせていただいているが、エサ釣り目線からであれば、チョイ投げも可能な「堤防用振り出し竿」も同様におススメだ。やはり8ft前後の長さで汎用的に使える竿として販売されているので、要チェックだ。

ただしデメリットもある…

13_堤防釣りシーン

ただし、万能ロッドといわれるエギングロッドも、他の釣りにおいてはやはり専用ではない。微妙な加減で専用ロッドに劣るのは事実だ。

14_釣りシーン(手元寄り)

例えば、エギングロッドでスズキが掛かったとして、スズキのエラ洗いや強烈な突っ込みに対応できるだけのロッドの粘りはない。そのためバラシは多くなるだろう。また、アジングやメバリングといった軽い重さのルアーを操作するには、そこまで繊細にアクションさせることはできない。はたまた、オモリカゴにコマセを詰めて堤防からサビキ釣りを楽しんだとして、予想外に魚が仕掛に連なって、ロッドが負けてしまうかもしれない。

専用ロッドには専用ロッドの、「想定の範囲内」で突き詰めた技術や仕様がある。だからこそ、ねらったターゲットをできるだけ効率よく、確率高く釣り上げることができる感度や操作性のよさを持っているのである。

 

エギングロッドに代表される万能ロッドからスタートして、釣りに慣れてくれば、それぞれの専用ロッドを使用することで、更なる釣果アップとスキルアップが見込めるはず。
はじめはライトなタックルからスタートして、焦らずゆっくりと、釣りの楽しさを味わっていただきたい!

 

※本文は個人の見解によるものです。ご了承下さい。