CLOSE UP "SPECIALIST" 平松 伸章

エギングを黎明期から見つめて

平松伸章プロフィール

エギングを黎明期から知る平松さんですが、やはり今と昔とではエギングは変わりましたか?もちろんタックル面などは、驚くほどの進化を遂げたとは思うのですが。

うーん、そうですね。タックルはご存知の通り、本当にここ数年で進化しているというか、ここまで成長スピードが速い分野は他にはないんじゃないでしょうか?
僕らがホンマにやり始めた頃っていうのは、11フィート、12フィートのシーバスロッドに3000番4000番のリール。ナイロンライン10ポンドや12ポンドにエギが3.5号。当時堤防でサビキやチヌ釣りを楽しんでるおっちゃん達には、何釣ってる?と聞かれてイカと言っても、そんなもん釣れるか〜な時代でした(笑)ただ全くは釣れない訳ではなかった。夜しか釣れないと思われてた時から、昼でも釣れるやんとなり、次第に当時メインで釣れていた小さなイカ相手にこんなタックルは必要ないと考えて、段々とライトタックル化していきました。

平松伸章

なるほど。では昔と比べると、今のエギングというのは全体的にかなりライトタックルになっているんですね?

はい。ラインも太かったナイロンラインから、6ポンド7ポンドのフロロでも十分やとなったりとか、そこから今度はもっと細いPEラインになり、先にはショックリーダーを付けようとなりました。それぐらいから一気に、いろいろな開発も進みましたね。

やはりPEラインになると、飛距離、感度、全てか変わったと。今エギングを始めている人は、例えば3.5号のエギを12ポンドのナイロンラインで投げるなんていうイメージすら湧かないかもしれません。

ないですよ。当時2.5号というエギもありませんでしたからね。ラインが進化したこともありますし、当時はブラックバス釣りにしても所謂「セコ釣り」のイメージと言いますか、人よりも数を釣りたいといったスタイルが全盛期やったんです。
その頃に一気に小型のエギの開発が進んで、仲間内では小さいエギで小さいイカを釣るのはやめにしようなと、禁止にしていたぐらいです(笑)ただ大きなエギを使っていたも小さいイカが抱いてしまうことはあります。一度傷ついて陸に上げてしまったイカはリリースしてもすぐに食べられてしまったりしますので、その場合は持って帰って食べたりといった感じですね。

デイエギングの確立と、沖磯での経験

デイエギングの確率と、沖磯での経験

なるほど。しかし、もともと夜だけと考えられていた時に、昼間にイカが釣れるということを見つけていったのも平松さん達の世代なんですね。それと沖磯でのエギングも得意ということですが?

そうですね。デイは何が面白いかって、サイトで釣れるのが最高なんですよね。沖磯でのエギングも、普段の防波堤からの釣りと何ら変わりはありません。ただ沖磯=渡船ということとなりますよね。そうすると夕方から翌朝までは磯が空き家になるでしょう?きっと人気の堤防なんかはもうコンビニ状態かもしれませんが、沖磯なら少なくとも前の日の夕方からは、たくさんのエギを投げられて、イカがエギを見ているということがないので、釣り場が休められているんですよね。それだけでニヤニヤしてしまいませんか?笑
軽くアンダーキャストで手前10mぐらいに落とすだけで、1投目から獲れたりするんですよ。そんな事人気の防波堤ならありえない事なので、そういう所が好きですね。僕はもともとグレ釣りが好きで、磯が好きなんです。他にはもともと鮎釣りもやりますね。

乱舞シリーズの生みの親

超動餌木乱舞

Hayabusaと開発を始めたきっかけなどを教えていただけますか?グレや鮎釣りも関係しているんでしょうか?

先代の社長さんがいた頃に、初代の乱舞の開発に携わったのがきっかけですね。
もともと当時のHayabusaのスタッフさんとは仲良くさせてもらっていて、僕自身がもともと開発していたアイデア等を一緒に進めていく様な形で始まったプロジェクトでした。当時純粋にタングステンの板型のオモリのついたエギが他にはなかったんですが、僕はどうしてもそれが作りたかったんですね。それをHayabusaで実現したという形です。

なるほど。文字通り生みの親な訳ですね。平松さんの情熱と経験がぎっしりと詰まったエギだと思います。

僕は師匠にもともとグレ釣りを教わり、磯では潮の流れはこう流れていて、餌をこう打ってここで食わすんや、といったことをみっちりと教え込まれました。直接的にそれはエギングには関係なくとも、様々な釣りの要素というのは繋がっていくんですね。そしてそれは今も沖磯のエギングにもまさに活かされているのかなと思いますね。

これからのエギング

これからのエギング

エギングを黎明期から見続けてきた平松さんですが、ここ数年はエギングのこれからを考えて、釣ることだけではなくある活動にも積極的に取り組んでいると伺いました。

イカの人口産卵床の設置

イカの人口産卵床の設置ですね。
レンタルボート&ガイドをしているエヌテックマリンさんの呼びかけで、海中にアオリイカが産卵をするための木を沈めるんです。淡路島など、地域的に禁漁期間を設けたりもしていますが、一釣り人としては、産卵期の親イカを取り過ぎないなどもあるかもしれません。しかしそればっかりは釣り人の自由であり強要出来るものでもないですから。
僕たちがエギングを始めた頃に比べたら、やはりひとりの釣り人に割り当てられるイカの数は減ったのかなと思うんですね。これからも、次の世代の釣り人も長く釣りを楽しむために、今後こういう活動がもっと広がれば良いなと思っています。