From HEAT the WEB DIRECTOR カタログ製作の裏側

カタログ製作の裏側_text-photo岳原雅浩

2017年の新年を迎えようとしている只今、2016年の12月。よくこの時期の話題として「師走(しわす)」の意味やお話が出てくるが、我が社でもやはり皆さんや他の会社さんと同様に、社内があわただしくなる時期。

カタログ

浅はかな私の「師走」の知識としては、太陰暦(旧暦)の12月(現在の12月下旬から2月上旬)をさすらしいということ。そして、諸説あるが「“師=先生”が年末にかけて通信簿やテストで忙しくする様を表す」とか、「“師=御師=お寺や神社の案内役や参拝者“が大晦日や初詣に忙しく走り回る様を表す」といったお話。師が誰のことを指すかは分からないが、総じて「忙しい時期」のことを言っているらしい。(※他にも説がありますので、興味のある方はネット検索してみて下さい。)
我が社での12月はと言うと、「フィッシングショーの準備」と「カタログ製作」の2つに尽きる。新年を迎えるにあたり、新年度に向けた製品カタログの製作は欠かせない。 現在は主に小売店様や問屋様といった業界関係者様向けに製作しているため、新年からのセールスツールとして営業上重要な役割を担っているのだ。
そして、ご存知フィッシングショーは、釣り業界の中でも特に大きなイベントとして、昔から1月末~2月にかけての寒い時期に、釣り人の皆さんの熱い情熱に応えるべく、横浜会場と大阪会場の2会場で開催されてきた。 弊社も含め各社イチオシの新製品をお披露目する場として、重要なイベントなのだ。

フィッシングショー

フィッシングショーのお話は、恐らく次号や次々号で「現場レポート」として扱うと思われるため、またの機会とさせて頂くが、今回は「カタログ製作の裏側」と題して、少しだけ現場の苦労をお届けしたい。

総合カタログ

ハヤブサは、竿やリール、アパレルも含め様々な商材を扱う総合メーカーでは無く、「釣り鈎」「釣り仕掛」を中心に、それらを得意とする企業であることは皆さんご存知の通り。総合メーカーでは無いものの、仕掛や釣り鈎は、釣りにおいての消耗品であるため、モノも小さく、竿やリールに比べると比較的安価な商材でありながら、非常に多くのアイテムをラインナップしている。
私自身、入社当時を振り返ると、絶対に覚えきれる量ではない、その膨大なアイテム数に度肝を抜かれた。対象魚、シチュエーション、エリア毎に様々なアイテムがあり、また同じジャンルの中でも、高機能、コストパフォーマンス、流行その他の要素でグレードや仕様が分かれている。その数え切れないアイテムの中から、ハヤブサブランドとしてのプロパー製品を集め、掲載したものが「総合カタログ」なのだ。具体的な品番数をお伝えすることは出来ないが、バスブランドの「FINA」や磯・へらブランドの「鬼掛」、アパレルブランドの「FREE KNOT」を含め、数々のアイテムを掲載している総合カタログは約300ページもの分厚い冊子となる。

カタログ製作のリストアップ

そのカタログ製作は、おおよそ夏前後から始まり、まずは来年取り扱いの製品の中から「どの製品を掲載するか?」というリストアップからスタートする。 既に扱っているモノは問題無いのだが、「これから新製品として追加されるモノ」や「時流や売上にともないやむなく廃盤とせざるを得ないモノ」など、様々な製品が流動的であるため、非常に骨の折れる作業である。
ある時は開発部門や開発担当に聞きにいき、ある時は営業部門にも確認をしに行く。確実な情報を得るために社内を行ったり来たりしながらリストアップを進めていくのだ。

そして掲載品のリストアップが固まってくると、次に行うのは「ページの割付」と「製品撮影」である。 「ページの割付」とは、「どの製品をどのページに掲載するか」といった作業。誌面のデザイナーさんや印刷業者さんがページを作る以前に、指示書となるようなこの作業をやっておかないと先に進まない重要な作業。
しかし、約300ページにもなるページの全てを指示しなければならず、また、製品1点1点の大きさも異なるため、ページ内での割り当て面積も変ってくるという、これまた大変な作業なのである。 この時点で、大よそ仕上がりのイメージも想像しながら作業を行っていくのだが、時にはデザイン途中でスペース不足や製品の過不足が発生し、修正を余儀なくされる辛い作業でもある・・・。

カタログ製作作業

さて、「ページの割付」とほぼ同時に行っていく 「製品撮影」。半分強は依然仕掛や鈎製品が多いのだが、以前に比べると、仕掛や鈎だけでなく、ルアーやアパレルの比率も上がってきた。毎年大よそ150~200品番強の新製品を発売している(プロパー品のみの数です)我が社は、それら新製品の撮影を、印刷業者さんの撮影スタジオで全て行うのだ。
掲載品のリストアップ同様、撮影品のリストアップも行い、その際、「この製品はこちら側のアングルから撮影する」とか「全体撮影だけでなく、製品の部分に寄った撮影もする」など、カット数と要望を事細かに決めていく。 そして撮影現場では、プロのカメラマンの傍で撮影された画像のチェックを行い、要望通りで無ければ現場で修正の指示を行い、1点1点こだわりながら撮影していくのだ。

ある昔は、アシスタントさんと一緒にパッケージの上の小さな鈎をピンセットで並べていたのだが、細かい作業が故、 くしゃみも許されず息を殺しながら作業をしなければならないこともあった。

「ページの割付」と「製品撮影」が終わると、まさにここからが本番。
精神力と忍耐力が要求される「誌面校正」が始まる。誌面デザインは、デザイナーさんが行ってくれるのだが、果たしてそれが誤り無く要望通りの誌面になっているかと言えばそんなことは無い。「校正」と言われる確認作業を2度3度、多いときは5・6回行いながら、要望通りのページに仕上げていく作業。目を皿の様に見開き、米粒に字を書くくらいの集中力で、間違い探しを行っていく。正直、途中で「心眼」を発揮して「確認したことにしておこう」という邪悪な思いが頭をよぎることが多々ある(笑)が、ビジネスマンとして誠意をもって取り組まなければならない。
作業期間もこの「校正」に一番時間が掛るため、本当に神経を磨り減らす作業なのだ。

校正作業

他にもまだまだ細かな作業はたくさんあるのだが、「誌面校正」が終わり、印刷の「下版」と呼ばれる最終作業が完了すると、後は寝て待つだけ。インクの匂いをまとった、出来立てホヤホヤの綺麗なカタログが仕上がってくる。 現在、直接私自身が携わっている訳では無いが、カタログ製作担当者にとって、長期にわたり携わった想い入れのある我が子との対面という、非常に感慨深い瞬間だ。
実は2017年度カタログは、すでに今月号が掲載される前、2016年年末には無事に仕上がってきているのだが、残念ながら業界関係者様向けのカタログであるため、釣り人の皆様にはあまり目に触れる機会は少ないと思われる。しかしその分、是非とも「ジャパンフィッシングショー2017」「フィッシングショーOSAKA2017」会場で、弊社開発担当の渾身の新作をご覧頂きたい。WEBや紙で見ていただくのも大変ありがたいのだが、やはり現物を生で見ていただくほうが、より製品の詳細やこだわりを感じていただけること間違いなし。

新年が明け、何が起こるか楽しみなこれから。
2017年も、様々な製品でお客様に喜んで頂けるよう、我々ハヤブサスタッフ一同頑張りますので、どうぞご期待下さい!! (※2017年新製品カタログは、WEB上で”デジタル版”として当WEBサイト内に掲載しております。)

※本文は都合により脚色を交えております。ご了承下さい。